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初恋の続きをしませんか?

作者: 森 有楽

 空は青く晴れ渡り、心地よい春の風が吹き抜ける。慌ただしく通りすぎて行く白い乗用車、すれ違うように、着飾った小学生が親を伴い路肩を歩いていく。 一瞬の静寂の後、甲高い笑い声が聞こえてきた。



 朝のこの時間は、静かな住宅街も賑やかになる。私はこの時間が一等好きだった。人の営みが垣間見え、エネルギーに満ち溢れている気がするからだ。



 そして、私とあの人が最後に会ったのも、二十年前のこんな日だった。




 あの頃は今よりももっと音に溢れて、煩く思っていた。親切だがぶっきらぼうあの人は、クラスで一番足が早くて、よく大きな声で笑っていた。


 私は仲良しのちーちゃんと話しながら、そっちゅうその人を盗み見していた。私がポーッとしていると、ちーちゃんは決まってからかった。


 隠しているつもりの私の淡い初恋は、ちーちゃんにはバレバレだった。

 ちーちゃんは本をたくさん読んでいて、一年の頃から図書室によく通っていた。私の恋心に気が付くと、本に載っていたと恋愛テクを教えてくれたり、おすすめのおまじないの本を貸してくれた。




 でも意気地のない私が、ちーちゃんのアドバイスを実践する機会はなく、一年が経った。




 ちーちゃんは私を急かすことも、怒ることもしなかった。いつも、ウンウンと私の惚気話を聞いてくれて、私を可愛いと言ってくれた。


 そんなことを一年も続けていれば、卒業という機会に、隣の区の中学に行ってしまうあの人に、最後に想いを伝えようという気になった。



 お気に入りのレターセットの中に、猫が赤いチューリップの花束を抱える絵柄のついた物を見つけ、私の気持ちにぴったりだと、ドキドキしながら鉛筆を走らせた。



 何度も書いては消して、思いの丈を綴っては、やっぱり消して。

 たくさんあった便箋は消ゴムの跡で黒くなり、結局、最後の一枚に《ずっと好きでした。付き合って下さい。付き合ってもらえるなら、三丁目公園に来て下さい。待ってます。》とだけ書いて封をした。



 後から考えれば、時間の指定も自分の名前すらも書き忘れ、こんな手紙をもらったあの人は酷く困惑したに違いない。



 でもその当時の私は必死すぎて、その事に気が付いていなかった。



 明日は卒業式だという日の早朝、誰よりも早く学校に行き、その人の机に手紙を入れた。

 その後の事はよく覚えていない。ただただ恥ずかしくて、放課後までがいつもよりよりウンと長くて、心臓が壊れそうな位、ずっとドキドキしていた。


 彼はもうあの手紙を見つけただろうか。反応が怖くて、その日は一度もあの人の顔を見れなかった。

 ちーちゃんの話も上の空で。でもちーちゃんは私を勇気があると感心してくれた。私がちーちゃんはお母さんみたいだと言ったら、叱られた。




 放課後走って家に帰り、ランドセルを置くと、三丁目公園までまた走った。


 公園は学校からも離れていて、同級生に見つからない場所を思い選んだのだが、私の家からも遠すぎた。公園についた時にはすでに一時間以上経っていて、一瞬、彼はもう帰ってしまったのではないかと、不安になった。

