表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

少年と真実と虚構

作者: 戯画葉異図
掲載日:2017/05/27

 ベンチに座っている私の隣で、少年は手の平の上の雪を眺めている。

 その雪はすぐに解け、また次の雪がひらひらと宙を舞って、手の平に飛び込んだ。

 「真実と虚構って、どうやったら見分けられるのかなあ?」

 少年は雪を見つめたまま呟いた。

 「それは難しいね」

 私は積もり行く雪の山をぼんやりと遠目に見る。

 「私にも、出来る自信は無いよ」

 「やっぱり、難しいのかあ」

 公園は白一色に染まっている。

 予報は大当たりだった。

 「例えば、九十九個の虚構の中に、たった一個だけの真実が紛れてたら、僕はどうしたらいい?」

 「どうしようもないよ」

 私は即答する。

 「その一個の真実を見つけられるのは、真実を言ったその人だけだ」

 雪はなおも降り続く。

 止む気配は無かった。

 「悲しいね」

 「うん、悲しい、でも、ずっと昔からそうだったんだ」

 「どれくらい?」

 「うんと」

 公園に人はいない。

 完全に無人の状態だ。

 少年は雪の観察を止め、握りこぶしくらいの雪玉を作り始めた。

 それを遠くに投げる。

 「真実って、貴重なんだね」

 「そりゃあ、貴重だよ」

 雪玉は空中で見えなくなった。

 「貴重じゃなかったら、みんなが真実を捨ててしまうから」

 「そっか、でも、虚構にだって、価値はあるでしょ?」

 「もちろん」

 少年は足元の雪を蹴り飛ばして、そして、再び雪を眺め始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この小説に出てくる真実と虚構という言葉が何のメタファーなのかは、本当のところはわかりません。僕としてはこの社会における、社会の建前と、人間のうちにある真実であると解釈しました。  人間社会と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