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131話目 実はこれ本編なんですよ

 何をどうやったかは知らんが犯人は確定した。冷めた目でじぃっと見てやるがどうやらシラを切るつもりらしく、ドラ助は狸寝入りを続行している。ほーん。


 ずかずかと近寄り、チンピラよろしく口を半開きでガンをつける。なんだったらウンコ座りもする勢いだぞ、おい。


 ドラ助はダラダラと汗を流しだしたが、『自分は知らないぞ!』とばかりに俺を無視して犯行を認めようとはしない。ならばとヤツの瞼に顔をグイと近づけると、思わずといった具合に顔を逸らした。


「オラ! いい加減にしろこの駄トカゲ!」


 割と容赦なくビンタすると鱗のせいかバチッ、ともベシッともつかない中途半端な音が辺りに響く。音は鈍かったが効果はバツグンだったようで、ドラ助は『ギュオオアアアア!』と叫ぶとすぐさま反転して逃げ出そうとした。させるか!


 こっちに尻尾を向けたので、俺は丁度良いとばかりに尻尾を掴みずりずりとガイシャの元へホシを引きずっていく。最後の抵抗とばかりに必死にもがいているが、地面が削れるだけで脱出は叶わずにいる。


「リーディア! 犯人を連れてきたぞ!」

「ほ、本当か! リョウ殿!」


 彼女は慌てて駆け寄ってきたが、すぐにその顔に困惑が浮かんだ。彼女もこの数年でトカゲの扱いにも大分慣れてきていたが、まさか自分の剣を盗むとは思ってもみなかったようだ。一方で後から到着したシャルはドラ助を見るなり『あちゃー』とばかりに手で額を抑えていた。練度が違うな。


「ドラ助、リーディアの剣をどこにやったんだ?」


 敢えて声を荒げずに問うてみる。だがホシは器用にも前足で顔を隠し、イヤイヤと首を振って黙秘権を行使しやがった。でもそれ遠まわしに犯行を認めてるよな? さてどうやって吐かせようか、と考えたところでふと気づく。コイツ喋れないから吐かせるもクソもねーじゃねーか、と。


 うーん、と俺が頭を悩ませているとリーディアが口を開いた。


「ドラ助、貴殿がどのようなつもりで私の剣を盗ったのかは分からないが、あれは私にとって何物にも代えがたい、とても大切な物なのだ。私の態度が気に食わなかったというのなら謝罪しよう。普段の行いも改めよう。だからどうか、あの剣をどこにやったのか教えてもらえないだろうか」


 そう言う彼女の顔は真剣で、心からの懇願だった。流石のドラ助も良心が痛んだようだが、まるで助けを求めるかのように、チラチラとこちらに視線を送っている。どっかに隠したのならその場に行けばいいだけだろうから、多分何か説明しなきゃいけないが喋れなくて困ってるってところだろう。丁度よく案も思いついたところだし、それで説明をさせるか。


「ほれ、剣を元の場所に作ってやったから何をやったか再現して説明しろ」


 はーい、再現VTRスタート。

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※話の大筋は変えませんが、最初から150話くらいまでの改稿予定(2019/12/7)  改稿、ってか見やすさも考慮して複数話を一つに纏める作業にした方がいい感じかな?  ただし予定は未定です。「過去編」「シャル編」「名無し編」は今は触りません。触ったら大火傷間違いなしなので。
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