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社会問題エッセイ

今日から健康保険証は廃止! 「ふざけた」マイナ関連政策を振り返る!

作者: 中将

◇健康保険証は新規発行停止もあと1年使える



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は24年12月2日から健康保険証の新規発行が停止され「マイナ保険証」に統一しようと目論んでいることについて触れていこうと思います。



質問者:

 まず一つお聞きしたいんですけど、健康保険証はもう使えなくなっちゃうんですか?



筆者:

 いえ、使えますよ。あくまでも24年12月2日からは「新規発行が無くなる」ということです。現在は廃止に伴う“移行期間“で25年12月1日まで使えるという事です。

 逆に2025年12月1日からは「マイナ保険証」又は「資格確認書」になるという事です。


 ただし、健康保険証を捨ててしまうと再発行できなくなり、マイナ保険証を使うか、役所で健康保険証と同じ効力を持つ「資格確認書」を発行して貰わなくてはいけなくなります。


 マイナ保険証をまだお持ちでない方、資格確認証を入手されていない方はまだ捨てない方が良いでしょうね。


※資格確認証はマイナ保険証を持っていない方に対して、随時役所から送られてきます。



質問者:

 そもそも思うんですけど、コストカットや偽装の防止のためにマイナ保険証の制度を使うはずなのに、

 健康保険証単体だった時代より大変なことになっていませんか?


 健康保険証を廃止して同じような機能の資格確認証が出来るだなんて意味が分かりません……。



筆者:

 このように中途半端な状況になっているのは「マイナンバーカードを作るのが強制ではない」という前提の下でシステムが始まっているからです。


 しかし、「マイナンバーカード・マイナ保険証を推進したい人達」というのがゴリ押しして廃止しようと行政府に働きかけたのです。


 ただ、最初の建前を崩すわけも行かず「中途半端な状況」で今の形になっているという事です。



質問者:

 そもそも、健康保険証を廃止する意味が分かりません


 総務省はマイナ保険証の利用率は今年10月時点の「マイナ保険証」の利用率は15.67%に留まっているとのことではありませんか?



筆者:

 「大義」が無いと思います


 「90%以上がマイナ保険証を使っている」「健康保険証を使われているのは動けない高齢者など極少数」という状況でない限り廃止するのはナンセンスです。


 最低でもマイナンバーカードと健康保険証を並立して残しておけばよかっただけの話だと思います。


 また厚生労働省の23年8月の試算によりますとマイナ保険証に統一することによる経費削減効果は僅かに70億~100億円しかありません。

 医療費全体の44兆円から比べると「カス」のような金額です。


 また、更にマイナ保険証登録者にも「資格情報のお知らせ」を送付したり、未登録者に「資格確認証」を毎年送付する金額は考慮されていないでしょう。


 ※「資格情報のお知らせ」のみでは保険証と同じ効果を受けることが出来ません。

   マイナ保険証を必ず一緒に持っていきましょう。



質問者:

医療機関同士の情報の共有や事務コスト削減についてはどうなんでしょうか?



筆者:

 医療機関同士でのカルテが今後データ紐づけで共有がされるようですが、これまで小さい病院などでは書式が違ったのに、統一するのはとても大変でしょうね。


 保険の資格確認の方法も9通りあり、顔認証も結構“ザル”だと言われており、医療機関の混乱は避けられません。


 保団連の全国調査では、約6000件の回答のうち、オンライン資格確認に関するトラブルがあったと回答したのは58.4%。内容は「名前や住所に●(黒丸)が表示される」「資格情報の無効がある」「カードリーダーでエラーが出る」など悲惨なようです。


 断然、「健康保険証1本時代」の方が医療機関にとって手間の短縮、コストが少なかったに違いありません。


 これは、元も子もない言い方をすればこのマイナンバーカードやマイナ保険証は「国民のため」では無く、「作った人のため」にあります。

 カードそのものやカードリーダー発行委託業者から何社も介してお金を貰っているんでしょうね。



◇マイナンバーカードは「有事で使えない」「情報流出問題」



質問者:

 しかし、ここまで利用が進んでいないのは一体どうしてなんでしょうか?



