最初の夜
はじめまして。
私の名前は渡辺 梨香。
17歳。高校2年生です。
不登校です。
彼氏?いません。
彼氏いない歴=年齢です。
最近の出来事は…
ヴァンパイアと…
---3日前の夜---
「もう…何もかもどうでも良い。」
両親は私が不登校になっても何も言わない。
興味がないみたい。
上辺だけの友達付き合いもうんざり。
この世界に未練はない。
ずっと虐められてきた。
親も先生も友達も誰も助けてくれない。
誰にも言えない心の傷。
辛いだけの日常に終止符を。
そう思って自宅マンションの屋上に来た。
「ここから飛び降りたら一瞬で…」
フェンス越しにぼんやりと下を眺める。
これから死ぬんだ…私
「最後くらい何か良いこと起きないかな…」
…なんて
起こるはずないか。
期待もしてないけど
「何してるの?」
低い男の人の声に驚いて振り向くと
月明かりに照らされた黒髪の男の人が立っていた
「…関係ないでしょ。放っておいて」
誰なの。この人…!少しこわいよ。
「関係あるよ」
冷たく突き放したのに何なの…?
「それに泣いてる人を放っておけないしね?」
泣いて…ない。
「…どうして、泣いてると思うの?」
「悲しい顔してるから」
誰にも気付いて貰えなかった事を
気付いて貰えて少し嬉しいかも…
「あんたは?こんなところで何してるの?」
「探してた。」
少しずつ近付いてくる男の人。
しっかりとした鼻筋
パッチリとした目
長いまつげ
小さい顔
そして…
「綺麗な赤い瞳…」
待って、今声に出ちゃってた!?
「知ってる。」
見下すような顔で少し笑った男の人
私のヴァンパイア