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念導戦記  作者: 水室二人
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補給部隊の仕事 その2

「このまま突っ込むのかや?」

 砦の周辺に到着しました。地形的に、平野です。川の側で、小さな林が会ったみたいですが、焼けて灰になっています。街道は、セントラル共和国方面は普通ですが、反対側は石などが散乱て、普通に通れなくなっています。

「何で、これで砦が落款していないんだ?」

 取り囲んでいる兵は、2000人。とりでの中には100人未満しかいません。念で調べたので、間違いないです。四方を囲んでいるので、数で押し込めば、簡単に落ちるでしょう。ちなみに、ガイルは砦の中にいました。あの後、強引に突破して中に入ったみたいです。

 周辺にいる兵士は、それほど強くありません。どちらかと言えば新兵ばかり。逆に、危険な砦攻略に新平を使うのも不思議です。

「ここは、基本に忠実に、後方を錯乱して、中央突破で行きましょう」

 あそこの兵士を、全滅させる事は簡単です。でも、それはリリの意思に反します。

「イナリは、ここで監視をお願いしたい」

「監視じゃと?」

「敵の目的を知りたい。何か普通と違う所が無いか、見ていて欲しい」

 セントラル共和国は、色々な国が集まってできました。評議会と言う組織が運営しています。貴族制度はありませんが、市民に階級があります。1から始まり4級市民まで。元ギール王国の国民は3級市民として扱われています。犯罪者が4級市民となり、施設で強制労働させられていると聞きました。

 犯罪者の定義が曖昧で、1級市民が好きに指定できるらしいです。

「後方錯乱は、どうやってやるの?」

「既に、行っています」

 念導で、敵の補給地点を確認しました。見つけた補給物資を、吸収で根こそぎ奪います。

 その後、放出でからになった倉庫にガソリンを撒き、変温を利用して火をつけます。目立つように、煙幕も混ぜておきました。どうせ燃やすなら、中身はもらっておこうと言う作戦です。

「ちょっと、やりすぎましたね・・・」

 補遺している部隊の後方から、黒煙が上がります。その場所は5箇所。それを見た、的は動揺しています。

「では、行って来る」

 車を走らせます。助手席には、誰もいません。後ろの席で、レーヤが文句を言っていますが、気にしません。精霊猫は、イナリの護衛に回っています。

「敵襲!」

 こちらに気づいた兵士が、あわてます。前を塞ぐように突進してきましたが、かまわず跳ねます。

「レーヤ機銃をお願いします」

「良いのかな・・・」

「多少の被害は、仕方ありません」

「了解」

 軍用ジープの天井に、機関銃が取り付けてあります。この世界には銃がありますが、機関銃は無いはずです。後部座席から、レーヤがそれを操作して、前の敵を蹴散らします。

「3人か・・・」

 レーヤに聞こえないように、小さく呟きます。砦に到着するまでに、殺した敵の数です。再起不能の重傷者も何人かいますが、死ぬ可能性は低そうです。この世界、回復魔法があるので、怪我に関しては治る人が多いのです。ただ、完全に治るかとなると話は変わります。死なない程度に治るだけでも、凄いともいます。

「こちらは、傭兵ギルド所属の補給部隊DSだ。門を開けてください」

「話は聞いている。早く入ってくれ」

 門が開いた瞬間、素早く入り込みます。不思議な事に、敵はこちらを追撃してきません。門が開いた時を狙って、突撃すると思ったのですが、折角ばら撒いた罠が無駄になりそうです。

「補給物資、感謝します」

 砦の責任者は、そう言って頭を下げました。

「この砦は、今後どうするのですか?」

「私の一存では、決められません」

 確かに、そうでしょう。ただ、この砦を守る理由と、攻める理由が解りません。

「そう言えば、この砦に知り合いがいるみたいですが、会えますか?」

「誰でしょう?」

「傭兵の、ガイルという青年です」

「ガイル様ですか?」

「様?」

 私がその事を指摘すると、責任者は一瞬焦った顔を見せました。

「ガイルは、先程砦を出ました」

「この包囲された中をですか?」

「秘密の地下通路があります。もっとも、人がギリギリ通れる幅しかありません」

 地下通路があるなら、そこからと思いましたが、先に説明されました。この男、中々気の効く人間です。ガイルが、先にここにいた理由も解りました。

「その通路を通って、戻る事は出来ますか?」

「申し訳ありません。あの通路は、極秘情報なので部外者の通行は禁止しています」

 つまり、ガイルは部外者ではないという事でしょう。一応、私達と同じ傭兵扱いだと思うのですが、何かありそうです。

「スティッ君、こちらは終わったよ」

 倉庫に、補給物資を運んだレーヤが戻ってきました。

「お疲れ様」

「敵が混乱しているみたいなので、私達はその隙に脱出します」

「その方がいいでしょう。今回はありがとうございました」

 砦での補給は、問題なく終わりました。外は、まだ混乱しています。


「さて、話を聞きましょう」

「あの砦、旧ギール王国の残党軍が支配してるね」

 倉庫に荷物を置きながら、レーヤは調査もしていました。運んだ物資、中身は食品がメインでしたが、中身を細工して解らない様にしていたものもありました。

「昔運んだことのある、軍用装備がありました」

「滅んだ国に、傭兵団が絡んでいるのか・・・」

 お家復興とかは、関わりあいたくありません。

「砦の中で、監視している部隊が存在していました」

「監視?」

「私の動きを見張っているのとは別に、補給品を調べていたり、砦の人間を監視している人がいます」

「レーヤ、そんな事解る様になっていたのですか?」

「リリ様の護衛ですから、人の観察は叩き込まれました」

「誰に?」

「リリ様の、昔の知り合いと名乗る人です。今は、旅に出ていませんが、2年ほど指導を受けました」

 当時を思い出しているのか、レーヤの顔色は悪い。若干震えている気がします。

「頑張った褒美に、スティッ君の愛人にしてください」

「何故そうなるのですか?」

「最初にあったときのこと、忘れていませんよね?人を丸裸にして!」

「あれは、仕方なかった事です」

「それに、旧にかっこよくなって戻ってくるのも悪いです。何ですか、もう、この女殺し!」

「車の中で、暴れないでください。私は、イナリがいるので!」

「それでも良い。一夫多妻でも良いじゃないですか!」

「今は、他の事は考えられません」

 それが、正直な気持ちです。イナリがいると言うよりも、イナリしかいないが正解です。色々と、背負った物が厄介なので、レーヤの気持ちには応えられません。

「今はなら、後で考えてください」

「考慮しておく」

 私は、色々と駄目ですね。そんな事を思いながら、車で駆け抜けます。

 数人、跳ね飛ばしてしまいましたが、死者は無いみたいです。合流地点で、イナリが待っています。

 そう思うと、アクセルを強く踏みそうになり、死亡させる恐れがあるので、心を鬼にして、安全運転(?)で急ぐのでした。


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