 ただ、ようやくその時になり、時間を指定すれば良かったのだと気が付き、自分の思い至らなさに、文字通り頭を抱えて、うずくまった。


 名前すらも書き忘れた事に気が付いた私は、落ち込み、でもどこかホッとした気分で、ベンチに座った。




 どうせ来てくれないだろう。もう帰ろうか。でももしも、手紙を気にして来てくれたら。




 淡い期待を捨てきれず、別の学校の子供たちが徐々に集まり始め、騒がしくなっていく中、私はベンチに一時間は座っていたと思う。

 誰かが来る度、心臓を縮こまらせながも顔を上げていたが、次第に俯いたまま、明日の卒業式はどうしようか、そればかりを考えていた。



「あ……」



 誰かがベンチのすぐそばで、困惑した様に言った。ベンチに座りたい人がいるんだど、私は慌てた。

何せ、公園に二つしかないベンチの一つを一時間も独占しているのだ。



「すみません、もう帰るので、どうぞ」



 言いながら立ち上がった私は、相手を見て固まった。口を空けたまま、間抜けな顔を晒していたと思う。


  何せ、そこにいたのはあの彼で。しかも私のラブレターを持って立っていたのだ。



「あ、あの、その、名前、ごめん、じゃなくて、わわた、私、ずっと……」



 支離滅裂で、きっと彼も何を言いたいのか分からなかったと思う。私は顔を俯けたまま、彼の顔を見ることもできず、壊れるのではないかと思うほど、激しく胸を打ち付ける心臓を両手で押さえた。



「あの、俺、名前がないから、取り敢えず来ないとって思って……」



 言いにくそうに彼が言った。



「そうだよね。私名前書き忘れて、ごめんなさい。でも来てくれるなんて思ってなかったから……あ、ありがとう」


「いや……お、俺……」



 きっと断られる。優しい彼は、待ちぼうけをくらっているであろう相手を、心配して来てくれただけなのだ。それでも嬉しかった。こんなに優しい彼を、私が好きになったのは当然だったと、悲しくも嬉しくなった。


 引っ込み思案の私が勇気を振り絞ったのだから、ひょっとするともう少し時間があれば、もしかすると落ち着いて話を出来たのかもしれない。



 でも、現実はそんなに甘くなかった。




――クスクスクス――




 笑い声が聞こえてきた。公園ではたくさんの人が遊んでいるのだから、絶えず笑い声は聞こえていた。でもそれは明らかに他のとは違って、まるで堪えきれず吹き出してしまったというような、そんな笑い声だった。


