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レンザ解放作戦

ローヤルの目の前には広大な宇宙空間が広がっていた。


いや目の前だけで無く上下左右360度全て、星々が輝いていた。


知らない者が下を見やると奈落の底へ落ちていくのではないかと思わず感じてしまうほどだ。


機動歩兵イエロースターのコクピットの中は操縦管を除き全てが周りの空間を写していた。


最初に宇宙空間に出た時のその感覚は、今でも時折ローヤルの心を襲う事があった。


「静かだ。」


ローヤルは目を瞑った。


しかし、束の間の静けさだった。



前方の星星の狭間に光の揺らめきが起こった。


「前方距離12000、ワープアウトあり。重巡洋艦1巡洋艦5」


ララポートの機関士兼オペレーターのリッキーの声が響く。


ローヤルのなかでは直ちに臨戦体勢に入った。


「全軍全速前進」


イエロースターのバーニアが火を吹いた。


ローヤルはGに椅子に押し付けられる。

ノーザンの陰謀をオリオンまで行って叩いてから3年が経過していた。

ローヤル・カワキはスタッドと組んで傭兵部隊、イエローナイツを結成していた。

かかわった戦闘は大小100を超え、傭兵ナンバーがローヤルは11、スタッドは12になっていた。

実働部隊の中では、トップクラスだった。

過去の名声というのも考慮されることを鑑みると、実質はトップかもしれなかった。


そして、今回は稀少鉱物資源レナトリウムが採れるレンザに派遣されていた。


人口100万人のレンザはレナトリウムが採れるとの事で、50年前からノーザンの私的企業バゲージ社の支配国と化していた。

低賃金、悪環境のもと、働かされていた、住民が決起、それを全面的に支援し、3ヶ月間で地上からバゲージの私兵を一掃していた。


それに業を煮やしたノーザンが、バゲージに泣きこまれたこともあり、2軍に属する30035部隊カールマン准将指揮下の5隻を派遣してきたのだ。


「これだけか」

拍子抜けた様子でカルーマン准将は聞いた。


300035部隊はノーザンの特殊作戦を数多く担う、実戦部隊で、基本は反乱軍の掃討にあった。


しかし、今回の相手は機動歩兵7機と小型艦が1隻だけだ。


「はい、確認できているのはこれだけです。」

「機動歩兵10機を偵察に出せ。どこに隠れているか判らないからな」

「了解しました。敵にはどうしますか」

「機動歩兵のモレル・アツを20機発進させろ。10機が攻撃、10機に支援させろ」

バゲージ社の最新鋭機動歩兵のモレルアツが20機次々に巡洋艦から発進する。

カルーマンはこれでも、多すぎるほどだと思った。

「ローヤルどうする?」


スタッドが聞いてきた。

「まず敵の艦載機を叩く。」

ローヤルは言った。

イエローナイツはローヤル、スタッドのイエロースターコンビにその母船120メートル級宇宙船のララポートの操縦士キム・ゴードン28と機関士兼オペレーターのリック・バタフライ15の4人だった。


そして、その後ろには、ノーザンの巨大軍需産業体バゲージ社の旧式機動歩兵ベリアルが5機続く。


バゲージ社の、守備隊を襲って奪った機体だ。この合計9名がレンザ宇宙軍の総勢であった。


カルーマン准将があきれるのも無理は無かった。


その実力を知るまでは・・・


モレルアツの10機の集団に向けて7機の機動歩兵とララポートが突っ込んでいく。


ローヤルは先頭のモレルアツに向けてビームライフルを一射する。


光の輪が一つ出来る。

敵が慌てて撃って来た。

スタッドが二射する。光が二つできた。

急速に距離を詰めて、ローヤルが二射、スタッドが二射する。

ララポートが二射、ベリアルが1機を倒す。


前方の攻撃部隊は瞬く間に全滅した。


支援機に向かう。


支援機は1機を残して、全滅するのに、2分もかからなかった。

味方は1機のベリアルが撃墜されたのみ。


「そんな馬鹿な」

カルーマンは立ち上がって言った。


「あの黄色いのは悪魔の双子です」

オペレーターが叫んでいた。


悪魔の双子、ノーザンの戦艦が一瞬で沈められたという情報をカルーマンは思い出した。


「敵、急速接近中」

「全砲発射、叩き落せ」

ローヤルとコンドが二手に分かれた。

急速に両横の巡洋艦に向かう。

二機はすれ違いざま、エンジンにビームライフルのレーザーを叩き込んだ。


2つの大きな光の輪が広がる。


その輪すれすれをなぞりつつ、ローヤルの機のビームライフルが重巡洋艦の艦橋を


スタッドの機がエンジンに叩き込んでいた。

「!」

カルーマンは叫び声を上げる暇も無かった。


ノーザンの誇るテロリスト掃討で名を馳せた300035部隊は、一瞬で全滅した。


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