紛糾の王室会議3
「国王陛下はノーザンとの全面戦争をお望みか」
皇太子が言った。
「それは望まない。確かに今回はラッセルの活躍によって善戦した。
しかし、ノーザンの戦力は全8軍、艦船にすれば1000隻を超える艦艇を持っている。
我が方は5艦隊と言えども、500隻も無い。戦力的には半分以下だ。
勝ち目はあるまい。」
そう言うとマルサスは全員を見回した。
「スウ王女はどうなされるのですか?まさか、見捨てるのですか」
ラッセルが食って掛かる。
「そんな事をして、国民が納得するわけは無かろう」
マルサスは言った。
「?」
「ではどうなさるので」
皇太子が聞いた。
「ラッセルは直ちに国境に戻り、第2級戦闘態勢で待機。第4艦隊も臨戦態勢をとらせろ。」
「了解しました」
「パブロフ外務大臣はノーザンに今回のスウ王女襲撃事件で抗議。
ならびにフレクスからの即時撤退を要求しろ」
「しかし、ノーザンは従うでしょうか」
「従いはしまい。そこで、国境地帯の臨戦態勢が利いてくる。
ジパングの世論がノーザン主戦論に傾いているのをはっきり伝えろ
少しくらいの恫喝にはなろう」
「了解しました」
パブロフ外務大臣は頷いた。
「レント」
「はい、」
突然呼ばれてレントは不審に思った。
「スウ王女のピンクドルフィンが帰ってくるはずだ。それに乗ってアスワンにスウ王女を迎えに行ってくれ。」
「私がですか?」
レントは驚いて聞いた。
「今回のノーザン侵攻に対して、事前察知していたにもかかわらず、行動が遅れた。
その償いの意味でも、行くのだ」
有無を言わさずにマルサスは言った。
「了解しました」
これ以上まごつくと何を言われるかわからないので慌てて、レントは了解した。
「なんでしたら私が迎えに参りますが」
ラッセルが言った。
「お前が行くとローヤルと一緒になって、ノーザンに攻め込みかねまい。」
マルサスは一瞥して言った。
「そんな事は」
「十分にありえるわね。」
バレンシアが言った。
「姫!」
ラッセルが睨むがバレンシアはそれを無視して
「でも、それだけで良いんですか。ノーザンは撤退するわけは無いと思いますが。」
思った事を言った。
「後はローヤルを中心とした傭兵部隊が何とかしてくれるだろう」
マルサスは言い切った。
「傭兵部隊にそれだけの力があるんでしょうか」
「さあ、それは判らない。
しかし、黙って見守るというのがオリオンの意向なのだよ」
「オリオンですか。しかし、オリオンの意思などあるはずは・・・」
「ジミー」
皇太子が言うのをマルサスが手を挙げて止めた。
「信じる信じないは別だ。私もアザミ国王からお伺いした時は、信じたくなかった。
しかし、オリオンは国王を全国民から選抜するために、すさまじい情報収集能力と選抜能力を持っている。
1つの星をそのために作っているのだ。
そこに意思があったとしても、不思議ではない。
クリスらがどのように作ったかなど、もはや誰も知らないのだから。」
不審そうな顔をしている一人一人を見た。
「まあ、良い。君も王になれば判るよ。そう遠くない時に」
そういうとマルサスは会議室の天井を見た。
その天井を越えた先の空は星空が舞っていた。
そして、オリオンも。




