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カワノナリタチ  作者: LLX


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10/23

10、シロハナノカワノキミ

今日もお日様がキラキラと輝いて気持ちのいい空だ。

そう言えば、あれからしばらくクロ君達と会ってないよね。って、風の友達と話しをしながら空を飛ぶ。

クロ君は暗い雲だ。

雨を降らせて時々強い風で僕らを吹き飛ばす。

僕は先日の嵐で随分離れたところまで飛ばされて、ゆらゆらやっと戻ってきたところだった。


ドンドンドン、ドンドンドン


お祭りだ!お祭りだよ!


僕は、楽しげな太鼓の音に、久しぶりにその村へと降りていった。

村の上をくるくる回って、太鼓の音が身体中にドンドン響く。


心地よくてゆらゆら漂っていると、ふと川が干上がっているのに気がついた。

沢山の貢ぎ物を小さな祭壇に置かれ、カワノキミがしゃがみ込んでいる。

僕はどうしたんだろうと、声をかけた。


「 やあ!シロハナノカワノキミ、ずいぶんな貢ぎ物だね。」


「ああ、ユラギカゼか。久しいな。

ご覧の通りさ、水の無いカワノキミなんてね、命が尽きるのを待っている所さ。」


「どうして?3つのカワがあったよね? 」


「山が崩れたらしくて、3人のハジマリノカワノキミすべてが消えてしまった。

僕はハジマリノキミがいなくては生きていけない。

ヤマミズノカミがどこに行ったか知らないかい?」


「山が? ヤマミズノカミは生きているの?」


「ヤマミズノカミは水源さ。死ぬことは無いけど、人間が山を荒らすと怒って場を変えてしまう。

先日コマドリノカミに話を聞いたら、ヤマミズノカミを人間が(けが)したらしくて、山を崩して去ってしまった。

オソガミになってなければいいけど。僕は心配なんだ。」


「オソガミだって?!

ヤマミズノカミが、あんな物に堕ちたら…… 毒を流して沢山の生き物が死んでしまうよ?」


「だから、心配なのさ。

ヤマミズノカミがまた僕の上流へ来てくれないかな、それが望みなんだけど。

このままじゃ、人間がまた子供を殺してしまう。」


そう言って、祭壇に目をやる。


ドンドンドン、ドオンッ!


大きな太鼓の音を響かせ、祈りを捧げる白装束の人間が、踊っていた村人に手を上げた。

目と口を布で塞いだ子供が連れてこられ、バタバタひどく暴れながら地面に押さえつけられた。


「川の神よ、我らに水をお与えください」


老婆の声がして、川の畔に置いてあった板を男たちが横にずらした。

黒い、黒い、地面にあいた穴が現れる。

引き上げられた子供は足がすくみ、目を覆う布がびっしょり濡れている。

人間たちはそろって祈りの言葉を上げて、子供はポッカリ掘られた大きな穴に落とされた。


「何をしているの?」


村人が、どんどん土を入れていく。

どんどん土を入れて埋め終わると、また踊り出した。


「あの子は?土の中では死んでしまうよ?」


「生け贄さ、僕に死人を捧げると、水が湧くと思っているんだ。意味が無いのに。

あの子でもう、3人目なんだ。

5人兄弟があと2人になってしまった。」


「どうして!人間はこんなにお祭りが好きなのに!」


「この間までは、雨乞いの祭りだったんだよ。

やっと降ったら、今度は山崩れで僕が干上がってしまった。

しかも、空にはクモ1つ無く、また降る気配がない。

山崩れで水脈が変わって、井戸も水が無くなっていると聞く。」


「イドって、水の出る穴だよね?」


「うん。きっとヤマミズノカミが移動して、水脈が動いたんだ。

向こうのカワでは、水を取り合って小さないくさがあったらしい。

上手く行かないね、人間は水に振り回されているのさ。

お願いだよユラギカゼ、お願いだ。ヤマミズノカミを探してきておくれよ。」


カワノキミが、カラカラに乾いた目から、ひとしずくの涙を流す。

その涙は、ヒビだらけの頬に吸い込まれてしまった。

僕は楽しそうだと思っていたお祭りが、急に怖くなった。


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