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念導戦記  作者: 水室二人
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王都激闘 その4

 ガイルのいた場所に戻ると、ガイルはまだ倒れたままだった。団長と呼ばれた男は、目を覚ましている。

 生き残った団員を集め、何か指示をしていた。

「セントラルの飛空挺が撤退?」

「降下部隊を、回収しているみたいです」

 セントラルの動きは早いです。それを監視している人がいると言う事は、私の事を見られたかもしれません。

「報告にあった、謎の物体は?」

「見失ったそうです」

「仕方ない。他の状況は?」

「王女の暗殺に失敗したのは、ノーザンライト王国、セントラル共和国、ギフエナ教、所属不明、冒険者ギルドの様です」

「冒険者もいたのか?」

「裏の仕事のA級冒険者が3名、死体で確認できました」

「どういうことだ?」

「親衛隊と名乗っている騎士達が、死体を公開しています」

「その数は?」

「およそ50」

「王女の仕業なのか?」

「それは、不明です」

「確認できそうか?」

「これ以上は、厳しいでしょう」

「こちらの被害が、予想よりも大きい。王都防衛の方は、どうだ?」

「軍隊を出動されたセントラルが撤退を開始しているので、残っているのは魔物だけと思ってよいでしょう」

「お前が言うなら、そうなんだろうな」

 団長と話している人部は、それなりの立場の人物らしい。隠れている私の事に気づいているみたいですし、侮れません。

「ガイルの怪我は?」

「応急処置が早かったので、後遺症は残りません」

 ガイルの腕は、破裂して後遺症が残ると思っていましたが、腕の良い回復術師がいたのでしょう。

「どうします?」

「残りの魔物の討伐に行く」

「了解しました」

「お前は、ここで情報のまとめと、ガイルを見ていてくれ」

「お客様はどうします?」

「任せる。できれば、引き入れて欲しい」

「だ、そうですがどうしますか?」

 参謀の男が、こちらに話しかける。

「・・・」

 しかし、返事は無い。その前に、私は移動していました。ガイルの無事さえ確認できれば良いのです。


「あらら?」

「どうした?」

「移動したようです」

「この子の無事を確認に来たというところかな?」

「おそらく」

「どう思う?」

「できれば、見方にしたいですね。色々と力のある存在は貴重です」

「当面は、敵にならないようにするだけで、引き込むのは止めておこう」

「何故です?」

「手土産がありそうだ、今はこれで満足しよう」

 2人の足元に、束ねられた紙がおいてありました。こっそりと、念どうで運んでおいた、証拠の品です。

 これを見て、彼らが導行動するか、それを確認してからもう一度接触する事にします。


 人気の無い城の中を、こっそりと歩きます。兵士は各所に配置してありますが、明らかに作られた空白地帯があります。それなりの腕の達人なら、気づくと思いますが、逆に怪しいです。

 その道は、王女の部屋と思わしき場所まで続いています。ギリギリ、調べて見つけたという微妙な配慮がしてあります。

 これが暗殺者なら、自分の腕を褒めるでしょう。

「これ見よがしの、罠ですか・・・」

 目的の部屋には、女性が座っています。ロセロア王女らしい人物が座っています。ただ、力場で確認すると、その場所には何も存在していません。おそらく、立体映像みたいな物を、魔道具で作っているのでしょう。その付近の床には、いかにも怪しい溝や凹凸があります。罠でしょう。

 ただ、それぞれの国のトップレベルの暗殺者が、こんな初歩的なミスをするとは思えません。

 部屋の中には、気配が二つ。ベットの中と、クローゼットの中。不思議な事に、その二つの気配はそっくりでした。

「調べてみますか・・・」

 部屋の中に入ります。ここまでする必要はありませんが、何となく気になります。

「侵入者ね、覚悟!」

 部屋に入った瞬間、クローゼットから人影が飛び出した。座っているはずの、ロセロア王女だ。

 手には、ナイフを持っている。この不意打ちで、暗殺者を倒せるだろうか?

 声を出した時点で、無理でしょう。動きもそれほどではありません。普通なら、この時点で反撃されて終わっています。

 それでも、さりげなくベットに近づくように誘導されています。ベットの側まで行くと、中からもう一つの人影が飛びだします。こちらも、ロセロア王女です。こちらも、手にナイフを持っています。動きは、こちらの方が優れています。どちらかが、影武者の可能性があります。

 もっとも、私の目的はこの人の暗殺ではありません。

「貴方は、独裁者ですか?」

「・・・」

 こちらの質問に、応えるつもりは無いのでしょう。

 ナイフには、毒が塗ってあるみたいです。2人は、連携して攻撃しています。この連携でも、暗殺者を仕留めるのは難しいでしょう。蛇とか言う男が相手なら、あっという間に爆散しています。

 私が知りたかったのは、暗殺者の対処方法です。この先、この手の相手と戦う危害が増えると思うので、あれだけの戦果を上げた姫様を見たかったのに、残念です。

「動くな!」

 相手を、念で包み命令します。

「・・・」

 無言のまま、動きを止める姫様。これで一つ解りました。これは人ではありません。遠隔操作された、ゴーレム見たいです。

「呪い?」

 そして、これからは呪い特有の嫌な気配がありました。試しに、ゴーテムの手の甲を、軽く斬ります。

 そうすると、私の手にくすぐったい感触。強化しているので、影響を弾きましたが、受けた傷を反射する能力みたいです。

「これは、中々興味深いですね・・・」

 研究の価値があるので、このままこのゴーレムは持って帰りましょう。

「ちょっと、待ちなさい!」

 抱えて帰ろうとすると、隣の部屋から女性が飛び出してきました。どうやら、本物の姫様の登場です。



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