夢と桜とかぐや姫
お待たせしました!
では、どうぞ!
その日司は部室の整理などで疲れていたため家に帰ると直ぐに寝てしまった。
「起きて、起きて下さい!帝様!」
(ここは…思い出した。あの夢か)
「やっと起きられましたか。今日は一緒にお出かけをする日ですよ?早く準備をなさって下さいませ」
そう話す輝夜は普段では考えられないほどの笑顔であり、楽しそうであった。そして輝夜と男性は一緒に出かけて行った。
2人は楽しそうにお店を回ったり、ご飯を食べたりしていて、まるでデートのようであった。
「やはり、いつ見ても桜はいいものですね…美しくそして儚い存在…凄く好きなんです。」
そう語る輝夜の顔は桜と同じく美しくそして儚い笑顔だった。
(確か、初めて輝夜を見た時も桜の木のある所だったよな…)
「ねぇ、帝様。来年も再来年もずっと一緒にこの桜を見に行きましょうね…約束ですよ?」
(約束…か。確か、もう1つの約束は…)
ピピピピピ!!!
「んぁ?…ふぁぁ。もう朝か。あれ?なんか夢見てたような…」
少し疑問に思いながらも司は朝の準備をして朝食を食べているとテレビでは満開の桜の景色を見ながらキャスターが喋っていた。どうやら今が見頃らしい。
(あれ?…桜?確か昔誰かと一緒に見ていたような?けど、家族で花見なんてしたことないし、友達とも行ったことないのに…あれ?)
「司、何をぼぉっとしてるの?学校遅刻するよ!」
「わかってるよ、じゃあ行ってきます。」
そうして司は学校に向かった。
その日もいつもどうり翔吾とダベったり、授業を受けたりして放課後になった。
司は部室に行く前に桜の枝を拾ってきた。その枝にはちょうど見頃の桜の花が咲いており、部室に使われてない花瓶があったので飾っておこうと思ったのだ。
「これでよしっと!」
桜を飾り終え司は椅子に座りながら桜を眺めていた。すると…部室のドアが開き輝夜がやってきた。
「こんにちは、帝さん。何をしているのですか?」
「こんにちは、輝夜さん。テレビで桜がちょうど満開だって話してたから飾ってみたんだよね。」
「そうなんですね」
「あと、何故か…輝夜さんと見たいと思ってさ…ってごめんね。変な事言って」
「…いえ、私も好きですから…桜。」
「そっか、それなら良かったよ。」
そして2人は椅子に座り少し桜を眺めていた。
(そういえば、まだかぐや姫読むの途中だったよな)
そう思った司は本棚からかぐや姫を持ってきて読んでいた。
「それは、かぐや姫ですか。少し悲しいお話ですよね」
「うん。そうなんだけどね、でも、何故か違う気がするんだよ。わざと悲しい話にしてるような気がしてね」
「わざと…ですか?」
「そう、人間ってさ、嬉しいことよりも嫌なことや悲しいことの方が記憶に残りやすいからさ、忘れて欲しくない。覚えていて欲しいって言ってように感じるんだよね。」
「そう…ですか。」
「あはは、まぁ気にしないで。っとそうだ。そういえば先生に呼ばれてるんだった、ちょっと行ってくるね」
「えぇ、行ってらっしゃいませ。」
部室には輝夜1人になった。
(それにしても…桜ですか。ふふっ。懐かしいですね…あの頃は毎年のように見に行ってましたね。そして毎回来年も見に行きましょうと約束をして…しかも、かぐや姫の本の話…ずるいですよ。帝様…)
「ただいまっと。ええ!?輝夜さん、大丈夫!?とりあえずこれ使って!」
司が部室に戻ると輝夜が泣いて居たので慌てながらもハンカチを手渡したのだった。
「ありがとうございます…目にゴミが入ったようで…」
司は輝夜が誤魔化してるように感じたがあえて気付かないふりをした。
「そっか…少し埃っぽいからね。」
「そう、ですね。掃除、しましょうか。」
そして2人は掃除を始めたのだった。掃除が終わるとちょうど下校時刻になっていたので2人は帰ることにした。
その夜輝夜姫は自分の部屋で1冊の本を取り出した。
(これが本当のかぐや姫、月に帰る事が出来ず、歳を取ることも死ぬことも出来ないお姫様。そして唯一かぐや姫を終わらせることが出来るのはかぐや姫が愛した人だけ…私はもう十分生きました。早く私の事を思い出して下さいね…帝司さん)
一応補足としますと、記憶がちゃんと戻った状態でないとかぐや姫を殺すことはできないようになってます。しかも、輝夜が直接教えることは出来ません。なぜかはそのうち分かります!
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