表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『未成年の愛煙家は君と僕。』

作者: そっとしておいてよ。

差し出された白いライターを片手に


僕はタバコに火を灯す


パーラメント・ライトKSボックス


これが常喫する僕の銘柄だった


深夜のサービスエリアの喫煙所


夜景なんて大層なもんは見れやしない


見えるのは目の前のガラス製の灰皿、その灰皿を置くためのパイプ椅子、虫が飛び交う蛍光灯


そして灰皿と向かい合わせに作られたベンチの角にぽつんと座るショートカットの女の子


公園にあるシーソーのように僕とその子はベンチの端を座りあっていた


ライター不携帯の僕は愛煙家を名乗る資格があるのか分からないが、運良くその子から借りることができたのだ


今でも忘れない、白いライターだった


真っ白なパッケージに赤字で


"섹스"


と韓国語でプリントされたライターはさすがにセンスの塊だ


このライターは韓国の田舎のラブホテルから取ってきたのかと一人でツッコミをいれるくらいに。


タバコに火を灯す。この瞬間が僕は好きだ。


僕は、というより喫煙者の大半がそうであって欲しいというのが本音だけれど。


ライターを返すとその子もタバコに火を灯し、肺に入れた煙を吐き出した。


マールボロ・メンソールを吸う姿は最高にイケていた


「ライターありがと、このライターセンスある」


その子の片手に収まる白いライターを指差し、そう言った。


でしょ、と自慢げにうなずく姿を横目に


深夜のサービスエリアの喫煙所


寂しげのある空気に2人の会話が広がる


まるでタバコに火を灯すかのようにゆっくりと


新宿へのバスが発車するまでの時間があっという間だった


匂いがつくから喫煙は遠慮してくれと、車内アナウンスで流れていた


、、、はずだ


それなのにバスの運転手、バスのガイドが喫煙所に来てタバコに火を灯すもんだから


僕はおかしくてたまらなかった


その笑いの弾みでその子に聞いてみた


「何歳なの」


答えはあっという間に返ってきた


「19よ」


僕もその子も未成年


お互いに喫煙を責めあい、バス発車まであとわずか


最後の1本に火を灯し合い


深夜のサービスエリアの喫煙所を後にする


パーラメントとマールボロ・メンソールの吸殻が僕たちのいない喫煙所に残り続ける。


また逢う日まで元気でいてね。


未成年喫煙者よ。

良ければ @poet_me1h0

こちら私の作品を投稿しているInstagram(インスタグラム)です。


あなたの心に刺さるような短編小説を!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