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96話目 秘密の場所

 む? 何故私がこんな場所を知っているのかだと? なに単純な話だ。小さい頃に偶然この場所を見つけてな。それ以来そうやって自分だけの場所を探すのが趣味になっただけだ。……まあ確かにリョウ殿の言う通りこんな場所を子供が偶然見つけるというのは可笑しな話ではあるが、そんなに面白い話でも無いぞ? 


 私の父は元々帝国の生まれではなくてな。見分を広めるためなのかは分からないがそれこそ国を跨いで転々としていたのだ。私が物心付く頃には既に旅に出ていたから何処が故郷なのかもよく分からないし、母もいなかったのだが当時は『そういうものなのか』という感想しか無かったな。


 いや、寂しくは無かったぞ? 確かに血の繋がった家族と呼べるのは父しか居なかったが、その代り父の周りにはいつも色々な人が居てだな、父の周りをウロチョロしていた私の面倒をよく見てもらっていたからな。そのお陰で剣の扱いも誇れるものに……、リョウ殿やシャル殿を知った今となってはそうも言えないが、とりあえずその辺の兵士等には負けない程にはなれたな。うむ。


 ともかく、周りの大人達から見ても私の剣の才能は目を見張るものがあったらしくてな。旅をしていたこともあって同年代の友人も出来なかった私は褒められるがままに剣に打ち込んだというわけだ。


 そしていつからだったかは憶えていないが父は帝国を拠点にして活動をし始めたのだ。旅をしなくなったこともあり私はより一層剣の修練に励んだのだが、父はどうやら私に隠して、それも他の大人達と共に何かをしているらしいと気付いた私はそれを自分にも手伝わせてくれとせがんだのだ。


 察している通り父達がしていたのはクーデターの準備であったから、無論それを幼い子供が手伝えるはずもない。当然父や他の人達は私の事をそれから遠ざけようとしたのだが、その事が私は面白くなかったというわけだ。


 剣の腕には自信があり、周りの人達が私に構う時間も減っていく。だというのに父達は私をのけ者にする。それで癇癪を起こした私は父達に構って欲しくて修練を放り出して飛び出してしまった。そして何処かへ行きたくて我武者羅に走った私はここを偶然発見したというわけだ。


 とくに怒られたりはしなかったぞ? というのも、ここからの眺めを存外に気に入ってな。しばらく眺めるのに夢中になっているとすっかり機嫌を直してしまって、結局いつもの時間通りに帰宅した私が叱られる事は無かったのだ。


 それからはフラフラと何処か眺めの良い場所や居心地のいい場所を探すのが趣味というか日課になってな。当然中々見つからないが見つかった時は殊の外気分が良くなったものだ。


 ……ああ、そういえば誰かをこうして連れてくるのは二人が初めてだったな。友と言える人物は結局出来なかった上に大人達は忙しそうにしていたからな。いや、話しかけてくる子供も居る事には居たのだ。ただ私はいつも剣の修練をしていたから他の遊びをよく知らなくてな? それで片っ端から修練に付き合わせていたらいつの間にか誰からも話しかけられなくなってしまってだな……。それに結局私が誰かにしっかりと師事する事も無かったから、そういう意味でも二人は私にとって特別なのかもしれないな。


 まあ、とにかくそうやって私はここを見つけたというわけだ。まだ何か所か連れて行きたいのだが何か予定は……、無いのだったな。では少し遠いが次の場所にそろそろ行くとしようか。

そういやリーディアの昔話的なのしてなかったな、と。

そんでこんな犬系の娘を押し付けて懐柔しようとするボロスマジ外道。

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※話の大筋は変えませんが、最初から150話くらいまでの改稿予定(2019/12/7)  改稿、ってか見やすさも考慮して複数話を一つに纏める作業にした方がいい感じかな?  ただし予定は未定です。「過去編」「シャル編」「名無し編」は今は触りません。触ったら大火傷間違いなしなので。
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