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念導戦記  作者: 水室二人
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友との別れ

 目的の場所には、死体の山がありました。補給部隊の任務は、また失敗です。

 中継地点は、魔物の群に襲われていました。生存者の反応は、死体の中から発せられています。ご丁寧に、偽装用の魔道具が設置してあります。生きているように見せかけて、救助に来た人間をおびき寄せているみたいです。

 何故、この様な事をしているのか?

 それは勿論、補給物資目当てでしょう。追加の物資が送られたという情報、相手は掴んでいるんでしょう。傭兵ギルドの内情は、ボロボロ見たいです。しかし、一応身内である中継地点を襲うとは、実行犯は何を考えているのでしょうか?

「王になりたいというのは、ここまでしないと出来ないことですか?」

 権力の魅力に関しては、人外の域に達してしまったので、私は感じません。今更、人を支配したいと言う思いは消えています。

「そうだ、俺は王になる為なら、なんでもする」

 私の問いに応えたのは、ガイルです。久しぶりに見た彼は、立派な青年になっていました。その瞳は野心に溢れ、かもし出す雰囲気は、人かどの武人です。彼の周りには、3人ほどの人がいます。護衛か、協力者でしょう。

「この国に、価値はありますか?」

 独裁者騒動で、かなりのダメージを受けています。その後の治安も、麻薬が広まったせいで悪化しています。主な産業は無く、かろうじて農業で支えるだけの場所。それ故に、見捨てられています。ここに、新しくい国ができれば、新しい争いが起きるだけでしょう。現状維持というのも、ある意味悪くないのです。

「セントラルの連中に好き勝手されている現状を、王族として見逃すわけにはいかない」

「王族?ギール王国の王族は、全員死亡したはずだぞ?」

 といっても、ロセロアは存命である。

「俺は、抹消された王子だ。それでも俺には、王家の血が流れている」

「血だけで、国が戻るのですか?」

「俺に協力してくれる勢力は多い」

「その中に、ギフエナ教はあるのか?」

「当然だ。あれは、セントラルを支援しながら、俺にも協力すると確約している」

「そうですか・・・」

 優れたギフトを持つ存在を探す組織。それがギフエナ教の、本質だと思っています。創立に関しては、闇が関わっていた事は確認隅です。転生した闇が、毎回利用できるシステムが、存在しているみたいです。

「お前も、俺に協力しろ」

「相手に、お願いする態度ではありませんね」

 ガイルは、かなり傲慢になっています。

「断れば、この連中と同じ運命なるだけだ」

 そう言って、補給所を指差します。

「これは、貴方を拒否したから殺したと言うことですか?」

「迷宮は、本来国が管理すべき物だ。冒険者や、傭兵が好き勝手してもらっては困る」

 その意見は、私も賛成です。迷宮は、国が管理して、運営すべき資源の宝庫です。冒険者というシステムは、色々と危険を抱えています。過去に、冒険者ギルドの存続のために、国家同士の戦争を起こした事もあるみたいです。表では、きれいごとをいっているますが、暗殺者を抱え、Sランクという危険な存在を抱えている組織があるのは、駄目だと思っています。

 傭兵ギルドも、闇に上層部が意識を向けすぎて、全体の統制が取れていないみたいです。

「ここで、襲われた時点で、貴方に協力する事はしません。私はともかく、イナリを傷つけようとした相手を、許すわけにはいきません」

「私は?」

 レーヤが、不貞腐れています。それはいつもの事なので、そのままにしておきます。

「なら、仕方ない。恨むなら、己の不運を恨むといい」

 ガイルが、側にいた男に何かを指示します。

「弾けろ!」

 その男が、魔力を放出します。狙いは私ではなく、レーヤの様です。

「王国軍の軍人の中に、ある特殊な魔道具を埋め込んでいる兵士がいます。私が作り出した、最高傑作です。その顔には見覚えがあります。弾けて、死になさい」

 レーヤは、最初呪いの魔道具を埋め込まれていました。結局、誰が作ったのかは解らなかったのですが、こいつが犯人みたいです。

「それは、既に解除済みですよ」

 あれが発動したらどうなるかといえば、レーヤは確実に死んでいます。

「色々と、聞きたいこともありましたが、残念です。さようなら」

 私の中では、ガイルは完全に敵になりました。あまり殺すと、リリが悲しみますが、仲間を殺そうとした相手です。仕方ないです。

「スラッシュブーメラン!」

 回転する刃が、ガイルたちを襲います。

「こんな物!」

 ガイルは、大剣を取り出し、対抗します。物凄い轟音がして、回転する刃は弾かれました。

「ぐぎゃぁぁぁ!!」

 ガイルは、初撃を防ぎましたが、回りの男たちは防ぐ事ができませんでした。切り刻まれて、絶命します。

「お前達っ!」

 その様子を見て、ガイルが叫びます。

「畜生、これでは聖女に回復させてもらう事も無理じゃないか!」

 どうやら、聖女と言う存在がいるみたいです。

「俺は、こんな所で、死んでいい存在ではない!」

 そう叫びながら、ガイルは大剣を振るいます。

「そうですね、ここで殺すのは止めましょう・・・」

 この男には、利用価値がありそうです。闇をおびき寄せるのに、使えそうという予感がします。

「ここは、ひきましょう。さようなら」

 初等学校の、数少ない友人でしたが、これでお別れです。直接、顔を合わせる事はもう無いでしょう。

 回転する刃を、何個か挑ませます。それを対処している間に、この場所から離れます。

 任務の失敗が続いているので、気分がよくありません。

 どこかで、一度仕切りなおし必要があります。

 そう考えながら、迷宮から離脱します。


 後には、ボロボロになりながら、かろうじて生き延びたガイルがいました。

 全身に、斬り傷がかなりできたのですが、それはあっという間に回復しました、

「こんな所で、君は死ぬべきではない」

「そんな事わかっている」

 ガイルの側に、1人の女性。ギフエナ教の聖女と呼ばれる存在。

 それを、こっそり見ている存在がいたことを、二人は知らない。

 スローペースですが、更新を再開します。

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