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第3話 聖女フランチェスカ

作品に目を通していただき、ありがとうございます。

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倒れた獣人が再び意識を取り戻す、先に覚醒したのは嗅覚であった。

瞳を開くと天井から吊らされた灯の眩しさに、彼は思わず目を閉じた。

三味線の糸のようなヒゲを動かし、獣人は食物の在り処を探す。

誰が運んでくれたのか、礼をしなければ。

腹が満たされていたなら、冷静な思考で、まず家人に挨拶を済ませただろう。

しかし今の彼は、自己の欲望のままに地を這う獣に過ぎない。

辺りを見渡し暖炉に視線を遣ると、鍋がぐつぐつと煮えていた。


「……食べていいっチュ? うぅ、我慢の限界っチュ……」


一口大に切られた野菜の入った素朴なスープに、彼は釘付けになる。

揺れ動く心に歯止めをかけるべく、ひたすらに自問自答し続ける獣人。

鍋に向かってブツブツと呟く最中、気配を感じて振り返る。

すると背後には金髪碧眼に、そばかすが特徴の少女が立っていた。

透き通る鮮やかな瞳で凝視する彼女の眼差しは、どこか不信感を募らせるように、じっとりと舐めるかの如く全身を眺める。


「起きたのね、ネズミの獣人さん。突然倒れて心配だったのよ」

「ごめんなさいっチュ、勝手に食べる気はなかったんだっチュ」


身振り手振りで必死に取り繕う彼を見て、彼女はふっと吹き出した。

張り詰めた気が緩んだのか、そばかすの少女は笑みながら、獣人と会話した。


「そんなに否定するなんて、図星だったのかしら。からかってごめんなさい。貴方、名前は? 私はフランチェスカ・ケストナー。村の人から聖女なんて呼ばれてるの。仰々しいし、私には似合わないと思うんだけどね」

「……フランチェスカ。それが聖女様の名前っチュ? オイラはボーガード・カッシュ。もしかして運んでくれたのは……勝手にオイラを家に招いて大丈夫っチュ?」


ボーガードが訊ね


「ええ、教会から近いとはいえ、大変だったわよ。両親はもういないから心配いらないわ」


フランが語り終えた瞬間、ボーガードの腹が返事するように唸る。


「よほどお腹が減ってるのね。ご飯にしましょう。ね?」


こうしてボーガードは好意に甘え、彼女の自宅に泊めてもらうこととなった。

何故倒れていたか、村に訪れる前は何をしていたか。

聡いフランは勘づいていたのか彼に質問はせず、そのまま穏やかな日が過ぎていく。

お飾りの聖女 フランチェスカ・ケストナー


職業·村人

種族·人間

MBTI:INFJ

アライメント 中立·善


敬虔なルクス神の信徒で、突然聖なる光の魔法に目覚めた村娘。

始めはその不可思議な力を親しい人物や難病の人々に行使していたが、七帝の支配や魔物になる奇病に怯える民衆の不安を取り除くべく、聖女と祀り上げられた。

自らをお飾りの聖女と理解しつつも、〝誰か一人でも救えたなら意味がある〟と信じ、村へと奉仕する。

高潔で心優しい性格の少女だが、打ち解けた相手や距離の縮まった人間には割とフランク。

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