表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺人命令書  作者: YJ
40/40

40 笑顔

 公園にいる人数はまばらなものだった。ベンチに座って話している若者たちや、ゆっくり散歩しながら話しているカップルたちだ。俺は、またポケットからタバコを取り出して吸い始めた。白い煙が今度は黒い空に消えた。白い煙を眺めていると、突然、俺の目の前に人の顔が飛び込んできた。驚いて体勢を崩しながらも、顔から目線を外さなかった。俺の目の前には愛子がいた。俺は狼狽し、言葉を失った。愛子は覗き込むような目で俺を見つめた。


 「私のことを探してくれていたの?」


 俺は頭を縦に動かした。


 「どうしてそんなことを?」


 そう言うと彼女は哀しい顔をした。


 「助けたかったんだ」


 俺の言葉に愛子は更に哀しい表情を見せ、俯いた。


 「もういいのよ。十分。私のことを想い出して欲しかっただけ。本当はずっと覚えていて欲しかっただけなの。それだけなの。みんな私のこと忘れてしまっていたわ。私という人間がいたことを。でも、もういいの。みんな私のことを想い出してくれた」


 「そんなことで…… 殺すことなかったんじゃないか」


 俺は厳しい顔で愛子を見つめた。


 「お姉ちゃんには特に覚えていて欲しかったのに。あの人は私のことをこれっぽっちも覚えてなんかいなかったわ。そして自分だけ幸せになったのよ。許せるわけないじゃない」


 愛子は厳しい表情でまっすぐ俺を見た。その目から俺は目線を外さなかった。


 「俺は君の力になってあげられなかったね」


 「そんなことない。私のことを想ってくれてたじゃない。今日も。それだけで私は幸せ」


 愛子の表情が和らいだ。薄暗い中でも表情の変化がわかるほどの変化だった。


 「これで終わりなのか?」


 俺の言葉の真意はこれで消えてしまうのか、ということだった。その意味を理解しているのかは俺にはわからないが愛子はそうね、と一言口にした。


 「最後に一つだけ聞いてもいいか?」


 「なに?」


 愛子は目を丸くして首を傾げた。


 「俺は幼い頃に病気になって死にかけたことがあるんだ。あの時、病院で俺を助けてくれた少女は君なんだろ?」


 彼女は首を傾げたまま微笑んだ。幼い頃、俺が見たかった少女の笑顔がそこにあった。




やっと書き終える事が出来ました。

全話読んでいただけたのであれば、長い付き合いありがとうございました。

話の結末にガッカリされた方もおられるかと思います。自分でも悩みましたが結果的にこうなってしまいました。愛子を死んでない形でいこうとか会ってたのは違う女の子とか策はいろいろありましたが幽霊的扱いで終わりにしました。


書き始めて出だしは良かったのですが、なかなか早い段階で自分の失敗に気付いてしまいました。三人称で書くべきだったなと。作中登場する人物の何人か、その一人一人のストーリーを展開していって事件を進めていけたらもっとおもしろい物が書けたのではないかと思っています。この作品を反省点として次の物に生かせていけたらいいかなと思っています。


ありがとうございました。(^^)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