 始めに聞こえた笑い声を皮切りに、次第に声は周囲を憚らない物へとなっていった。



「おい。うるせぇ」

「やべ、んん……フッ……フフッ」

「ばれるだろ、ブフッ」




「え?」




 ようやく顔を上げた私は、そこで愕然とした。



 公園のフェンスの向こうで、植木に隠れる様にして、こちらを見ている同級生を見つけたからだ。彼らが何を面白がっているのかは、一目瞭然だった。



「なんで……」



 カッと顔が熱くなり、涙が溢れた。


 耳の奥で鳴り響く心臓の音が煩くて、彼が何かを言っていたのに、私は聞こえないふりをして、その場から逃げ出した。




 結局、卒業式は行かなかった。頭が痛いとか、適当な嘘をついてズル休みをした。


 あの人とはそれっきり、一度も会っていない。




 中学、高校と一緒だった私とちーちゃんも、別々の大学に進学した。私はこうして地元へ戻ってきたが、ちーちゃんはそのまま進学先の企業に就職した。

 ちーちゃんと話すると、たまに彼の話題も出てきたが、いつの間にか心も痛まなくなった。人並みに恋人がいた時もあった。けど、すぐに別れた。



 あれから二十年。時間はかかったが、成人する頃には吹っ切れ、あの時は若かったと思える程度になった。

 最近のちーちゃんはもっと若々しくなるんだと口癖のように言うが、私から見れば凄く綺麗だ。きっとちーちゃんのことだから、美を追及して極めてしまうのだろう。



「ふう……」



 仕事に取りかかる前の、朝の公園までの散歩は日課となっていた。子供の頃はあんなに遠くに感じた公園も、久しぶりに訪れてみれば、大した距離じゃない事に気が付く。



 私は朝の冷たい空気を嗅ぎながら、ベンチの上で大きく伸びをした。何をするでもなく、その公園の例のベンチで朝の雰囲気を楽しむ。


 世間は通勤する人が慌ただしくしている時分で、めったに人と会う事はない。しかしその日は、珍しく、自分以外の人が公園を訪れた。


 男の人だった。外から公園を眺めていたが、やがて入ってきて、まっすぐ私の方へ向かってきた。



「あ…」



 その人は首をかしげて言った。何故か驚いた表情で。

 背は高めで、Tシャツの上からでもわかる程がっしりとした体形。胸板は厚く三角筋は存在を誇示するかのようだ。ただその人の容貌は私の記憶の片隅に引っかかった。


 お互いに探り合う様に視線を交差させる。昔の記憶がフラッシュバックした。



「あ、もしかして……」



 あの人だ。小学生の頃私が好きだった、あの男の子だ。私とその人が、互いの名前を言い合うのはほぼ同時だった。信じられない事だが、彼の表情も、そして私も笑顔が零れる。



「久しぶりだな。元気にしてた?」



 誰と交わすお決まりの挨拶。私は頷き、同じように聞き返した。



「うん」



 照れ臭そうに彼が頷いた。


 聞けば、彼は今まで他県にいたが、転勤で戻ってきたのだという。一昨日着いて、明日にはもう仕事が始まる。



「仕事が始まれば慌ただしくなるから、今の内に懐かしい場所をゆっくり見たいなって思ってさ」


「懐かしい……よくこの公園で遊んでたの?」



 私の家からは遠くの、でも彼の家からは近かったのだろうか。



「あ、いや、そういうわけじゃないけど……」



 彼は頭を掻きながら、私から視線を逸らし、俯いた。あぁと唸るようにため息を吐いた。



 ああ、そうか。彼はあの時の事を言っているか。当時の苦さが蘇る。でもやはり思い出は思い出だ。涙は流れないし、心臓も柔らかく鼓動を打つ。


 私は思いっきり笑顔を作った。



「あの時はゴメンね。せっかく来てくれたのに、何も言わず逃げちゃって」


「いや、俺の方こそ……」


「手紙なんて出したら、おもちゃになるのは当たり前なのに。しかも名前も書いてない変な手紙だし、寧ろ来てくれるなんて思ってなかったよ」



 私は偶然がもたらした悪戯な再開を乗り切るため、道化に徹した。私がしでかした黒歴史を茶化すことでこの場を乗り切ろうとしたのだ。

 さすがに思うところはある。でもそうでもしないと、あまりにも恥ずかして、素面で彼と話ができる自信がなかった。



「ちーちゃんともね、たまに話すんだけど、あ、ちーちゃんって、同じクラスだった早川千穂ちゃん覚えてる?」


「あ、ああ……いつも二人でいたよな。確か図書委員の……」

 

「うん、そうそう。そのちーちゃんにね、懐かしくてあの頃は若かったねって言うんだけど、ちーちゃんはおばさんみたいな事言うなって怒るの。確かにちーちゃんは私と違って、今でも20代って言っても全然通用するし……」


「今も綺麗だよ。昔もだけど、今はもっと……」



 それまで黙って私の話を聞いていた彼が、突然言葉を遮って言った。私は目をぱちくりさせ、彼の顔をまじまじと見つめた。ほんのり耳が赤いのは、気のせいではないはずだ。



「え?ちーちゃんが?もしかして、二人は今も会ってるの?」



 ちーちゃんから聞いたことなかったから、それは驚いた。そりゃ、今付き合いがあっても、ちーちゃんは私に言いにくいだろう。確かに昔は色々あったが、大事なちーちゃんを祝福しないわけないのに。


