1話~始まり~
一週間に一回アップしていこうと思います!
よろしくお願いします!
「ぐわぁぁぁぁぁっ!!」
体が危険を訴える。
理不尽。
言葉を挙げるならその一言に尽きるだろう。 全身の神経と言う神経が千切られる感覚が続いている。
別に魔物に襲われたとか、事故が起きて馬車に轢かれたとか。 地球で言うならトラックに轢かれたとか。 そう言うものではない。
では何が起きているのかって?
いや、こう言うのも恥ずかしいんだが...
勿体ぶるな? 仕方ないな。
今、俺は!
関節技を!!
決められている!!!
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時は戦国.... ではなく、平成32年の日本。
大地の腐敗による食料、疫病問題によって国家壊滅の危機を強いられた日本では、発達したIT技術により人々のIT化を勧める様になった。 つまりロボットになれ、と言うものだ。
完全にロボットになる訳ではなく、人造人間、どれだけ機械化をしても人間の生殖器、心臓以外の臓器を機械化する程度のもので、勿論血は流れるし、老化もする。 人間とほぼ変わりない暮らしが出来るのだ。 これをするだけで死ににくい 、だが体の機械化に反発する者も少なくない。
『病気への膨大な耐性の他・寿命の延長・運動能力の増加。 さらには食事をしなくても電気を栄養に変える臓器を体内に植込む事によって飢えることはまず無いだろう』
俺はそんな内容を報道するテレビを欠伸をしながら見て、呟いた。
「この体にも慣れてきたな。 母さんや父さんも機械化をしていれば......」
体を機械化するに当たって必要な条件がある。 それは莫大なお金と健康な身体だ。
俺の親は大地の腐敗に第一に巻き込まれた犠牲者で、病死してしまったために機械化を行えなかった。
ギリギリ病気にかかっていなかった俺は、親の財産で体の機械化を行った。
体の機械化にも色々種類があるようで、機械化する部分や機械の種類など、様々なバリエーションがある。 俺は大地の腐敗によって感染する肺・胃・脳(五感)だけを機械化した。 選ぶ機械は勿論現時点では最高クラスの物で、改造した肺は最高の肺活量、胃は毒にも耐え、脳は並列思考が出来、五感はより敏感になった。
その分お金は普通の物より億単位はかかり、親の保険金を含めた全財産の8割は消失してしまったが、後悔はしていない。 俺の親が五感を消失する前、機械化をしろと、俺だけは絶対に生き残れと言った。 要は "絶対に生き残れる様に良いものを買った" 訳だ。
値段の話は良いとして。
機械化をしても暮らしは人間でいた頃の生活とほぼ変わり無い。 変わりは無いが、臓器が機械になるので当然体が慣れるまで時間がかかる。 そんなリハビリも含めて毎朝運動する様にしている。勿論、機械化のせいで息は切れにくいし、周囲の些細な変化がわかる様になった為、運動の辞めどきも分かる。 気づくと運動が楽しくなっていた。
携帯の画面から映るテレビを見終わった俺は、毎日の日課である運動を始めようと体を動かした。
その時だった。
大気中がぼんやりと紫色に照らされている。
腐敗した地面から湧き出た紫色の光弾が浮かび上がり、紫色に光る蛍が辺りを飛んでいるかの様に優雅に飛ぶ。
そんな異質な、かつ幻想的な光景に俺はしばし見とれていた。
気が狂ったのだろうか。神々しく、それでいて毒毒しい光弾に見とれ、さらには俺は触れてしまった。
光弾に触れた手が光る。 ジリジリと焼ける様な痛みと共に、光弾が体内に浸透していった。
「あぐぅっ!」
触れた光弾が体内に浸透すると、辺りを優雅に飛んでいた光弾が一斉に自分に飛びかかってきた。
視界が紫に染まる。
体内に何か異質な力が浸透していくのを感じた。 痛みは少ない、だが途轍も無い吐き気と気怠さがした。 体を機械化した時と同様の症状だ。 まるで、体に新しい臓器が出来たような感覚。
次第に吐き気と気怠さが治った。 代わりに五感が薄くなっていく。
周囲に何があるのかも分からない状況で記憶を辿り、自分の家まで戻ろうとした。
生きなければならない。
最後にそう思った俺は意識を手放したのだった。
主人公! どうなった!?