永久不滅のクエスト
○○のターンとなっているのは、小説家になろうのユーザー名です。
気が向いたら、調べてみてください。
佳川 瑠伽 のターン
俺の一日は、ゲームにログインすることから始まる。
ゲームカセットを機器に差し込み、電源を付け、マウスをゲームアイコンに合わせてダブルクリックする。そして最後に音性マイク部分にこう言う。
「ログイン」
音声識別システムで俺を認証し、俺自身を電脳子(データなどに干渉するために作られた
物質。)に変換し、その世界に吸い込ませる。
『ようこそ、ブレイド・アーツ・ワールドへ!!』
今日もこの世界で俺は、息をする。
〈ツカサさん が ログインしました〉
「お、おはよーツカサ。朝早くからご苦労様だなぁ。」
「お前もログインしてんじゃねえか。」
「はは、草生える。」
「ネット用語を口で出すな。チャットじゃねえんだから。」
この通称『電脳世界』は科学の発達により、電子で人工的に作られた次元である。その次元の数はゲームなどの種類程ある。この世界の醍醐味は俺ら人類が住んでいる世界と存在している感覚が全く一緒というところだ。ま、いまではこんなもの当たり前のことになっているのだが。
「さてと。イベント行くか弁当箱。」
「略してベンさんでいいんだぜ?知ったやつはみんなそう呼んでる。」
「いいよ別に。んじゃ俺が勝手に行くやつ決めるぞ。」
「どぞどぞ」
〈クエストを開始します。〉
「おやおや、あれか。プレイヤーキル式のコロシアムクエストか。ペアで出んの?」
「当たり前だ。なんのために部屋作ったと思ってる。」
「りょうかーい」
〈残り十秒前です〉
俺は自分の武器を見つめる。
このゲームには〈戦闘スタイル〉なるものがある。
例えば俺は〈ブレード〉。なんてことは無い。シンプルに剣を振るスタイルで、身軽に動くことが特徴だ。それだけ。
因みに言っておくと子の世界に魔法はない。あるのはそれぞれのスタイルのアクションコマンド、攻撃・治癒等のアイテム、あとは〈アーツ〉と呼ばれる個人個人が固有するものがある。
いわばスキルみたいなもんだ。
忘れ者 のターン
クエストが始まる準備時間までに、俺の〈アーツ〉でも確認しておこう。
・エスケープ
この〈アーツ〉は、クエスト以外でも、自分の身に危機が起きた場合その場所から数メートル離れられる。クエスト以外でも使用するときがあるので、仲間からは「チート過ぎて草生える」とかよく言われる。
・ラッシュ
この〈アーツ〉は相手の周囲50センチに入った時に使うことができる。攻撃することがメインで、この〈アーツ〉を使った瞬間、全ての身体機能が3倍になる。相手を殺すか壊すことで、この〈アーツ〉は効果を失う。もちろん反動もあり、効果を失った数秒後は全ての身体機能が3分の1になる。
俺の〈アーツ〉は二つだ。だが俺は、ラッシュのことは誰にも言っていない。
本当の〈アーツ〉は一人一個のはずなのだ。
〈クエストが始まります〉
「じゃ、弁当箱行くぞ。」
「だからベンさんでいいっての。」
相手は少女二人だった。顔がかなり似ているから双子なのだろう。
その見解は弁当箱も同じだったのだろう。
だが、その見解は間違っていたらしく、俺と弁当箱はその事実に戦慄した。
「「シンクロ」」
「「私達は、二人で一つ。永久不滅に勝てるかしら?」」
目の前にいるこの少女は、『電脳世界』で最近話題にでることが多くなっていた「永久不滅」だった。
目的は不明だが、「永久不滅」にキルされたプレイヤーは、二度と姿を見せなかった。
「おい弁当箱、本気出してけよ」
「お前こそ」
実山 悠 のターン
「さぁ、仕事だ。」
二人の剣士が地を蹴り掛けだす。
「…姉さん……右…」
「りょーかーいっ」
