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新しい国、ネージュへ

翌日、オーウェン達はフルールの下を去り、さらに北に位置するネージュ王国へと向かう。これは後から知った事だが、プレリに発動している方術は転移門(ゲート)と連動しており、これにより人々はいくつも転移門(ゲート)を無自覚に通る事となる。国防に関わる内容であるため詳しくは教えてくれなかったが、それでもフルールはオーウェン達にネージュ王国に最短で行ける転移門(ゲート)へ向かう道を教えてくれた。


ネージュへ向かう途中で、コリンが急にティンカーに話しかける。

「ねぇ、ティンカーさん。こう言う事を後から言うのもなんですけど、フルール様って確か37歳くらいだったと思うんですよね。年の差婚って事になるんですけど…本当にそれで良かったんですか?」

「フフ、コリンはまだ子供だね。ヒト族ならまだしも、長命な種族のエルフやドワーフにとってその程度の差なんて大した事ないよ。ヒト族の男が年齢を気にするのは、女性が子孫を残せる身体である事を本能的に求めてるからだよ。そう考えれば、例えば50歳のエルフでさえも人間の年齢に置き換えれば20代前半の身体機能なんだ。37歳なんて全然若いよ」

「ぉお!そう考えるとなんかアリな気がしてきました!」

「誤解のないように言っておくけど、ボクは生殖可能かどうかで選んだんじゃないよ。フルール様の人柄に惚れたのさ。どんな時でも側に居て欲しい、側に居てあげたいって気持ちが大切な人を見つけさせてくれる。年齢や見た目は、コリンが思ってるほど重要なポイントじゃないよ」


ティンカーの言葉に、シャルとベルとドロシーはうんうんと激しく首を縦に振る。

コリンが「んー…そうかな〜。でも、ピチピチでバインバインの女の子と結婚したいって思うけどな〜…」などと呟いていると、ダリアが「アンタ、そんなんだからモテないのよ」と厳しめにツッコんだ。


たまらず、コリンが反論する。

「ぼ、僕だけじゃないはずですよ!?そうだ!ゴーシュ君だって、そう思うでしょ?結婚するなら、若いコがいいでしょ?」

「若いコかどうかはわからないけど、生殖可能かどうかは割と重要だと思うかな」

とゴーシュが言うと、コリンは同志がいたとでも言わんばかりに「ほら〜!」とドヤって見せる。


オードリーが(おど)けながらゴーシュに言った。

「えぇ〜!?意外〜!ゴーシュ君って結構お・ま・せ・さ・んなのね〜!」

「いやぁ…そういう意味で言ったんじゃないんだけど」

「あら〜、じゃあ、どう言う意味なのか・し・ら?」

「えっと…僕()は凄く大きいから、()()種族が限られるんだ」


その言葉を聞いて、皆が「あ…」と言ったまま気まずくなったのか黙り込んだ。さっきまで意気揚揚としていたオードリーも、流石に顔を赤くして下を向いている。そんな中、オーウェンがゴーシュに尋ねた。


「何センチなんだ?」

『いや、聞くなよッ!』

とツッコむ皆に、「だって気になるじゃないか?」と切り返すオーウェン。


ゴーシュが答えづらそうに口をモゴモゴしているとティンカーが代わりに話す。

「76cmだよ、大きくなった時に鎧に当たって傷がつかないように測った事があるんだ」

「ティンカー!?」

「いいじゃん、大きい事は悪くないんだし。それに具体的な数字言わないと皆、想像つかないでしょ?」

「でも、恥ずかしいよ…」

そう言って顔を赤らめるゴーシュ。


まさかこんなウブな顔をした少年の股にそんな凶悪なモノがぶら下がってるとは想像出来ず、皆が混乱している所にオーウェンが拍車をかける一言を言い放つ。


「俺の3倍くらいか…確かにデカイな」


シャルとベルとドロシーの意識がぶっ飛び倒れ込む中、ベアトリスが「いい加減にしなさいよッ、あなた達!」とツッコみ、この話題はようやく終了した。

ーーーーーー


ネージュ王国へと入る頃には息が白く変わり、気温が急に下がってきた事に気付いたオーウェン達は、プレリであつらえたセーターに着替えて移動を続けた。このセーターは、ティンカーが紡績機や職人を入れてテコ入れしたことにより、プレリで初めて作られたもので、プレリ特有の可愛い刺繍がたくさん施されている。


