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念導戦記  作者: 水室二人
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狐に婿入り その4

 この場所で、色々と思い出しました。私達は、皆死にました。

 それは1人ではありません。もっと多くの、国全体よりも多くの、星ひとつ丸ごと一瞬で死にました。

 何処かの世界の、召喚魔法。それに引き寄せられた結果、地球と言う星は消滅しました。魔王に対抗する為に、勇者を召喚したらしいです。

 召喚された勇者は、元の星が滅んでいるとは知らず、魔王を倒した後のんきに過ごしているみたいです。

 私は、この時死んだ沢山の怨霊の集合体に飲み込まれていました。

 示現の壁を超え、丁度生まれた赤子の中に、取り込まれました。怨念の集合体も、一緒です。だから、念導と言うギフトになった可能性もあります。

 怨念たちは、今でも体の中で蠢いています。

「主様、どうかしました?」

 にこやかな顔で、で迎えてくるコンには悪いが、色々と思い出した結果、この場所が辛い。

 色々と、記憶が混ざった怨念の集合体なので、細かい過去があやふやになっていいる。

「過去は、過去ですよ。今の主様は、スティックさんでのじゃる?」

 コンの、語尾が何か変になっています。

「コンも、色々と勉強したのじゃる。主様の部屋にあった書物を、取り込んだのじゃ」

「書物?」

「この世界、色々と不思議な物に溢れていたのじゃ。もったいないのじゃり?この言葉、難しい・・・」

「言葉?」

「コンみたいに、歳の多い外見幼女はろりババアと呼ぶのじゃよね?」

「そう言えば、そんな事もあったような・・・」

 心のどこかで、焦りがあります。強く心を揺さぶるのは、前世の私に関係しているからかもしれません。

「ろりババアは、語尾がのじゃが正しいと、残存思念が主張してるのじゃ!」

 それは、前世の私の若いころの話です。確かに、そう言うのが好きな時代もありました。

「主殿は、ここで、ギフトを鍛えるのじゃ。誰もいない世界なので、遠慮せずにやるのじゃ。コンは、主殿に好かれる為に、成長してのじゃ言語を習得して見せるのじゃ。こちらに、振り向かせて見せるのじゃ!」

 のじゃ言語と言うのは謎だけど、誰もいない世界で、修行できるのはありがたいです。

「修行の前に、今日はゆっくりと休むのじゃ」

 そう言われて、あるものを思い出します。城塞都市にも風呂はありました。ただ、毎日は入れませんでしたし、公共浴場がメインだったので、1人でゆっくり入浴すると言う贅沢はできませんでした。

 この家の事は、思い出しました。風呂は拘って、広めの24時間入浴可能なエコ機能搭載の場所です。

「食料は?」

「面白いものを用意してあるのじゃ。主様はお風呂に入って、少し待つのじゃ」

「解った。覗いたら駄目ですよ」

「今日の所は、我慢するのじゃ」

 そう言って、コンは台所へと向かいます。さりげなく、この家の事を把握している感じがします。

 久しぶりの、入浴を堪能します。石鹸は流石にありませんでした。それでも、のぼせる寸前まで、まったりと過ごせたのは嬉しいです。

「こ、これは・・・」

「レトレトカレー?」

「レトルトですね。家にありましたか?」

「これは、レーヤの能力じゃ。融資で、レーヤに金を貸した担保に、ギフトの一部を受け取ったのじゃ」

「そんな事、できるのか?」

「ギフトは、使い方次第で色々出来るのじゃ」

 コンの説明だと、この空間は10年で消えるらしい。外の世界と中の世界で、時間の流れが違うので、こちらの10年は外の5年。その間、リリたちの活動資金を、コンは貸し付けたらしい。その見返りに、リリのギフトから、ネット通販を担保として預かっている。

「人のスキルが、使えるのですか?」

「お互いの、合意があればできるのじゃ。コンの溜めた資産のほとんどを貸し付けたので、見返りも大きいのじゃ」

 貸した金額に対して、差し押さえる物に制限がかかるらしい。

「あれは、異世界の文字が読めないので、このスキルは使えないのじゃ」

「それは、私も試そうと思っていました。念話のレベルが上がれば、視覚を同調できると思うので、その時試すつもりでした」

「それなら、早くレベルを上げれのじゃ」

「コンは、読めるのでは?」

「似たようなスキルを、見たことがあったのじゃ。その時の事を思い出しながら、捜査した結果なのじゃ」

 過去に、ネットスーパーと言うギフトを持った人がいたらしいです。一緒に旅をして、色々とお世話になったと、少し寂しそうに言いました。

「主様、安心するのじゃ、そ奴は女子だったのじゃ」

 この子は、長い時間を過ごしている妖怪なので、過去に色々とあったのでしょう。

「何を安心するんだか・・・」

 少しだけ、コンの過去の人間関係が気になりました。でも、誤魔化します。

 久しぶりに食べたカレーは、色々と思い出す料理でした。レトルトで、ご飯が無くてパンだったのが残念でした。この辺は、コンに協力してネットスーパー問い言うスキルを調べる必要があります。

「申し訳ありませんが、よろしくお願いします」

「この世界は、誰もいないから、コンの眠りは必要ないのでは?」

 のんびりと食事をして、少し話していると眠る時間になりました。

 この部屋のベットは、城塞都市と比べて寝心地がよすぎます。すぐに眠りに落ちると思ったのですが、出来ませんでした。

 どこかに、怯えがあります。怨霊が、狙っている気がして、眠れません。

「コンがいますよ」

 私だけではありません。もし、この子に何かあったら私は悔やみます。

「こう見えても、コンは強いので大丈夫ですよ?」

「私が、気にします。コンのスキルだと、安心して眠れます」

「寝ている間に、何かするかもしれませんよ?」

「良いですよ、あまり変な事をすると、報酬は払いません」

「それは嫌なのです。報酬は、もふもふマッサージですよ」

「解りました。お願いします」

「では、眠るです」

「のじゃ言語、忘れてますよ」

「いいのじゃっ!」


 スキルが発動して、主様は眠ります。

 こうなると、目覚めるまで動きません。疲れも吹き飛ぶ、安心安全の、安らぎの眠りです。

 でも、これだとコンはつまらない。寝ぼけて、ぎゅっと抱きしめてくれるとか、寝言で名前を呼んでくれるとか、あったら良いのにありません。

 仕方ないので、コンも寝ます。のじゃ言葉の習得は、難しいです。

「これくらいの役得は、あっても良いのじゃ」

 主様にキスをしてから、眠るのじゃ。

 お休みなさい。



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