第121話
「魚、次の質問なんだけど、澄くんは私をどうやってここまで運んだの?」
星は澄くんが(気を失った)自分をどう扱ったのかを魚に確認することにした。澄くんのことを信用していないわけではないが(というか星は、澄くんのことをめちゃくちゃ信頼しているが)一応、(あくまで一応だ)私としては確認しておかねばなるまい。
まさか引きずって、とかそういうことはないだろうけど、知っておきたい。(できれば肩を貸して、くらいがちょうどいい)
『ずっと君と海の格闘を見ていた澄は、さっき話したように君が気を失い、海が溶けるように消えてしまったあとになって、ようやく動き始めたんだ。ひどい話だよね。君が気を失う前に手助けしてくれればいいのにさ』
魚は相変わらず澄くんに厳しい、と星は思う。しかも、魚は澄くんの行動の意図を汲み取れていない。残念だけど今回の場合、澄くんの行動は正しい。澄くんは星の思いをしっかりと理解して、あえて傍観したのだ。なにもわかっていないのは魚のほうだった。
「余計なことはいいの。質問にだけ答えて」
星は魚にそう言った。すると納得いかないというか、しぶしぶといった様子の、とても不満そうな声で、魚は澄くんの取った行動を話し始める。
『澄は君をおんぶして家まで連れてきたんだよ。そのころにはまた、雨も強くなってきたから、君の持って行った傘を片手でさしながらね』
「おんぶ!? 澄くんが私をおんぶしたの!?」
星は魚に確認する。
『そうだよ。お姫様抱っこのほうが良かったの?』
無邪気な(子供の)声で魚は言う。
……どっちにしろすごく恥ずかしい。(でも、そうしないと運べないのだから仕方がない)
『別に澄は君の体の変なところを触ったりしなかったよ』
「そ、そんなのわかってます! そういうことは言わなくていいです!」
そう言いながら星は顔を真っ赤に染める。(熱のせいもあって、本当に顔から火がでるかと思うくらいに、顔が熱くなった)
星は(せっかくの美人なのに)相変わらず異性に対してまったくといっていいほど免疫がない。(全然成長してない)
そんな星の様子を見て、はぁーと魚はため息をついた。




