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赤い瞳の冥府の王は白き乙女を手放せない  作者: なかな


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光球と妖魔

完結済

ラブ&コメディで書いてます。

興味を持っていただけたら幸いです、どうぞーーー。



 人通りもまばらな国道沿いの歩道。

 東京でも屈指のハブターミナルである新宿駅も、そこから数百メートルも離れたら静かなものだ。それが夜であればなおさらで、人の代わりにビルの照明や車のライトがすれ違っては消えていく。


 人の生気も失せた夜のアスファルトの道を早足で歩きながら、私が追いかけているのは『妖魔』だ。


 白い姫系コートの裾を揺らして、厚底の靴でコツコツと冷えた歩道を打ち鳴らしながら、その対象物との距離を詰めていく。


 報告を受けていた通りその妖魔は、黒い煙を密にしたような姿でそれほど大きくもない。私の膝の位置ほどの高さしかなく、まだ発生してから大して年数も経っていないのだろう。


「これならまだ、誰かの(たましい)を取り込んじゃってるとか無いよね」


 悪意の(かたまり)から生まれるこの妖魔は、初めは影のように薄い黒色だが、徐々に成長をして煙のようにくすんだ色合いを帯びてくる。

 数々の悪意を取り込みながら巨大化し、その形を人や獣の姿に寄せてきてしまったら、その先の妖魔はとんでもなく危険な魔の物だ。


 姿形を持ち、意識を明確に芽生えさせた妖魔は人を襲うようになる。

 人の魂を喰らい、我が物にする。

 その体内に人の魂を閉じ込め、より貪欲に人を襲い喰らい続ける凶悪な魔の物へと変貌してしまうのだ。


 今回のターゲットはそこまで大層な変化は遂げていないようだ。

 私の緊張は少しだけ和らいだ。


 

 ◇


 

「これなら、力は余り使わなくて済みそうだね。沢山もらい過ぎちゃうと、後で怒られるからなぁ」


 妖魔を前にして、私の特殊な力を増幅する「エネルギー供給源」となっている人の、整ってはいるが好戦的な顔が脳裏に浮かぶ。


「あー怖っ……。エンマの奴、怒った顔がデフォルトだもんね。綺麗なのにもったいないよなぁ。よしっ、距離も詰めたし逃げられちゃう前に行きますか!ーーエンっ」


 私は左手首に記された閻魔大王の「(もん)」を、右手のひらで押さえ繋がりを強めると、息を吸いながらその異質な力を引き込んだ。

 流れ込んできた力の余りの強さに、頭がクラクラする。


「よしっ、立ちくらみぐらいで済むなら絶好調だ。一発で仕留めてやる」


 私は息を吐き出すと同時に、手のひらに作った白い光球を妖魔目掛けて投げ放った。


 真っ直ぐに飛んだ光球は、ズルズルと歩道を進んでいた妖魔の真ん中に当たり、そのまま体内に取り込まれていく。

 白い光は濃い煙のような妖魔の体の中に埋もれ、見えなくなってしまった。


「秒読み開始。5、4、3、2、1っ!」


 私が「(ゼロ)」と呟くと同時に、妖魔の体は内から放たれた白い光に包まれ、そのまばゆい輝きの中で消滅した。


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