ボストンの死
ローヤルはスウを誘導して、すぐにいすのそばに隠れさせた。ソファは防御壁の役割をするはずだった。
「うっ」
次の瞬間扉があいて、ボストンが倒れこんできた。
「博士」
慌てて、駆け寄る、ローヤルの目の前に銃を持った男が飛び込んできた。
一瞬でローヤルのレイガンが火を噴く。
ローヤルは扉をロックした。
しばらく、誰も入って来れないはずだ。
ボストンをスウが抱えていた。
「ローヤル、スウ、すまん、もう君らを見守れない。」
虫の息でボストンは言った。
「博士、何言っているんですか。」
「そうです。傷は浅いです。博士」
「ぎ、銀河の未来を。きみらに」
そして、ボストンの息が切れた。
「博士、博士!」
スウがボストンを揺らした。
しかし、ボストンは二度とは答えることは無かった。
「ノーザンか」
倒れている男の持っている銃はノーザンのバグーダ製のものだった。
ローヤルとスウの目の前にボストンのダイイングメッセージが流れ始めた。
「ローヤル、すまん、君らを見守れなくなってしまった。
君の身柄は実はオリオンから預かったのだよ。
また、そのことはキアの意思でもあった。
キアの代わりにと頑張ったが、ここまでだ。
これからは君達が考えて、行動してくれ。
銀河の未来を君達に託す。」
そして、消えた。
「何、無理なこと言ってんだよ。」
ローヤルは手に持っていたレイガンを地面に叩きつけた。
「俺らで、どうやって銀河の未来を背負えって言うんだよ。
王子も博士も無理ばっかり押し付けすぎなんだよ」
ローヤルは叫んでいた。
ローヤルには、良くわからなかった。一介の傭兵の自分に銀河を任されても、どうしていいか、わかるはずは無かった。
それをどいつもこいつも、王子王子と言うが、自分がその器だとは思わなかった。
王女のスウはともかくとして、傭兵の自分がやることなんて、あるとは思わなかった。