代償
「状況は分かった、まずティーナには私がまた暗示をかけよう、国王陛下に婚約破棄の申し入れをする為に1度登城する、クラウスはその‘おもちゃ’を持って一緒に来なさい」
「ですか、父上、暗示をかけるとティーナは」
クラウスは疑念をぶつける
「封印ではないからさほど影響は無い、ティーナは恐らく癒しの魔塔を開けたがまだ扱えないならば今の魔塔は主を守るだけの塔、しばらくそこで過ごせば、影響があったとて戻るし、あの愚か者の事も片付く」
そうニヤリとクロードが告げるとクラウスも黒い笑みを浮かべた。
「その間ティーナはジュリアンに任せるよ、君なら一緒に魔塔に入れるだろう」
クラウスは分かってるよね?と言いたげにジュリアンに笑顔を向けた
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「んんーいや…助けて…お願…い」
眠りが浅くなってきたクリスティーナは再び悪夢にうなされいた…
「ティーナ…ティーナ起きなさい」
「あぁー!!うっ…っ…っ…」
洗わなきゃ!!飛び起きた私をお父様が抱きとめた
「ティーナ、落ち着いて悪い夢を見たんだ、大丈夫お父様が直してあげる」
「お父様?違うの…私…汚れてしまったの…ごめんなさい…ごめんなさい…」
泣きじゃくる彼女は幼い頃を彷彿させる…
強く抑えるように彼女を抱きしめた公爵は詠唱する
「ティーナ…ごめんな・・『ハピノセス』さぁ、悪いことは忘れよう?辛いことも、痛いことも遠のくさぁもう大丈夫」
クリスティーナはきを失った。
「ティーナが目覚めるまでここにいるとしよう」
しばらくしてクリスティーナは目覚めたキョロキョロとまわりを見て
「パパ??ねぇあなたお兄ちゃまに似ているのね?あら!!あなたはジュリアンのお兄ちゃまなの?ティーナに会いにきてくれたの?」
無邪気な笑顔の彼女にまわりは息を飲んだ
「ティーナは今何歳だい?パパに教えてくれるかな?」
「もぉー忘れたの?ティーナは10歳になったの!!」
暗示の後遺症だ、、一時的な記憶の混乱今の彼女は自分が10歳だと思い混んでいる。
今は彼女に合わせた方が良い、出ないと記憶が戻ってしまう可能性があるから、彼らは目配せをし、自然を装ってクリスティーナに接する
「嫌だな、ティーナお兄ちゃまだよ、成長期だからね、お兄ちゃまもジュリアンも大人っぽくなったろ?」
「まぁ!!そうでしたの!!ごめんなさいとっても大人に見えるの。お兄ちゃまもジュリアンもずるいわ、私も早く素敵なレディになりたいな」
クラウスの言葉に納得しはにかむ彼女はその女性的な見た目とギャップがありすぎる。
パパやお兄ちゃまと呼ばれるのはいつぶりだろうか?
本格的に淑女教育が始まった時にお父様とお兄様に変わって寂しかったなとクラウスは感傷にひたりかけたが、この気を逃すつもりはない、優しい笑顔をクリスティーナに向けるど
「ティーナパパとお兄ちゃまはお城に行かなきゃいけないんだ、ジュリアンとお留守番してくれるかい?」
「はぁい。行ってらっしゃいませ、お早く帰ってきてね」
と寂しそうにする彼女にジュリアンは
「さぁ、お嬢様お茶にしましょうか?お好きなブラウニーですよ?」