ほしい。
ぼくはずっと、
じぶんにないものを、
ほしがっている。
「あれがほしい」
ぼくのてもとにないものが、
ほしくて、ほしくて、たまらなくて。
しょうがくせいのころは、
おにいちゃんがもつ「うんどうしんけいのよさ」というものを、ぼくもてにいれたかった。
ちゅうがくにあがったころも、
いとこのおねえちゃんがもつ「ちせいのゆたかさ」というものを、ぼくもてにいれたかった。
こうこうせいになったときには、
ともだちがみなもっていた「こいびと」というものを、ぼくもてにいれたかった。
ほしい、ほしい。
ずうっとねがって、がんばって、
ようやっとてにいれたとき。
なんだろう。
こころはまるでうるおわなくて。
むしろ、ますますかわいていく。
ほしかったものは、てもとにあるのに。
みたされたはず、というのに。
まだ、たりない。
あれもない。
これもない。
ほしい。
てにいれたい。
じぶんのものにしたい。
ぼくはずっと、
じぶんにないものを、
ほしがっている。
さいきん、かんがえるのだ。
それならぼくには、
どれならあるのだろう、と。
もしかすると。
そもそも、なあんにも、てにいれることができていないのかな。
お読みいただきましてありがとうございました。
一度でいいから言ってみたい、「私は君が欲しい!」というセリフ。