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念導戦記  作者: 水室二人
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王都激闘 その6

「スラッシュブーメラン!」

 掛け声と共に、マジックバックから回転する刃が現れる。

 直径1メートルの刃。それが4つ私の周りに浮かんでいます。

「それは?」

「私の武器ですよ」

 近寄っていたのは、狼の群でした。率いていた長が討伐されたのでしょう。必死に逃げた先に、私達が移動してきたみたいです。

「どうするの?」

 ロセロアは、恐れていません。ただ、私がどうするのか見ています。

「切り裂け!」

 回転する刃に命令します。命じられた刃は、縦横無尽に駆け回り、周りの障害物を切り裂きます。

 それを見た狼たちは、危険を感じ、こちらを回避して逃げていきます。

「殺さなくて良いの?」

「リリ、多分そのシヴァ様の生まれ変わりが、殺しはしたくなって言いますからね。私も、無益な殺生は減らす事にします」

 狼の群が駆け抜けた後は、冒険者の集団がやってきました。狼を追撃していたのでしょう。20人ほどの集団です。

 ロセロアを見られると面倒なので、先程切り裂いた障害物をかき集め、その中に隠します。

「こんな所で、何をしている?」

 リーダーらしい男が、話かけてきます。

「初等学校の生徒です。逃げている間に、気づいたらここにいました」

「何でこんな所で、迷子になるんだ?」

「解りませんん。気がついたら、馬車の中で、魔物か何かに襲われたと思いますが、馬車が壊れて、それでみんなで逃げいて・・・。気づいたら一人でした」

 どさくさ紛れの、人攫いに襲われたと演技します。

「リーダー、こいつは、俺が街まで送ろう」

 1人の男性がそういいました。

「いいのか?」

「魔力がなくなりかけています。俺は、ランク低いですし、これ以上は厳しいです」

「そうか?それなら任せる」

「悪いが、少年、この大人についていけば街までいける。距離は無いから、頑張れ」

「ありがとうございます」

「お前たち、もう一頑張り行くぞ!」

「「応」」

 冒険者の集団は、1人を残して走り出します。

「私は、1人でも大丈夫ですよ?」

「子供を守るのは、冒険者の大事な仕事だよ」

 その冒険者は、そう言って歩き出します。

「街は、そちらの方角でした?」

 完全に、逆を向いています。

「こっちで良いよ」

 確認する事も無く、まっすぐ歩く冒険者。

 ロセロアには、念話で待機するようにお願いします。大人しく従ってくれるので助かっています。

「本当に、こっちで良いの?」

「大丈夫。俺のギフトはこういうのに強いんだ」

「どのようなギフトなのですか?」

「ギフトは、基本的にあまり言わないけど、教えてあげよう。それで不安がなくなるならね」

「良いのですか?」

「俺のギフトは、天秤だ」

「天秤?」

「価値観や強さ、色々な物を測るギフトだ」

「それで、道がわかるの?」

「君が、金貨10枚以上の価値があるというのが、解るんだよ!」

 そう言いながら、男が殴りかかってきます。

「人攫いの仲間でしたか・・・」

 強化を重ねがけしている私には、これくらい何ともありません。力場で、この先に別の集団がいるのは確認してあります。かなりの大人数です。

「っち、時間が無い、大人しく俺に従え!」

「時間が無い?」

「もうすぐ、この周辺に大量破壊兵器が来る。早く逃げないとみんな死ぬ」

 男を、取り押さえるとそんな事を言ってきました。

「だったら、何故殴ってきたのです?」

「それに関しては、謝る。強引に連れて行けば時間がかからないと思ったんだ。とにかく、逃げないと!」

「先に行った冒険者は、その事を知っているのか?」

「・・・」

「時間が無いのは、本当なのか?」

「ほ、本当だ」

「どこにつれて行くつもりなんだ?」

「セントラル共和国」

 確かに、この方向なら間違いではないでしょう。

「集められた子供はどうなる?」

「祖国で、教育される。我が国は、人材が足りなさ過ぎる・・・」

 どこの国も、色々と問題があるみたいです。連れ去られる子を、防ぐ時間はありません。何かが接近しているのを感じます。

「私の事は、気にせずに1人でどうぞ」

 そう言って、男を解放します。連れ出された子供は、奪還している時間がありません。悔しいですが、私の力不足です。

「覚えておいてください。子供たちに酷い行いをしたら、セントラル共和国全ての人を殺します」

 その声を、ちゃんと聞いたのかは不明です。男は、全力でこの場から逃げ出しました。

「ロセロア、移動できますか?」

「逃がしても良いの?」

「仕方ありません。私は、まだまだ弱い存在です」

 不気味な音が、やってきます。見上げれば、巨大な岩が城を目掛けて飛んでいます。

「ガイルたち、大丈夫かな・・・」

 そんな事を考えている間に、岩は城に直撃。一瞬で崩壊してしまいました。兵士はいないので、被害は少ないかもしれません。その直後、爆音と衝撃が辺りを襲います。

 初等学校の生徒は、大丈夫でしょうか?先程の集団に、攫われている可能性もありました。

 状況の推移が早すぎて、対処できませんでした。私には、これが手一杯でした。

 ロセロアを連れ出せたのが、今回の成果です。リリに頼まれた物の回収も成功しています。

 岩の攻撃で、ツチミカドの遺体は損傷しましたが、目的の物は無事でした。

 怪我をして、多くいましたが、全部は救えません。これで、見切りをつけてしまうのは、私の悪い部分です。助けられるだけでも助けたい。そう思えない、酷く自分勝手な私です。

 負の感情にとらわれると危険なので、早々にこの場から離れます。自己満足と解っても、力場を広げて回復できる分で無差別に癒します。その結果は確認しません。魔物を回復させた気もします。

 最後の岩の攻撃で、王都は壊滅しました。象徴の城は全壊。

 生き残ったトテラ宰相により、ロセロア王女の死亡が確認されました。

 王家を失ったギール王国は、セントラル共和国への参加を打診。

 色々と、変化が起こる事になりました。

もしよろしければ、ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいです。

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