狐に婿入り その6
「あうぁぁぁぁぁううぅぅぅぅ・・・」
目の前に、巨大な闇がある。多くの生き物の、怨念の集合体。暗く、おぞましい思念体。
「念導、吸収!」
それに向かい、念導を発動する。怨念の集合体の周辺に、穴が出現する。一瞬で一万を超える穴が開き、そこに怨念は吸い込まれていく。
「時間加速」
吸収した怨念を、特殊な空間に閉じ込め、そこの時間を加速させます。最初の頃は、上手くできませんでしたが、今では余裕でできる様になりました。コンが、過去の怒りは、時間が解決したと言うので、怨霊を閉じ込めて、時間を加速させ、強制的に成仏させる方法を編み出しました。
この辺は、ギフトの上昇で獲たスキルが役に立ちました。幸運の値、私はFで最低ランクですが、この部分は恵まれています。
時間加速で、強制的に成仏した怨霊は、緩やかに消えていきます。私は、転生と言う形で、異世界にいけました。この、成仏した思念体にも、来世がある事を祈ります。
怨念が消えた後には、純粋なエネルギーが残ります。
「念導、放出!」
特殊な空間から、そのエネルギーを開放します。それは、光輝きながら、世界に散らばっていきます。
この星は、召喚魔法の失敗で死の星となっていました。闇の気配が強く、時の止まった世界です。
このエネルギーを解き放つ事で、闇は薄れ、時が動き出しました。
ある意味、誰もいない巨大な星があるのです。有効活用する事にしました。
私とコンとで、世界を回り、怨霊を浄化しています。怨霊を浄化する事で、基礎レベルが上がりました。
前世の私のいた世界ですが、この辺の理はあの世界の理が通じています。
深く考えても答えは出ないので、そう言うものだと受け入れました。
「念導、吸収!」
意識を広く、果てしなく広げます。限界まで力場を広げ、意識します。
その結果、アメリカ大陸中に、無数の穴が開きました。それに、次々と吸い込まれていく怨念。
「これで、終わりです・・・」
死の世界となった地球の浄化は、これで最後です。怨念は、そのほとんどを消滅できました。
完全に消滅したいのですが、それは無理でした。ある程度時間が経つと、どこからとも無く負の感情がやってきます。召喚失敗の影響か、どこかに時空の揺らぎがあるみたいです。これはあの世界の。迷宮の原理と似ています。おそらく、世界が繋がっているのでしょう。こちらが、綺麗になりすぎたので、バランスをとる為に、向こうのマイナスが流れてくる気がします。繋がってるなら、好都合です。この星は、私達でこっそりと管理する事にします。
コンと話し合った結果、居場所を造ることになりました。あの世界、色々と争いごとが多いので、のんびり過ごす為の場所が欲しいとのことでした。
こちらの世界に引きこもることなく、基本はあちらの世界で過ごすと言うのがお互いの認識です。
「マスターしたのかや?」
「レベルは全部上限に達しました」
「見せるのじゃ?」
「良いですよ」
コンに、私のギフトを表示します。
スティック レベル 50(測定不能)
種族 人間(亜紳)
体力 D(測定不能)
魔力 F(測定不能)
基礎 C(測定不能)
幸運 F(測定不能)
ギフト 念導 レベル10
力場 レベル10 100万キロメートル以内の100万トン以下の物、100万個を念導の対象にできる。
命令 レベル10 念の対象を自在に物を操れる。
強化 レベル10 念の対象物、1億個まで強化できる。重ねがけ可 重ねるごとに、効果は増加する。
変温 レベル10 念の対象物の温度を、±1万℃まで変化できる。実在しない温度でも可能 対象物だけの温度変化も可能。
念話 レベル10 念の対象物と意思疎通ができる。五感同調。言語理解。
波動 レベル なし 念を色々な波動に変換できる。波動の種類は想像次第で無限大
吸収 レベル10 力場を通じて、吸収する。生命力、魔力、物質、生物、精神体。
保管 レベル10 吸収したものを保管する異空間。容量はほぼ無限。
放出 レベル10 吸収したものを、力場を通じて放出できる。速度の設定が可能。
時間 レベル10 念を通じて、時間を調整する。加速と減速。保管の中のものに対しては、制限無し。
能力は、測定不能になってしまいました。これを、自分の意思で操るのには苦労しました。
種族は、亜紳。強さとして、示現の壁を超えてしまったみたいです。高位次元への行き方を探す必要があるかもしれません。
「恐ろしいのもなのじゃ」
「私も、そう思います」
「それで、これからどうするのじゃ?」
「この空間は、あと1年ですよね?」
「そうじゃ。それ以外も、ここから出た後をどうするのじゃ?」
「コンは、どうしたいのです?」
「吾は、リリ様一筋じゃったが、それはもうできぬ。主様が望むなら、それに従うのじゃ」
「愛いやつめ」
ぐりぐりと、頭を撫でる。9年間、ここで一緒に過ごした。過去の話を色々聞いて、力になりたいと思った。
これだけの力があれば、強引に事を成し遂げる事も出来るけど、それをコンが否定した。
人の世は、人が決める。それは、リリの前世、シヴァの言葉らしい。
力を持ちすぎて、人の身を外れたシヴァは、転生する事で、人の道に戻りたかったらしい。
この辺の事情は、コンも知らない。
私の場合は、傷つける事が怖くて、力を制御仕様とした結果、人の身から外れてしまった。
それは、仕方ないと受け入れて、コンの願い、リリの安らかな生活を守る事に強力することにした。
リリは、前世の因果で、色々な事に巻き込まれるらしい。コンの知り合いの預言者の話なので、信頼できる。
「私は、コンの願いに付き合って、リリを守ります」
「主様・・・」
ゆらゆらと、揺れる尻尾がいとおしい。
「なら、もう一つの願いはどうするのじゃ?」
「それも、受け入れましょう」
コンのもう一つ願いは、私と番になる事でした。
「いいのかや?」
「今さらでしょう」
この子の可愛さの、私は虜になってしまいました、この世界に来てから、私は成長して19歳になります。
コンは、年齢だけは700歳を超えていますが、外見が幼かったです。私とつりあう為に、頑張って成長したといっていますが、若干幼い感じも残っています。
「なら、吾のために名前を・・・」
コンの一族の風習みたいです。番になる存在から、名前をもらうと、霊的な繋がりが増し、絆が深まる。
「単純かもしれませんが、イナリはどうですか?」
「単純とは今更なのじゃ。イナリ・・・よき名じゃ。旦那様、これからも末永く、よろしくなのじゃ」
こうして、私とイナリは夫婦となり、残りの時間を、過ごすのでした。
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