 私はちーちゃんに心が狭いと思われていたのかとショックで、また、小学生の私が記憶の片隅で泣くので、笑顔を作るのも忘れ呆然とした。



「そっちじゃない。俺早川と話した事殆どないし。卒業してからも一度も会ってないよ。だって二人とも同窓会来ないじゃなか」


「じゃあ……さっきの綺麗だよって……え?私の事?」



 彼が呆れ顔で頷いた。相変わらずだなって言わんばかりに、あの頃とは違う、彼の表情は大人で、男の人で、私は胸が高鳴った。




 綺麗だってさ……




 彼の表情や声が何度も脳裏で再生され、顔がにやけ、熱くなるのが自分でもわかった。お世辞を間に受けるなと言い聞かせても、すでに手遅れのようだった。



「やだぁ。揶揄って……でもありがと」



 そう返すのが精一杯で、でも、すでに期待で胸がいっぱいだった。初恋の続きが待っているのはないかと。年甲斐もなくときめいた。




「あの時は本当にゴメン!」



 目の前の彼が手をまっすぐ揃え、九十度に頭を下げた。私はあっけに取られ、間抜けな声で固まった。



「ずっと謝りたかったんだ。言い訳に聞こえるかもしれないけど、本当にあんなつもりじゃなかった。あいつらにはついてくんなって言ったんだけど、勝手についてきて……本当なら、すぐに追いかけて謝るべきだったんだ。でも明日でも大丈夫って思ってしまって……」


「あぁ、卒業式休んだから……」



 なるほど、この公園は彼の美しい思い出の一部ではなく、苦い記憶だったのか。思い出巡りでなんて言っていたから、てっきり、私に少しぐらいは気が合ったんじゃ、なんて思ってしまった。


 なんて浅ましい。何て愚かしい事だろう。


 私は彼にとって、単なる心残りだったのだ。



 思い起こせば、小学生の彼がこの公園に来たのも、告白を受ける為ではなく、名前を書いていない間抜けが待ちぼうけを食らわないよう、親切心からの事だった。



「朝、姿が見えないから早川に聞いたら、すごく怒られた」


「ちーちゃんが?」



 知らなかった。ちーちゃんはそんな事、一言も私に言わなかった。ただ私の話をいつもみたいに聞いてくれて、慰めてくれた。


 ここで彼が大きく溜息を吐いた。



「あ゛ぁ、クソ。まさかこんな所で会うなんて、しまったな……」


「え?」



 彼は顔をしかめ、悪態を吐く。


 優しかった彼の口から出て来た言葉とは思えず、私は愕然とした。ショックだった。


 

 でも良く考えれば当然なのだ。彼を長年縛ってきた、苦い記憶の私に会いたくないのは当たり前のことで、忘れてしまいたいに違いないのだ。



 初恋の続きがなんて期待してしまった私は、ただの道化にすらなれない。酷く惨めな気分だ。



「あの事は忘れちゃって大丈夫。私も全然気にしてないし、てか、忘れてたくらいだし」



 彼が私の名前を呼んだが、私は返事を返せなかった。



「ごめんね。私気が付かなくて。もう帰るね」



 もう限界だった。このままではあの時と同じように泣いてしまいそうだった。でも彼に二度も泣き顔は見せたくなくて。


 私は早口で言うだけ言って、速足で逃げ出した。



「ちょっと待てって」




 待てない。待ちたくない。




 慌てた様子で彼が私を追いかけて来た。腕を掴んで引き留める。私は辛うじてまだ泣いていなかったが、固く結んだ唇は震え、目頭は熱く、彼に笑顔を向けられなかった。



「違う。違うんだ。俺今すげー緊張してて、だからそのまま思ったことを口に出しちゃって」


「だから、私と会いたくなかったんでしょ。私、今日の事、誰にも言わないから……」


「さっきのはそういう意味じゃなくて!」


「でも……」


「花を! …………花を持ってくれば良かったって思っただけ」


「花?どうして?」



 必死の様子で私に言い訳を繰り返す彼の、苦し紛れの戯言だと思った。私に花なんて、似合わなくて、可笑しくて、同情で貰っても余計に惨めになるだけだ。

 私の声も冷え切っていて、怒っている様に聞こえたかもしれない。でも実際は、終わったはずの恋心が汚れた気がして、ただただ悲しかった。



「昔くれたラブレター、花を持った猫が描いてあったから、あの花をプレゼントして告白すればワンチャンあるんじゃないかって……ああ、くそっホント……」



 彼の顔はいよいよ真っ赤になった。


 私はというと、色んな事が一度にあり過ぎて理解が及ばす、頭に疑問符を浮かべながら、首を傾げた。



「もう、ほんと、俺ダセェ」



 彼は私の腕を掴んだまま蹲った。大きな彼が小さくなっているのは、ちょっと可愛らしく思えた。



「本当の事言うと、宮本に地元にいるって聞いたから、転勤願い出して戻ってきたんだ。それでどこかで会えないかってあっちこっち行ってて……ここにはいないだろうなって思ってたから、まさかって思って、すげぇ焦って、テンパってた」