「やっぱこの季節は寒いな、厚手の服があって良かったぜ」

「そう言えば、ゴーシュの馬の部分は裸に近いけど寒くねぇのか?」

「大丈夫だよ。僕はもっと寒い地方の生まれだから、このくらいの寒さは慣れっこなんだ」

などと、話していると王都への転送門(ゲート)が設置された村が見えてきた。


転送門(ゲート)脇に立っていた衛兵が近づいて話しかけてくる。

「見ない子達だね、もしかしてヴァルド王国からの留学生かな?」

「はい」

「ゲートは1人用のものしかないんだ。馬車や馬はここに預けておいてくれ。君達が戻るまでしっかり管理しておくから。それより、そんな格好で王都へ向かうつもりかい?」

「え、駄目でしたか?」

「王都のある地域はもっと寒いんだ、その可愛らしいセーターだけじゃ風邪引くぞ。この村で厚手のコートやマフラーを揃えた方がいい。準備が出来たら、また声をかけてくれよ」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

そう言うと、オーウェン達は村の服屋を教えてもらう。紹介された服屋は、ヴァルドにあるものよりもずっと小さく…古着屋と表現した方がいいだろうか、並べられているのは軍放出品のコートや耳当てやマフラーで、どれも年季が入っている。


服屋の女主人が声をかけてくる。

「毛皮は貴重品でね、あたい達はなかなか買えないけど、王都に向かう必要がある人には買ってもらってるのよ。…それより、あなた達のセーターってとても素敵ね。デザインも可愛いし、暖かそうだわ」

「プレリで試験的に作られたものですよ。この村くらいの寒さなら全然大丈夫なんですけどね」

「あら〜、そうなの?…おいくらくらいなのかしら?」

と興味津々な女主人。


早速ティンカーが販路開拓をしている間、オーウェン達はお揃いのマフラーや耳当て、コートや長靴を揃える。ゴーシュは、自身もティンカーも既に防寒服を一式持っているため、買わなくても大丈夫だと言うと店の外で待っていた。オーウェン達はティンカーと女主人の商談が終わるのを待って、再び転移門(ゲート)へと向かった。


〜〜〜ネージュ王国の王都、ラグラスはあと1ヶ月もすれば1面雪景色へと変化するような高地にある。ヴァルドやブルインに比べて残りの4カ国は国土や産業の規模がかなり小さいため、王都であるラグラスもせいぜいヴァルドの地方都市程度の規模である。冬の時期は寒さを凌ぐために、王都全体が氷魔法により透明な氷の防御壁に覆われており、雪がちらつく日には防御壁にぶつかった雪がキラキラと光り、とても幻想的な光景に見えるのだった。〜〜〜


転送門(ゲート)をくぐると、王都の門が200m程先に確認できる。ケイト達が「うわぁ、とても綺麗。まるでスノードームみたい」と大騒ぎしていると、向こうから馬車に乗ってジーブル・グラス・フォン・ネージュがやってきた。兵士と共に、オーウェン達が最敬礼のポーズを取る。ジーブルは「楽になさい」と言って、オーウェン達に近づいてきた。


「…あなた、先の会議の時にもいたわね」

「オーウェン・モンタギュー、『鳳雛隊』隊長で彼ら中等学院生の引率者です」

「へぇ、そう。…フルールの所から来たって本当かしら?」

「はい、近道を教えていただきました」

「ふーん…信用していいってことかしらね。まぁ、いいわ。早速だけど使用人に王都を案内させてあげるから、何がこの国にとって課題なのか探してきなさい」

「はっ!ありがとうございます」


オーウェンの返事を最後まで聞かず、ジーブルはサッと(きびす)を返して馬車に乗り込むと、さっさと城へと戻っていった。


フレッドが少し不安気な表情で呟く。

「なんか、冷たそうなヒトだな…」


フレッドの言葉に、ナサニエルが苦笑いしながら言った。

「そんな事ないぜ。今までヴィルヘルム様やフルール様が、特別に優しく接してくれていただけさ。本来の王族は、ああいう威厳のある態度で臨むモンだろ?それに他所の国から留学という名目で来ただけの子供を、王都の外で出迎えてくれただけでも、十分に優しいと思うぜ?」

「…言われてみると、確かにそうだな。なんか、最近王族の人達と一緒に生活する事が続いていたから、そっちの方に慣れちまってたみたいだ」

反省するフレッドを余所に、オーウェン達はジーブルの使用人に引き連れられて、ラグラスの中へと足を踏み入れた。

昨日間違えて投稿しちゃいましたw

せっかくなので今日も投稿しておきますw

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