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第59話 酒と遊女と薬


 ヨシト=ウッドヤットは堂々たるさまで、ルイーダスの酒場に足を踏み入れた。

彼の立派な体格と相まって、実に落ち着いて慣れた風に見える。

しかし、彼の心はドキドキで全く余裕が無かった。

何も言わずにカウンターの椅子に腰をかけると、視線だけを動かし辺りを確認する。


どうやら、メニューなど無いようだ。

(どうしよう、困ったな。酒の知識はあるけど、どれがどれやら解らんぞ)

女性管理者から与えられた知識により、酒の銘柄やその特性については知っていたが、注文の仕方や値段まで彼は知らないのだ。

焦るヨシトをよそに、獣人の男である店の親父が近付いてきて、カウンター越しに声をかける。


「お客さん、注文は?」

「その前に確認したいんだが、この国では酒はいくつから飲めるんだい?」

酒場に足を運んでおいて、妙なところで真面目なヨシトである。

店主は怪訝そうな顔で説明する。

「この国じゃ、『かせ』が外れていれば年は関係ない。だから兄さんは問題ないよ。あんた外国の方かい?」

その言葉に、心の中でホッとすると、これ幸いと質問する。


「ああ、だからこの国の酒場は初めてだ。メニューとか無いのかい?」

主人は、少し呆れ気味に返事をする。

「酒場なんて、どこも同じだろうよ。…まあいいさ。上の棚が一杯1000ギル、中が500から800ギル、下が400以下だ。ほれ、棚の右端に書いてるだろう。つまみは一皿500ギルだが、3杯以上飲んだらタダだ。それ以上欲しけりゃは別に500ギル支払ってもらう。まあこんなとこだな」


(なるほど、日本のショットバーに似ているな)

ヨシトは、更に質問する。


「食事とか出すのかい?」

「いいや、頼みたきゃ3軒隣の店から取り寄せになる。一品につき500ギルの手数料をもらうぜ。まあ、ここは酒を飲む店だ。頼む奴はめったにいないな」


最後に、ヨシトは質問する。

「ところで、あなたをどう呼べばいいんだい?」

男は愉快そうに笑うと、少し親しみをこめて返答する。

「俺は、ルイーダスだ。親父でも主人でも何とでも呼べ。ここはそれほど大した店じゃねえよ」


店の中から、客達の笑い声が聞こえる。

ヨシトは今までテンパっていて気付かなかったが、どうやら4,5人の客の気配がする。

(まあ、初心者だししょうがないか。旅の恥はかき捨てだ)

恥ずかしい気持ちを無視して、早速注文する。


「親父さんのお勧めはあるかい?」

「ああ、予算とかあるのかい?」

ヨシトが初心者と見抜いたルイーダスは、わざわざ親切に聞いてくる。

どうやら悪い人ではなさそうだ。


「3000ギル以内で4,5杯飲ませてよ」

「まかせな。ところで好みとかあるかい?」

「いいや、だが最初は軽めの酒がいい」

「ああ、じゃあまずは自家製の黒麦酒を出そう」


親父は、カウンター上の樽の栓を抜くと日本で言う小ジョッキに、なみなみと酒を注ぐ。

泡が少ない事を除けば、地球の黒ビールそっくりだ。

目の前に出された黒麦酒のにおいは香ばしく、思わず喉が鳴る。


期待を込めて一口ごくりと飲む。

(少し甘い。それに冷えてないのに美味しく感じるのは不思議だ)

鼻に抜けるアルコールの感じが心地いい。

「親父さん、酒は冷やして飲む事はしないのかい?」

「ああ、それは邪道だな。だが、高級店ではやってるとこもあるぜ。俺は気に入らんが、女性受けは良いらしいな」


なるほど、爽快感と言うより口当たりの問題だろう。

酒好きには、わざわざそんな事をする必要もないのかもしれない。

(つまり、俺はいける口だということかな? よし、試してみよう)

黒麦酒を味わいながらも飲み終わるヨシト。


「親父さん、次頼むよ」

「ああ、待ってな」

次にルイーダスが用意したのは、一般的な蒸留酒だ。

中の棚から瓶を取り出すと、小さなコップに3分の1ほど注ぐ。


「これは、ミルルク村の特産で、エール酒だ。好みによっちゃあ果実を入れて飲むが、今回はそのまま飲んでみな」

軽く一口飲むと、独特の香りが広がる。

「いい風味だね。これは木の匂いかな」

ルイーダスはにっこりと笑うと説明する。


「それは、魔木の端材を樽の中に入れ、一緒に熟成させたものだ。なかなか良いだろう」

なるほど、確かに開拓村ならではと言える。

飲んだ感じは、ウイスキーと焼酎を足して2で割った不思議な後味だ。

アルコール分は、それほどきつく感じない。


「確かにいい感じだよ親父さん。そろそろ、もう少しきつめがいいかな」

「ああ、次は体にしみわたるのを選んでやるぜ」

二人はすっかり意気投合した様子だ。


それから、計5杯ヨシトは飲み終わる。

やはり、彼は酒はいける様だ。

(人生の楽しみが、また一つ増えたな)