「今の言い方だと、まるで私を探してた様に聞こえちゃうよ」



 勘違いしても良いんだろうか。また、期待を裏切られるような事は、もうないのだろうか。



「そう、言ったの。ずっと会いたかった。小学の時も、手紙の字が似てたから、もしかしたらって思ってすげぇ舞い上がってて。宮本たちが付いて来てるの気が付かなかったくらい浮かれてた」



 ぶっきらぼうな言い方は、まるであの頃のようで、私は心臓がはち切れんばかり打ちつけ、耳の奥で鼓動が激しく鳴った。その内手まで真っ赤になってしまうのではないか。


 まるで夢を見ているようで、フワフワした気持ちになった。




 ダメだ、早く返事をしないと、夢から覚めてしまいそうだ。





――ピピピッピピピッ―― 







 空気を読めないスマホがアラームを鳴らした。

 私はハッとして、時間を確認した。全身の血の怪我引く。この時間にここにいては、遅刻は確定だろう。職場に連絡を入れなくてはいけないかもしれない。



「大変!ゴメン、私、仕事行かなくちゃ!」



 慌てて走り出した私の腕はすんなり解放され、私は公園を出る前に一瞬だけ振り返り、もう一度、大声で謝った。



「明日の朝、ここで待ってて良いか?」



 背後から聞こえた彼の声。私は足を止め、振り返った。彼は公園の入り口まで出て来ていて、私の返事を待っている。



「うん!また明日!」



 再び走り出した私は仕事の遅刻など忘れ、飛び上がりそうなほど浮かれた。今夜は久しぶりにちーちゃんに電話をしてみよう。卒業式の時の話も聞きたいし、今日の事も話したい。

 






 次の日、朝の公園。いつものように前の道路を車が走り、仕事に向かう人が足早に通り過ぎていく。いつもの風景。いつもの誰もいない公園。でもただ一つだけ、いつもとは違っていた。



 私はベンチの上に一輪だけ置かれた赤いチューリップを見つけ、懐かしい気持ちで手に取った。ベンチに座り、目を閉じて、高鳴る初恋の香りに酔いしれた。

 





 結果としては、さらに次の日の朝、いつもより早く公園に行った私は、チューリップの花束を貰う事になるのだが、それはまた、別の機会に話すとしよう。




お読みいただきありがとうございます。少しだけ補足します。


 【彼】が小学校の卒業式の後【主人公】の家まで行って謝らなかったのは、小学生の男の子には女子の家を訪ねるというのはハードルが高かったからです。でも、そこで諦めてしまった事を【彼】はずっと引きずっていました。


【彼】が【主人公】に会いたいと思うきっかけになったのは、作中にも出てくる宮本君から送られてきた写真です。

 その写真は『地元にいる奴だけで飲もう』という軽い飲み会の席での写真で、そこに【主人公】が写っていました。【彼】は大人になった【主人公】に、恋人がなく結婚もしていない事を聞くと、いてもたってもいられず、すぐに地元に戻る事を決めます。

 宮本君と【彼】はたまに連絡を取り合う仲で、【彼】が未だに引きずっている事を知っており、珍しく【主人公】が飲み会に参加したので、お詫びのつもりで写真を送ります。


 小学生の【彼】は字を見るだけで、誰が書いたか分かる程度に【主人公】の事を普段から見てました。ちーちゃんの名前も役員も覚えていたのは、彼女がいつも【主人公】と一緒にいたからです。

おそらくたまに目が合う事があったのではないかと思ってます。


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