二人の意識が交差して、強烈な斬撃が降りかかる。
まさに、シンクロというだけのことはある。隙がない。
「おい、やばいやばいやばい!」
「ツカサ!何逃げてんだよ!ってォわっ」
姉妹の攻撃を紙一重で避けていく。これは時間の問題だなと戦慄する。
「すばしっこいわね、まったくもう!」
「こいつら……嫌い……」
男剣士二人は何も手が出せずいた。
こんな中、弁当箱が言った。勝負に出るようだ。
「俺が囮で突っ込む。あいつら相当イライラしてるから隙が出来てきた。突っ込んだらお前がその剣で思いッきり叩ききれ。行くぞ!」
二人は、あの噂話を軽く考えていた。そう。この姉妹にキルされた奴らは二度と姿を現わさないと言うこと。
「うおおおおおおおおおァ!」
弁当箱が突っ込む。
「今だ! 叩き……」
目の前で、一人の剣士が爆発した。
「ぇ………」
俺は動揺が隠し切れない。
「「ばーーーか」」
あいつらは本物だ。化物だ。俺らが話してる一瞬の隙に何かをやりやがった。
あの隙に何が出来んだよ。おいおいおい、待て。なに、を?
「てめぇら、何をしやがった!あんな短い時間で!トラップを張るとしても時間が足りなすぎる。こんな一瞬でやれる方法なんて…」
ーーーーーーーーまさか。
「ふふっ。そうよ。なんにもおかしくないわ。」
「あなたも……二つ……。」
「「〈アーツ〉が、ね?」」
忘れ者 のターン
「なっ!?なんで、そのことを知っている!このことは、誰にも言ってないぞ!」
その瞬間、目の前の化物はニヤリと口を歪めた。
罠にかかった知能を持たない動物を見るように、俺を嗤った。
「誰も知っているなんて言ってないわよ?」
「引っ掛かった……」
自分を呪いたくなった。なんで冷静な判断を下せなかった。
俺がそう思っているように思われるように頭を下げた。
「悪いことは言わないわ。あなたも永久不滅に入りなさい」
「まだ1人……あなたで2人目」
化物は俺を永久不滅のメンバーに入れようと近づいてきた。
そう。俺の周囲50センチ以内へと。
「……スラッシュ!」
俺は頭を下げて、目の前の化物に顔が見えていないことをいいことに、ニヤリとしながらそう呟いた。
そう、スラッシュの発動条件は、俺が相手の周囲の50センチ以内に入った時だ。
俺は、近づいた姉と呼ばれている方をぶん殴った。
「がぁっ!?」
「それも……今ので終わり……違う?」
姉の方が飛んで行ったが、妹は俺の近くにいた。こいつは何か勘違いしている。
スラッシュの終了条件は、
「相手が死ぬか、壊れるかだ!」
そう言いながら、俺は妹を殴ろうとした。
その腕が届く前に、俺の体は爆発を始めていた。
悪い、ベンさん。そう呼んでやれなくて悪い。せめて、これからは呼んでやるよ。
「死んだな」
「やはり…‥二つだけじゃ厳しい。」
ツカサが爆発した後、永久不滅の一人は会話していた。
永久不滅がこのクエストを終えると、いつもこんな会話をしている。
だが、この会話はいつもと違う点が一つだけあった。
「クエストが……終わらない?」
そう。プレイヤーをキルしたら終わる筈のクエストが終わっていないのだ。
「俺の〈アーツ〉は2つだ。そのうちの1つ、俺がいつ使ったと思う?」
そんな声が、1人の後ろから聞こえた。
「俺の体が爆発し始めたときだよ。」
その声は、笑っていた。
「いやぁ、全部3倍で助かった。おかげで脱出できた。そうそう、この〈アーツ〉はな、お前らが死ぬか壊れるまで終わらないんだ。」
そして、化物とツカサは嗤いあった。
「「「始めよう!このクエストはどちらかが死ぬまでだ!」」」
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原案は私ではないので。