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海辺のベンチ

作者: 西澤 瑠梨



僕が住んでいた街は近くに海があって、浜辺からは地平線に沈む夕日が綺麗に見えるという、地元の人にはちょっと有名な場所だった。

夕方には散歩に来る人も多く、犬や子供たちが遊んでいたりするような、憩いの場所でもあった。


僕はその海沿いが通学路で毎日通っていた。そんなある日浜辺にあるベンチにある女の子がいた。学年も、名前も知らない、さらに言えば顔も知らない。いつも彼女は海の方を見ていたから。知っていたことは、彼女は2歳下で同じ中学で同じ高校に進学したこと。まさか将来同じ大学に進学するとは思ってもみなかったけれど。


彼女はいつもそのベンチに座っていた。大体は1人か友達と一緒に、ある日は彼氏らしき男子と一緒に。彼氏らしき男子と一緒の日は少し心が痛んだ。彼女と仲が良かったわけでもなく、寧ろ話したこともなかったのに心が痛いと思った。

1人で座っていた彼女は大抵本を読んでいた。遠目からでもわかる、クルクル変わるその表情に惹かれていた。

夏のある日、彼女は友達とシャボン玉をしていて、そこでシャボン玉を目で追いかけていた彼女とたまたま目が合って、にこりと微笑んでくれたことを覚えている。


そんな毎日も僕の大学進学によって終わりを告げた。県外に進学したのだ。毎日見ていた彼女と、話すこともなく別れてしまうのは心残りだったけれど、話しかける勇気もなくて諦めていた。


入学してもう2年、彼女のことが忘れられず、ベンチを見ると未だに海辺のベンチに座っていた彼女を思い出してしまう。今年から彼女はどこへ進学したのか、気になったが知るすべもなくいつものようにサークルに行く。今日から新入生がサークルを覗きに来ると聞いていた。



僕はまだ知らない。彼女と運命の再会をすることを。

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― 新着の感想 ―
[一言]  運命のいたずらは怖いです。
2017/05/09 14:32 退会済み
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