この世界に来て、初めて大人の喜びを知った貴重な経験だった。


親父さんに礼を言い、3000ギル支払って席を立つ。

どうやら、いい感じにほろ酔い気分になり、すっかりご満悦の様子だ。

これから、夕食というより夜食を食べる為に店を出る事にする。


(お祈りする前までは、このまま酒を抜かずにいようかな。ああ、酔っ払うとラーメンが食べたいけど、この世界には無いしな)

ラーメンはともかく、前世の夢の事を考えても、ほとんど2年ぶりの経験だ。

もう少し、酔っ払いでいてもいいだろう。


そもそも魔術を使わなくても、ほとんどの人間族は二日酔いに苦しむ事は無い。

だが、ヨシトは女神様にお祈りする際に酔っ払っているのは失礼だと感じるので、アルコールを浄化する事にしただけである。

最も、お祈りの相手の性格を知っていれば、彼はそんな気は使わなかっただろうが。

女神様は、逆に大笑いして喜んだかもしれない。


知らない事は、ある意味、幸福な事だと言えるのだろう。

その生きた証拠であるヨシトは、千鳥足で村の通りを歩いて行く。

すると、彼の後ろについてくる人がいる。

その気配に気付いたヨシトは、立ち止まり、振り返る。


獣人の女性だ、派手な格好をしている。

「何か用ですか?」

ヨシトは、念のため浄化魔術でアルコールを抜く。

せっかくいい気分だったのに残念に思うが、こればかりは仕方がない。

女が近付いてきて、彼に話しかける。


「お兄さん、楽しまない? 1万ギルでどう? 天国に連れて行ってあげるわよ」

ヨシトは驚く。

ストリートガールは珍しいのだ。


「いえ、せっかくですがお断りします。他を当たってください」

そっけない態度にも、彼女はあきらめない。

「兄さん、8000ギルでもいいわよ。でもこれ以上は駄目よ。おまんまの食いっぱぐれになっちゃうからね」

「いいえ、本当に必要無いんです。俺はまだ子供ですから」


酒場に入っておいて、そんな言い訳は無いとは思うが、彼はそう思っている。

女は、溜息をつくと事情を話し出す。

「子供の薬代を払わなきゃいけないんだ。何とかならないかい?」

気の毒には思うが、ヨシトは首を横に振る。


女は必死に話しかける。

「じゃあさ、これを買ってくれないかい。客からもらったドラッグだよ。これを使うといい気持ちになるんだ。特にあれの時使うと最高だってさ」

女は手を差し出し、粉末状の薬が入った小瓶を見せる。


これは別に珍しい事では無い。

人間族にはドラッグ、いわゆる魔薬(麻薬)は大して体にダメージを及ぼさない。

習慣性も無ければ、副作用もほぼ無い。

ネオジャンヌでも、薬屋や医院で簡単に手に入る代物だ。

愛用している人間族も多く、日本で言うなら大戦直後のヒロポンの感覚に近い。


しかし、ヨシトは違った。

もちろん、日本人の感覚が抜けきらない部分も大きい。

だが、本当の理由は彼の住む環境にあった。

魔薬(麻薬)は、確かに人間族には大した影響は無いが、獣人族にとっては文字通り、魔の薬だ。

地球人類と同様に、使い続けると廃人になっていく。


そして、その結果が孤児たちだ。

彼は、魔薬を心から憎んでいた。

その薬だけは許せないが、この獣人女性に言っても仕方がないだろう。

人間族の国では、一般の薬と同じ扱いなのだから。


「お姉さん、そんな薬、捨てたほうがいい。あなたの体にとっては毒と同じだよ。自分で使ってしまったら、子供さんを不幸にするよ」

その言葉に、女性は逆切れする。

「あたり前さ! だけどあんた、あたしを買ってくれないじゃないか! とりあえず金が必要なんだよ。5000ギルで構わないよ。買ってくれないかい」


無視する事は出来なかった。

買うべきだろうと思う。

値段的に見ても、別にふっかけてはいない。

彼女の様子にも、嘘は見られない。

ならば、慈善事業の様な物だろう。

品質に問題無ければ、薬品としても使えるのだから。

それに、仮設医院にも備蓄は無かったはずだ。

麻薬の中身が粗悪品なら、捨てればいいだけだ。

そんな事を考えて、苦笑するヨシト。


(何だか、全部言い訳っぽいな。魔薬に対する罪悪感なんて、人間族には無いのに。俺はもう日本人じゃないんだから、前世の感覚に引っ張られないように気をつけないと)

