スウの決断
深夜0時、スウは今まで、下賜された、王女のしるしを全て枕元に並べた。
「今までありがとう。」
クルーへのお別れのダイイングメッセージを残して、立ち上がった。
黒っぽいフードに身を覆い、腰にはレイガンと手榴弾を下げている。
抜け穴から、給排気口を通って、ピンクドルフィンの非常口から地上へ降り立つ。
「スウ、逃げ出すわけ」
後ろから声がかかった。
スウにはその子どもっぽい声が誰だかわかった。
「クリス。別に逃げるんじゃないわ。新しいたびに出るのよ」
前を向いたままスウは言った。
「ローヤル以外でも、こんな行動に出るの?」
「まさか、ローヤルじゃ無かったら、ピンクドルフィンの全戦力をもって、ノーザンに当たるわ。
ローヤルだからそれが出来ないだけ」
スウは言い切った。
「私達皆を振り切っていけると思うの?」
クリスが言葉を投げかける。
「皆を?」
スウが振り返ると、そこにはコンドやミリア・ハン、タツヤら10人程がいた。
「皆、どうして?」
スウは驚いて言った。
「スウ、抜け駆けは無しですよ」
タツヤが言った。
「姫、勝手な行動は控えてくださいって言ったでしょ」
ミリア・ハンは泣き笑いの顔をして言った。
「おいおい、ノーザンに戦争を仕掛けるのはやめようぜ」
コンド一人反対していた。
「皆、止めないの?」
呆れてクリスは言った。
「フレクスはジパングの保護国です。そのフレクスに攻撃をかける、イコールジパングへの宣戦布告でしょう。」
「売られたけんかは買うしかありません。」
スウ付きの参謀のオウ・タイワが答えた。
「皆、何言っているのよ。死ににいくようなものよ」
スウが驚いて言った。
「大丈夫です。俺たちは史上最強の部隊ですから」
笑ってオウが言う。
「姫を死にに行かす訳にはいかないでしょ」
タツヤが手を上げていった。
「おいおい、本当にいくのかよ。オリオンはお怒りだぜ」
何とか逃れようとコンドが言う。
「何言ってるの。本来はあなたがスウの代わりにローヤルを助けに行けばよいでしょ」
ミリア・ハンがコンドのしりを蹴飛ばした。