悪魔の双子
「ローヤル」
スウがローヤルを見ていった。
ゆっくりと起き上がる。
ボストンの目を閉じさせて、手を胸に組ましていた。
いつも冷静沈着なローヤルが荒れるのをスウははじめてみた。
キアが暗殺されたと知った時もこんなには荒れなかった。
「いや、すまない。少し、取り乱した。」
「ううん、」スウは首を振った。
「ローヤルも私と同じこと言ってるんだと思って」
「同じこと?」
「そう、いつも夜に皆がいなくなってから、何で、ローヤルに見捨てられて、私一人でこんな責任負わなくちゃならないんだろうって、なんで、責任負わされたのは2人なのに、、ローヤル一人好きなことが許されるんだろうって、怒ってたの」
「見捨てたんじゃない。俺はクリスに首にされたんだよ。」
ローヤルは言い訳した。
「そんなの関係ないわ。私に黙って責任だけ押し付けて出て行ったじゃない。」
「押し付けたんじゃない。俺はキア王子の遺言に従っただけだ。」
「じゃ、今度はボストン博士のダイニングメッセージに従ってくれるのね。」
「銀河の未来なんて背負える分けないだろ」
「私一人に背負えと言うの?」
その時に、ドアが自動で開いた。
虚を衝かれて、慌てて、スウを横抱きにして、横っ飛びにローヤルは飛ぶ。
手にはレイガンが握られていた。
しかし、外にいたのはリッキーらだった。
「ローヤル。」
リッキーは慌てていった。
「リッキーか?」
慌てて、二人は離れる。
「ボストン博士は」
ミリア・ハンが聞いた。
「ノーザンの特殊部隊に殺された。外の様子は」
「スタッドらが制圧したはずだよ。」
リッキーが応えた。
「こいつが今回の主犯だ。」
その後ろから、スタッドは後ろ手に縛った男を突き出した。
男はバランスを崩して倒れこむ。
「トム・ベース。ノーザン特殊部隊のブラックベリーの隊長でキア王子暗殺の主犯だろ」
「お前か、」
ローヤルはトムの襟元を握ると、ぐいっと持ち上げた。
「ほう、これは、キア王子の暗殺犯にされた、傭兵部隊の悪魔の双子の片割れか」
「何だと!」
ローヤルが言う前に後ろからスタッドが殴っていた。
トムはローヤルの膝に崩れ落ちて、期せずして、ローヤルの膝蹴りを思いっきり顔に受けた。
「おい、ノーザンの負け犬。俺たちにはイエローナイツって言う名前があるんだよ」
その顔面を更にスタッドは蹴り上げた。
血だらけになりながら、トムは地面に激突した。
「くっそう、覚えてろよ」
トムは歯を食いしばった。こいつらに付き合ってから、いいことなど何も無かった。
ブラックベリーの隊長を下ろされ、やっと戻ってきたのだった。
それがまた失敗だ。今度は降格で済むかどうか。
「殺人鬼がよく言う。もうじきノーザンの艦隊が助けに来てくれるのか?」
スタッドが言った。
「ふっ」
トムは薄ら笑いを浮かべた。
そうだ、もうじきこいつらも終わりだ。フレクスのテロ組織もお陀仏になるのだ。
今のうちに威張っていれば良い。