彼は決断して、薬瓶を受け取ろうと遊女に近付く。

だが、彼の直観力が警鐘を鳴らす。

(何だ? この違和感は。流れが自然過ぎて、逆に不自然だ)

彼は、女の目の前に立ち、尋ねる。


「お姉さん。その薬はいつ手に入れたんだい?」

「ついさっきだよ、親切な旦那にもらったんだ」

更に、疑念が深まる。

(あまりに都合がよすぎないか? まあ一応、調べるか)


「姉さん、それを買うかどうか、少し考えるから待っててくれ」

彼女は、ニッコリ笑って頷く。

ヨシトは念のため、探査系魔術を使う。

良く知る魔力体の情報を探して、思考念波の網が広がる。

そして、愕然(がくぜん)とする。


「……姉さん、その薬を買う訳にはいかない。それは、赤い髪で黒い瞳の人間族から手に入れたんだろう?」

女は、驚きの表情を浮かべる。

「あんたたち知り合いなのかい? …あたしを担いだのかい! どうして、そんなひどい事するんだい」

どうやら、間違いないらしい。

ヨシトは黙って魔術を発動し、250m程離れて2階の窓からこちらの様子を覗っていたミルトル教官を拘束した。


「お姉さん、事情は後で説明する。一緒に付いてきてくれないか」

何を勘違いしたか、獣人女性は喜んで「毎度あり!」と言った。


急ぎ足で歩きながら、ヨシトは怒りに震える。

(どんな事情かは知らないが、許せない。絶対にだ!)

女の鼻歌を聞きながら、ヨシトは黙々と歩いた。



村にある、比較的こましな宿屋に入っていく二人。

宿屋の主人に頼んで、二階にある、その部屋を空けてもらう。

主人が部屋のドアをノックしても、客からの返事が無い。

「俺が拘束してます」と言って身分証明書を提示し、鍵を開けてもらうようにお願いする。

女が不安そうに見ているので「大丈夫ですよ」と、にこやかに笑う。


真っ暗な部屋の中には、ミルトル教官が無様に転がっていた。


部屋の明かりをつけて、ヨシトは尋ねる。

「お姉さん、あなたに話を持ちかけたのは、この男に間違いないかい?」

女は、何が起こっているかも解らないまま、

「ああ、そうだよ。一体何の冗談なんだい?」と答える。

ヨシトは、ミルトル教官の拘束を手足だけ残して解き放つ。


彼が使ったのは、魔術とは言えない強引な物だった。

相手の魔力体に無理やり干渉し、体の自由を奪い、魔術の発動を困難にする。

非常に燃費が悪く、ヨシトをもってしても、たった一人を30分ほどしか拘束できず、ギフトの発動は押さえられないが、この場合は有効だろう。


「一応、弁明は聞きます」

「この化け物め!」


ヨシトは完全に無視して、宿屋の主人に確認する。

「この国では、魔薬の扱いはどうなっていますか?」

主人は答える。

「最近、外国人の所持が禁止されたんだ。近いうちに全面禁止になるって噂だよ」

ヨシトは氷のような瞳で、目の前に転がる男を見つめる。


「もう一度聞きます。何か弁明はありますか?」

「医師の所持は禁止されておらん。貴様のやっていることこそが犯罪だ!」

「そう言う問題じゃないんだよ馬鹿が!」

そして振り返り、宿屋の主人に向かい簡単に事情を説明する。


内容を聞き終わると、宿屋の主人もゴミを見るような目でミルトルを見る。

「お願いがあります。俺は、この事を許すつもりはありません。今夜の事を証言してもらえますか?」

「ああ、構わんとも!」

さすがに分が悪いと感じたのだろう。

ミルトルは苦しい言い訳を始める。


「何の犯罪も犯して無い人間を裁く気か。思いあがるなよ、ガキが!」

ヨシトは完全に無視して、宿屋の主人に話す。

「証拠物の魔薬は、俺が持ってると問題があるみたいです。そこで、もう一つのお願いです。ご主人が彼女から形式上買い取った事にして預かってもらえませんか。そして、お代は開いてる宿屋の部屋を借りる名目で、俺が支払います。あなたに、ご迷惑をかけるのは忍びないのですが、何とか協力してもらえませんか?」

