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117話目 QKK(急に キラーウルフが 来たので)

 えー、(わたくし)ことリョウですが、現在絶賛正座中にてございます。眼前には珍しく怒りを露わにしたシャルと、それに並んで仁王立ちしているライザがいらっしゃいます。あ、リーディアはその辺にお立ちになって暇そうにしております。そして私はというと敷物を敷くことは当然の如く許されませんでしたので地べたにそのまま正座をしているのですが、地面が血で微妙に湿っているため不快なことこの上ありません。


 どうしてこのような仕打ちを受けているのか? その理由を説明するには(いささ)か時間を巻き戻す必要がありますでしょう。憎き怨敵であるキラーウルフを視界に捉えた瞬間からユーはショック、指先一つも残さぬとばかりにいきり立って我を失ってしまいました。


 何故最初に気配を探った時にはヤツらのことに気が付かなかったのか。この疑問の答えは非常に簡単でして、私が知っているキラーウルフの気配と少々異なっていた事が原因となっております。と言いますのも、今回撲殺したキラーウルフ達は私の知るそれよりも一回り以上小さく、それに比例して生命力とでもいいましょうか、そういったものが弱かったのであります。そのため存在自体には気が付いていたのですが、それがキラーウルフであることに気づくことができなかったため今回のような醜態を晒すことになったのです。


 閑話休題。


 そうしてチームの下を勝手に離れて勝手な行動をしたために二人の怒りを買ってしまい、その結果このように正座をさせられてしまったという次第であります。……叫んだ後、怒涛の勢いで質問をしてくるライザを適当に相手しながら片手間にキラーウルフの死体の束を地面にビターンビターンと叩き付けて遊んでいたら、その一つが手からすっぽ抜けて多量の血の雨が周囲一帯に降り注いでしまった上にライザの顔面に血の塊がぶつかった事も多少は原因かもしれませんが。


「それで、今回のことで何か釈明はあるか」

「誠に申し訳ございませんでした」


 シャルが使用した魔法により彼女らからは一切の汚れが消え失せたとはいえその怒りまでは消えてくれなかったようで、般若の形相をしたライザが威圧感を放ちつつそう俺に聞いてきた。威圧感自体はどうということはないのだが、流石に色々とすまなかったと思っているので言い訳することなく謝罪をすることにする。なんとなく勢いでそのまま土下座してしまったが、手をついた場所が丁度血だまりになっていたようで物凄く気持ち悪い。しかもここで魔法を使えば即座にシャルにバレるのでどうすることもできない。うへぇ。


 ちらりと顔をあげてライザの顔色を窺ってみると何やら難しそうな顔をして眉間を揉んでいる。俺が素直に謝ったためかどうやら一応は怒りをそれなりに引っ込めてくれたようだ。


「まあ確かにお前達が対処しなけりゃヤバいことになっていたのは間違いねえからな……。だけどな! 四人で一つのチームだっていうのに勝手に行動するんじゃねえ! 最低でも何をするつもりなのかぐらいは言ってから行動しろ!」

「え、でもあいつらを皆殺しにするって言ったような……」

「ああ?!」

「いえ、何でもないです」


 顔をあげて反論しようとしたら封殺されたでござる。なんという理不尽。それからも、やれ気づいてからの対処が酷過ぎるだの、キラーウルフの死体の状態が悪すぎるだのと説教は続いていく。ライザがぐちぐちと言うことによれば、キラーウルフの死体は余すことなく有用であるため状態の良いものはかなりの高額で取引されるのだという。ただ、その有用性も俺が駆逐したキラーウルフよりも下らしく、万病に効く薬等は作れないようでキラーウルフを狩ったからといって位の高い騎士に取り立てられるようなことは無いようである。


「返事は?!」

「はい!!」


 そんな風に違う事に違う事に考えを巡らせていると敏感に察知してきて返事を強要させられる。そのため彼女の説教をしっかりと聞く事になり、背筋も伸ばしていなければならないためその負荷は自然と足に集中して段々と感覚が薄れていく。足の痺れが深刻な状態になっても説教は止まらず、俺は涙目になりながら一刻も早く説教が終わることを願ったもののその願いが通じたのは小一時間は経過してからのことであった。

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※話の大筋は変えませんが、最初から150話くらいまでの改稿予定(2019/12/7)  改稿、ってか見やすさも考慮して複数話を一つに纏める作業にした方がいい感じかな?  ただし予定は未定です。「過去編」「シャル編」「名無し編」は今は触りません。触ったら大火傷間違いなしなので。
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