筆者:

 マイナンバーカードにデータを紐づける段階でトラブルが数千件単位で報告されましたからね。


 また、能登半島地震で一番効力を発揮しそうな場面で「カードリーダーが無い」という理由で「Suica」を配って対応するという珍事がありました。


 もう、JRがマイナンバーカードを作った方がマシだったんじゃないかとすら思いましたね(笑)。


 このように紙の保険証を廃止してマイナ保険証に一本化してしまうと、有事やハッキングでシステムや機器の不具合が発生したときに適切な医療サービスを享受できなくなるリスクが高まります。


 「面倒だ」という事もあると思いますが、そう言った潜在的デメリットを国民全体で感じているという事なのでしょう。

 


質問者:

 確かに、メリットを感じる場面が少ないとマイナ保険証にし甲斐がありませんよね……。



筆者:

 2018年1月には国がマイナンバーについて業務委託をしていたSAY企画が、契約に違反して約500万人分の個人データを中国大連市のデータ処理会社、大連信興信息技術有限公司に「扶養控除申告書」の入力作業を再委託したことが分かっています。


 24年5月31日にはカオナビ子会社のワークスタイルテック(株)が、

 顧客がクラウドストレージにアップロードしていたマイナンバーなどの身分証のPDFや画像ファイルと、それらに含まれる氏名、住所、生年月日、性別、電話番号などの情報15万8929人の情報が、クラウドストレージのアクセス権限の誤設定によって外部から閲覧可能な状況になっていたことが判明しました。


 これらはマイナンバーや年収情報をも含む日本人の個人情報が流出した事件でしたが、そこまで大きな話題になっていません。


 基本的には情報を一本化するとハッキングや情報流出に弱くなります。

 恐らくは露呈していないだけで流出はこれ以上に起きているのでは? と思います。


 欧米ではむしろ一本化していたシステムを解体しようとする潮流があり、

 日本のマイナンバーカードのシステム周りはむしろ「時代に逆行」しているのです。


 最低でも「番号の振り直し」を定期的に行うなどをしなくては対策としてお話になりません。(マイナンバーは2015年から一度も振り直しが行われていない)


※ただし、個人番号マイナンバー通知カードや個人番号カードが紛失した場合や盗難にあった場合など、『個人番号が漏洩し不正に用いられる恐れがある』と認められる場合には個人番号の変更を請求することができます。

 ですから「流出した方々」は番号が変わっていることが予想されます。

 ですが、表面化していない「データ流出」も当然あるでしょう。



◇責任の所在は不明、「財源」は議論されない



質問者:

 なるほど、一度やられてしまえば紐づけた全部の情報を取られるだなんて嫌ですからね……。


 しかし、こんなにも効果が無さそうで、強引なやり方をして違法性は無いんですか?



筆者:

 地裁の判決ではありますが24年11月28日には「マイナ保険証導入義務化は違法と言えない」という審判があります。


 この理由としましては国が省令で義務づけたことについては、「必ずしも国会の審議になじむとはいえず、違法とは言えない」と。


 医療機関の負担については、「事業の継続を困難にするほどではなく、医療活動の自由に重大な制限を課すとは言えない」と判決文にはあったようです。



質問者:

 しかも、東京新聞の24年9月25日の『「保険証廃止」一体誰がどう決めたのか 「記録はない」と判明…首相報告や閣僚間のやりとり 経緯は闇の中へ』という記事では、


 「大臣間の協議の記録も無い」


 と議論の形跡が公文章にも無いようで、誰が決めたのか全く責任の所在が明らかになっていませんね……。

 当時のデジタル大臣である河野さんが唐突に保険証廃止の発表があっただけで……。



筆者:

 議論無く廃止が決まるとか、テレパスの特殊能力でも大臣や関係省庁の間にはあったんですかね?(笑)


 と冗談はさておき、このマイナンバー関連のお話に関しては常日頃僕が批判している財務省は、

マイナンバーカード作成のためにマイナポイント事業などで2兆円の予算がつけられましたが、いつも即座に出てくる「財源」について全く問題にしませんでしたね。


 また、24年6月1日の診療報酬改定ではマイナ保険証の利用を促す政策として治療に活用できる態勢を整えた医療機関では診察料金が加算される仕組みを作りました。


 これに伴い病院に入る報酬は初診で80円増えた代わりに、患者の支払いは3割負担で24円増となりました。



質問者:

 ポイント付与によってマイナンバーカードの普及率がこの80%台まで上がったようですけど、「お金で釣る」感じが解せませんよね。


「便利だから」と自発的に切り替えるならともかく、「2万マイナポイントを上げるから作ってね」と言うのが異常ですよね。


 それこそ国民が自発的に作りたくなるようなシステムを作っていればマイナポイントを配布する必要はなかったですし……。



筆者:

 マイナンバーカードのシステム開発費やセキュリティ、情報管理体制に2兆円使った方が遥かに良かったですよね。


 先ほどもお話しましたが、カードを作る“だけ”で凄い利権、何社も介して分かりにくくしている「影のキックバック」があるんだと思いますよ。

 とても国民の生活が豊かになるためにやっているとは思えませんね。


 仮にこれが利権、キックバックが存在せずに「純粋に国民のため」になると思ってやっているならそれはそれで官僚や政治家は「才能が無さ過ぎる」と思いますよ。



質問者:

 健康保険証を廃止する理由も全く合理的ではありませんものね……。



筆者:

 更に2026年からは「強固な暗号方式に移行」ということで「次期マイナンバーカード」が作られるみたいですね。


 2023年に2兆円かけてポイントを配って頑張って作らせたのに、たった3年で切り替え始めるなんて“狂気の沙汰”としか言いようがありません。


 恐らくこれにも新しいカードリーダーが必要ですから、日本国民の国富とはほとんど関係ないところにお金が無駄に投入される可能性が濃厚です。


 最低でもこの26年の次期カードの際にはマイナンバーを振り直すことは必須だと思いますね。


 一旦データ流出したものが、いかに強固なセキュリティで守られていようともあまり意味が無い可能性がありますからね。



◇個人でできる対策



質問者:

 無意味に予算を使ってまた「財源が足りず」に「増税」を言い始めるかと思うと辟易してくるんですけど……。


 マイナンバーに関することで何か個人出来る対策は無いんですか?



筆者:

 何事もリスクとベネフィットがあり、その軽重は人それぞれ価値観に違いがあるという前提でお話をさせてもらいますけど、


 多少の不便を承知でも色々と流出が怖いのなら「紐づけ」というのはしない方が良いと思います。


 “強制ではない”と言う前提なので、「代替え措置」と言うのは必ずあると思います。


 今回のことであればマイナ保険証が無くとも後々には「資格確認証」が送られてくるので問題はありませんからね。


 特に口座情報やクレジットカードなどの決済システム、スマートフォンなどと紐づけするのは危険ではないかな? と思います。


 これはマイナンバーに関することだけではありませんが、特にお金が関わっていることですと、パスワードを頻繁に変更した方が良いでしょうね。

 情報が流出してもパスワードが変われば守られるという事はありますからね。


※ただし、マイナンバーカードと口座を紐づけないと補助金や給付金を受け取るのが遅れるリスクがありますので、そのあたりも比較衡量しましょう。



質問者:

 なるほど、どこまで不便を許容するかORリスクを許容するかの2択と言うところなんですね……。



筆者:

 僕は不要なモノを持たず、好きなモノだけに囲まれたい「断捨離」を推奨しています。


 しかし、この一件に関しては「リスク分散で色々持っておく」ことが財産の防衛のためには、大事なのかなと思っています。


 これは強要するつもりはありませんが、「情報流出は既にしている前提で」これまでの政府の信頼度の下がり方、情報漏洩の過去、システムのしょぼさを考えるとやむを得ない選択だと思っています。



質問者:

 政府が信頼できないだなんてかなり悲しい話ですよね……。



筆者:

 「利権本位」や「財務省本位」や「経団連本位」ではなく「大多数の国民本位」の政策を望みたいものですね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回はマイナ保険証についての個人的な考察として、


・マイナ保険証でなくても健康保険証はあと1年使え、その後は資格確認証が送られてくる。


・マイナンバーカードやマイナ保険証はゴリ押しするほどのものでは無く、健康保険証のみの場合の方が良かった。


・「情報流出はしている前提」でリスクとベネフィットを考量して決断していく必要がある。


 という事を中心にお伝えしました。


 今後もこのような政治の問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。

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