惑星フレクス
惑星フレクスは太陽系ナルシスの第三惑星であった。
地球型の惑星に改造されていた。
宇宙暦420年、第三次宇宙大戦の後の混乱期を乗り切るため、
オリオンシステムを作り出した、星である。
その歴史は科学者の星として、1200年もの長さがあった。
ジパングの主星パルミールから2000光年、ジパングの保護国であるが
統治は科学者の合議制であった。
もう一つの特徴は銀河最強といわれた傭兵部隊を持っていた。
フレクスの技術の粋を集めた、最新機動歩兵を駈るそれは560機を誇り、
実力順にナンバーがふられていた。
現在はローヤルが11番、スタッドが12番だった。
3年間の切磋琢磨の中でいつの間にか、二人の立場は逆転していた。
今、そのフレクスに、ローヤルらの愛機、ララポートが降り立とうとしていた。
「こちら、ララポート、フレクスへの大気圏突入許可を願います。」
機関士兼通信士のリック・バタフライが無線で宇宙ステーションに申請した。
「少しお待ちください。」
画面に宇宙ステーションのオペレーターのミチルが出てきた。
黒髪のロングヘアの女性だ。
「混み合ってるの?」
「ちょっと、ジパングの船がね。」
顔見知りのリックに笑顔でミチルが答えた。
「宇宙で大人気の俺達より、優先される奴って誰だ」
横からスタッドがしゃしゃり出た。
「スタッド、また、派手にやったわね。」
あきれ顔でミチルは言った。
「俺に惚れ直したかい?この後、非番の時にご飯でもどう?」
びくともせずにスタッドは言う。
「はいはい、暇だったらね。」
軽くミチルはいなした。
「もう、つれないんだから」
「で、誰が来た訳」
回線を横取りされたリッキーが取り返して言った。
「ロイヤルファミリーよ」
「ローヤルの天敵のキリーレイアムか」
「キリー様なら素敵なんだけど」
とたんにミチルの態度が変わる。
ハンサムなキリーはジパング外でも、人気があった。
「あなた達の後ろにいるわよ」