表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

道を司るモノ

作者: 藤乃花

下町といっても、山側に建つ平屋に独り暮らしの女性がいる。

いつからかは近くに住む住人にはサッパリ不明だが、もうかなり前から住んでいるのだ。

人々は口を揃えて女性をこう呼んでいる。

『デエタラボッチ』と。


ある日デエタラボッチさんが買い物の為街に向かうと、何人かの住人たちが道路の脇に集まっていた。

傍らには救急車が停止しており、救急隊員たちはその場で患者を応急処置をしていた。

「どうかされました?」

デエタラボッチさんが声をかけると、皆心配そうな表情で彼女を見つめた。

「あ……デエタラボッチさん、困った事が起きたんだよ」

「心臓の病を抱えてるこの患者さんのもとへ救急車が到達したは良いがね、舗装されてない道路のせいでタイヤがパンクしてしまったんだよ」

かなりの田舎でガタガタ道の砂利が行く手を阻み、救急車は使えない。


そこでデエタラボッチさんが思案する。

良い考えが即座に浮かんだ。

「お任せ下さいな」

デエタラボッチさんは身を屈め地面に手を置くと、滑らせるようにその手を手前に引いた。

まるで紐を手繰り寄せるような動きで、道を引っ張ったのだ。

「はい、病院をこちらがわへ引き寄せましたよ」

見るとデエタラボッチさんの言葉通りに、目の前に病院が建っていた。

「デエタラボッチさん、助かりました」

「これで患者さんを搬送出来ます!」

一同拍手と歓声をわかせ、デエタラボッチさんを称えた。

「人間として当然の事をしただけです」

種族はデエタラボッチ、心は人間として生きるデエタラボッチさんは、今日も皆の人気者。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