補給部隊の仕事 その1
「あなた方が、補給を手伝ってくださるのですか?」
5年前は、ここは王都で栄えていた街でした。テトラの時代に、麻薬で荒れ、現在は無法都市になっています。それを利用して、傭兵団が実質実権を握っています。セントラル共和国に対する勢力の、中継地点です。
基本的に、傭兵団は何処かの組織に肩入れしません。魔物を相手にする事が多く、迷宮から溢れる魔物退治が主な仕事でした。
しかし、近年セントラル共和国と、ギフエナ教を中心に、ギフト至上主義の勢力が台頭して、情勢が変わりました。
たとえば、セントラル共和国で兵士になるには、戦闘系のギフトが無ければなることができません。
あらゆる分野で、ギフトが重視され、それが原因で親に捨てられる子供は、毎年かなり存在しています。
捨てられた子供は、望まぬギフトでもその道に進むしか、生き残れません。
また、強引にギフトとスキルのレベルをあげる為に、色々と無理をしていると言う噂があります。
周辺国を、強引に合併して勢力を拡大し、拒否する国とは戦争を仕掛けます。
その時、セントラルの兵士は強力で、抵抗した国は大被害を受けてから、降伏しています。
統治に関しては、セントラル共和国の最初の国土は比較的安定しています。それ以外の場所は、なぜか争いが続いていて、戦火は消えません。
「輸送チーム、ドラゴンスレイヤーです。よろしくお願いします」
「ド、ドラゴンスレイヤーですか?」
「DSと、呼んでいただければ」
隊長はレーヤですが、交渉は私が行います。
「解りました。私はフォックスハンターの物資担当のヤスと言います」
「今回の、依頼は?」
「これらの物資を、この場所まで運んで欲しいのです」
ヤスからの依頼は、一見簡単そうでした。運ぶ荷物は、食料品がメインです。場所は、少し離れていますが、一見普通の砦です。
「どこかに、問題があるのですか?」
「この砦の周辺は、セントラル共和国の歩兵部隊が囲んでいます。
「戦略的な、価値があると?」
「それが、特に無いのです。大規模な兵力があるわけでもなく、砦の戦力も多くありません」
「そこを、見捨てると言う判断は?」
「傭兵は、仲間を見捨てません。その砦にいるのは、比較的若い兵士たちです」
「ギフト的に、変わったギフトの持ち主は?」
「その情報は、私はありません」
「若手は多くて、包囲されても攻撃に耐えているとなると、優秀な指揮官がいるのですか?」
「この砦が落ちていないのは、敵の攻撃が適当だからです」
「適当?」
「不思議ですが、ある程度攻撃しては、すぐに撤退を繰り返しています。まるで、訓練をしている感じです」
「実戦で訓練ですか・・・。今のところの被害は?」
「砦の人員は、3割失ったと連絡があります。敵の被害は軽微としか、確認できていません」
「そんな場所に、補給物資をもって行っても、意味が無いのでは?」
「私が聞いている任務は、これだけです」
そう言って、ヤスは何も言わなくなる。何か裏があるとは思うけど、こちらも輸送任務に協力する事になっている。ここは、素直に従おう。
「了解した。準備が出来次第出発する」
「よろしく頼みます」
報酬に関しては、上との話し合いが終わっています。その辺は気にする必要はありません。
「空間収納に仕舞えば良いのかな?」
「そうですね、レーヤの収納に全部入れてください」
「ほいほいっと」
レーヤは、山のような物資をあっという間に収納しました。この辺のスキルレベルは上昇しているみたいです。
「そう言えば、イナリへの借金は返済できたのか?」
「うぅ、私が集めた車をイナリにほとんど取られたよ・・・」
車の存在に関して、レーヤには色々と教えている。燃料は、ネットスーパーで購入できる。レーヤは、車の性能に驚き、喜んでいた。
ネット通販に関して、文字が読めないと言うのは、システムがミスをしていたらしい。システムのミスと言うよりも、この世界のスキルにある持ち主殺しの可能性があります。
この世界のギフト、覚えるスキルの中に、持ち主を殺す役割を持ったスキルがあります。
レベルが上がる事で、回避できますが、慎重に使わないと死にます。ネット通販に関しては、有力者にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルです。
その所持者が、使えないと言うのは、致命的です。本人しか見えない画面なので、視覚を共有できるスキルを持った人物が、側にいなければ解読は難しいでしょう。
有望すぎるスキルが使えない。権力者にとっては、もし他の誰かの手にとなります。
第一王子が、レーヤを側においていたのも、その辺に理由がありそうです。他人の手に渡るぐらいなら、始末する。レーヤに呪いをかけた人物は、結局わかりません。でも、その理由はこのスキルだったと思います。
あの時点で、こちらの引き取れたのは運が良いです。
「準備できたよ」
軍用ジープに、偽装した荷物を括り付けます。荷台を後ろにつけて、引く事にしました。
「では、いきましょう」
こうして、私達の最初の任務が始まりました。そう言えば、ガイルの姿がありません。
新人が、砦に多いということなので、その援護に行っている可能性もあります。
少し、急ぐ事にします。こう言う時の、当たってほしくな予感、当たる事が多いのが、辛いです。
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