主人は、少し考えたが「よし、それくらいなら力になろう」と快諾した。


女は事情を理解して、ヨシトに提案する。

「さっきは5000ギルでいいって言ったけどさ、やっぱり1万ギルでどうだい?」

ヨシトは笑って了承した。



後は、ただやる事をやればいい。

宿屋の主人にロープを借り、ミルトル教官をぐるぐる巻きにして仮設医院に運び込む。

追い詰められたこの男は、何をするか解らない。

部屋に居たルイスに事情を説明し、見張りを頼むと、

「今日は最高の日ね!」と請け負ってくれる。


それから、残り二人を探そうと考えたが、ちょうどタイミング良く帰ってきた。

どうやらナンパには失敗したようだが、この場合は好都合だ。

事情を聞くとタルザは、「ぎゃははは! ヨシト、お前最高だぜ」と小躍りする。

アスランは、「身の破滅だな、ミルトル教官。いや、そう呼ぶのも今日で最後かもしれないな」と軽蔑した目でにらみつけた。


ミルトルは苦し紛れに叫ぶ。

「いいのか貴様ら、軍務実習が中止になれば卒業しても、行き先など無いぞ!」

「はん、こんな愉快な事、黙っとけるかよ」

「まさか教官は、明日から何事も無く私達に指導する気でいるんですか? 正気を疑いますね」

「例えそうなっても、俺は構わないよ。当然だろう」


3人の奨学生達の意見を聞くと、ヨシトは話す。

「俺が、そんな事させません。どんな手を使ってもね」

ミルトルは、蒼い顔をしながら叫ぶ。

「貴様に何が出来る。私は、別に医師の資格を失う訳じゃない。別の就職先を選べばいいだけだからな。だが、お前らは違うだろうが。それで勝ったつもりか化け物め!」


ヨシトは冷静に語り出す。

「確かにそうかもしれない。でも、俺が勝ったわけじゃない。あんたが勝手にやらかしたんだよ。俺はただ、マキシム医術専門院の判断に従うだけだ。あなたを裁くのは、この国の法律じゃない。もちろん俺でも無い。医師としての倫理があなたを裁くんだよ。この阿呆が!」


その言葉を最後に、ヨシトは医院を出てマキシム大学院へ飛んで行く。

もう、この男と話す事は、何も無いのだから。


―――――――――――――――――――――――――


その後、事情を聞いたラオス学院長の判断は早かった。

事実を確認するため、ヨシトと一緒に即座にミルルク村に向かう。

まず、宿屋の主人に事実関係を確認すると、証拠物である魔薬を受け取る。

そして、仮設医院に訪れるとミルトル教官に面会する。

ラオスが、学生達に命じてミルトルの拘束を解かせ、重々しい声で話し出す。


「何か弁明があれば聞こう、ミルトル君」

「こいつらの言ってる事は、全部でたらめです。彼らは私に恨みを持っているんですよ。特にウッドヤットはそうです。全部この男が仕組んだ事です学院長」

ラオス学院長は、表情を一切変えず、その苦し紛れの弁明を聞く。

そして、あくまでも冷静に話す。


「確かに、君は慎重な男だよ。普通はこんな事をしでかすとは思えない。それに、ウッドヤット君の能力なら、君を追い込む事も可能かも知れないね。だが、君は彼を舐めてるね。もし彼が本気なら、君はこの程度では済まないよ。…忠告しておこうミルトル君。君では、どうやっても結果的に勝てないだろう。彼を本気にさせる前に、いさぎよく教壇から去りたまえ」


ミルトルは考える。

(自分の計画は、ある程度、偶然に頼った物だったかもしれない。

だが、仕込みは完璧だったはず。

奴の行動パターンも調べた。

上手くいけば良い程度の気持ちで、用意していた事が次々とはまった。

医院から一歩も出さないようにして10日、しかも明日は軍務実習の本番だ。

私が見放したと思って、いくらなんでも気が緩むはず。

実際こいつは、酒場に出向いたではないか。

始めは、こいつの荷物の中にでも忍ばせようと思って用意した魔薬だった。

だが、都合よく金に困った遊女が現れた。

奴はこの後、夕食を食いにいつもの店に向かうはず。

チャンスだと思った。

女にこいつの話をして、「断られても魔薬を売りつければ良い」と誘導した。

最悪、後で疑いをかけられても、遊女の言う事など誰も信じないだろう。

医師である自分は、何の法も犯しておらず、しらばっくれればいいのだから。

そして匿名の通報をすれば、奴は飯屋で捕まり、いくら未成年と言っても問題になり、上手くいけば学院を退学になるだろう。

だが、まさか現行犯で捕まえられるとは予想だにしていなかった。

そもそも魔術も無しに、どうして私の居場所が解ったのだ?

体がマヒして、逃げ出すどころか魔術の発動、いいや、しゃべる事さえ出来なかった。

一体こいつは何だと言うんだ。

もう、私の目の前から消えてくれ)


そして、彼は気付く。

(…そうか、私が奴の目の前から消えるだけか)

ついに、ミルトルは観念したのだ。


その場で突きつけられた、学院長からの懲戒解雇処分を彼は素直に受け入れた。

狡猾こうかつな小物は、ヨシトの前に二度と現れる事は無かったという。

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