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現実逃避しすぎたみたいですわ

「私が学園に編入してきた時、市民なのに学園に入るなど恥を知れと言われました。それに、彼女に命令されたとご令嬢方に私の私物を捨てられたり汚されたりしました」


 ロゼッタ様はそこまで言うと涙を流した。

 まぁ、演技がお上手なこと。私には到底真似できませんわ。それと、私はそんなことした事ありませんわ。する価値がありませんもの。


「大丈夫かい、ロゼッタ。ここまでロゼッタを苦しめたお前の罪は重い!」


 何を見当違いなことを仰ってるのかしら。婚約者がいる王太子という立場で浮気をする貴方の方が罪が重いに決まっているでしょうに。それも分からないなんて……頭痛がしますわ……


 扇で顔を隠しながら周りの様子を伺うと、会場に集まっている人達が私の周りに集まり始めていた。女性は私と同じように扇で顔を隠し、男性は顔を青くしながらザグロス様達から目を逸らしている。

 当たり前ですわね。あの様な服装と態度を示されてはこちらの目のやり場に困ります。言ってしまえば、下着と同じですわ。薄い布をまとっていらっしゃるけど、品がなくてザクロス様の趣味が疑われますわよ。もう呆れを通り越して面白くなってきましたわ。


 でも、男性の中には怒りを漲らせ、今にもザクロス様に飛びつかんとしている者もいる。早く終わらせないと被害者が出るかもしれない。


 どうしようかしら。いっそこの国を捨てて新しい国を作ってしまおうかしら。意外といい案かもしれないわね。今この国を動かしているのは私の父を含む貴族たち。前から王太子様は問題児でいらっしゃったけれどもうこれ以上は貴族達も庇いきれないようね。

 ここにいる殆どの貴族が上位者で広い土地を持っている。王はお父様がなればいいし、宰相にはエリシア侯爵を推薦するわ。この国の貴族達が腐っていなくてよかった。お父様はまだお若いから引退する頃には弟のエフォロスがいる。

 どうせなら新しい方針も取り入れて、淑女教育もなくしてしまおう。あの様な面倒な教育はなくても生きていけますもの。貴族も平民も平等に、がモットーよ。


「おい、お前!ちゃんと聞いているのか!」


 あら、現実逃避しすぎたみたいですわ。もう目の前のことが面倒になって、これからの事を考えるととっても楽しいのよ。


 今も尚、頭の中にはずっと目の前と同じ光景の文が浮かんでいる。

 私が思った事や仕草まで全て合っている。まるでこれから起こることを予告されているようで気持ちが悪い。


 その時、頭の中の文とザクロス様の声が重なった。


『アーリア・ウルク、お前を国外追放とする!これは王太子としての命令だ』


 それと同時にたくさんの"記憶"が浮かび上がってくる。私ではない誰かの記憶。でもそれは他の誰でもない"私"だ。

 学校で授業を受け、休み時間に友達と笑い合い、放課後の教室のベランダから友達とサッカー部を眺めているものもあった。

 これは私の前世の記憶。私が"山瀬 鈴蘭"(やませすずらん)として生きていた頃の。


 全てを思い出した。


 この世界が前世で私が書いた小説だと言うことも全部。

読んでいただきありがとうございますm(*_ _)m

次回もよろしくお願いします!

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