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世界異世界転移  作者: 多聞@21
文明間大戦
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首都攻略②

「小隊各位撃て!」


王小校が指揮下の部下たちに攻撃開始を下令する。


フルオートで撃つのではなく、セミオートで丁寧に目標に向かって撃ち込む。


「小隊各員同じ場所に長く留まるなよ!どんどん距離を詰めていけ!近接での銃撃戦なら我々の方が練度が上だ!」


王達の部隊は精鋭部隊に類する部隊で、装備類も比較的優先的に回され、訓練もより実践的な訓練を経ている。


人民解放軍全体の練度が上がっているとは言え、まだまだ数で押し込む部分からの脱却は出来ていない。


しかし王達の部隊は、アメリカ軍の様な“世界一流”の軍隊相手でも同数の相手ならば互角に渡り合える様に訓練され編成されている。


今回のワイマール帝国との戦いでは、遠くはなれた海の向こうであり、まだまだ海上輸送能力が不足しているため圧倒的な量の力を投射できない分高い質の部隊の投入という選択を取ったのだ。


王達の小隊の動きはまるで一つの生き物の様で暗視装置の扱いにも慣れている。


体を乗り出しているワイマール帝国兵を正確に撃ち抜き、ガンガン距離を詰めていく。


全員で突撃するのではなく半数が移動し、半数が敵を無力化或は制圧射撃で沈黙させるのだ。


王芳小校の指示は苛烈で強引であった。


常に誰かが動いているのだ。


線路を越えホームを乗り越え連絡橋をガンガン前進し、線路の上に設けられた踏板を使いどんどん敵が待ち構えている駅舎まで詰める。


正直心の中では焦っていた。


いつ包囲を受けてもおかしくは無いからだ。


『こちら620号車、やはり誘引だった。数は不明、今見える範囲では大した数では無いがこれからさらに増えるだろう!敵さんがお出ましだ。

後ろを押さえつつ駅舎の方へ移動する。最終的に駅舎のの中に車体を突っ込んでそこで621号車と622号車を待ちたい』


やはり来た。


敵が来たのは、自分達が通過したルート、つまり生き残るためには駅舎を奪取して増援を待つ、それ以外に無い。


敵の包囲が完成するのが先か、それともこちらが駅を奪取するのが先か、これはそういう勝負だ。


「遠慮は要らん!手榴弾を放り込め」


タコツボに隠れている敵にはどうしても手を焼く。そこには歩兵の強い味方、手榴弾で決着をつける。


気軽にポンポン投げられるほど携行していないのが残念だが携行品には定数がある。


「手榴弾投擲!」


味方に警告を発し投げ込む。


その瞬間全員が巻き込まれないように屈んで身を守る。


そして爆発すると一斉にそこに走り込み、フルオートで蛸壺に撃ち下ろし中を一掃する。


火炎放射器でも有れば良かったのだろうが....


「航空支援は呼べないか?」

620号車が航空支援を呼んで、J-15で一掃してくれれば一番楽だ。


空からの攻撃とあれば敵も動きを止めるだろう。


ここまで制空権が取れているなら、ヘリからの掃射でも十分だろう。


『無理だ。艦載機では十分な爆装ができないし我々には目標を指示する人員も装置もない。』


何より十分な数の航空機がいない!


「くそっ、では砲撃支援を!」


『正確な砲撃の誘導は難しいぞ!かなり危険だが駅舎を奪取したら要請しよう』


「了解した。座標指示はこちらに任せろ」


「一名負傷一名負傷」


蛸壺の前で部下が叫んでいる。


タコツボは制圧しているが、脚に弾を貰ったようだ。


「そこで処置するな!安全なところまで移動しろ‼︎」


射線通りまくりのそんな所で止まったら纏めて狙い撃ちにされてしまう。


脚を撃ち抜かれた兵の脇を二人の兵士が抱え、制圧したタコツボまで引きずり押し込む。


「衛生兵!衛生兵!」


呼ばれた衛生兵は大きな医療用バッグを抱えて、銃弾が飛び交う中をヘルメットを手で押さえ、姿勢を低くしタコツボまで走り込む。


傷口を見た衛生兵は顔色ひとつ変えずに処置を始める。

「一人手伝ってくれ」


負傷兵を蛸壺まで放り込んだ二人の兵のうち一人に助けを求める。

「おうよ!何をすればいい」


「ここを押さえてくれ!力いっぱいだ!」


傷口より心臓に近い止血点を指し抑えるように指示をした。


その間に慣れた手つきで、メディックシザーと止血帯を取り出す。


傷口がよく見えるように服を切り開き、押さえさせている止血点にサッと止血帯を巻き締め上げる。


その間にも風切り音が頭の上を縦断が飛び交う。


暗くてこれ以上の処置は無理だ。


「小隊長!止血はしましたがこれ以上の処置は明かりが必要です!」

遠くで指揮を取る隊長に叫ぶ


「絶対明かりをつけるな!蜂の巣になるぞ!移動はできるか?」


「応急処置は施しました!支えが有れば移動できるはずです!」


「よしわかった!続きは駅舎を掌握してからだ。合図があるまでそこで頭を下げて待ってろ!」


「了解!」


「よし軽機持ちは負傷者がいる壕に飛び込んで撃ちまくれ!」


「了解!」


指示を受けた機関銃手が重たい分隊支援火器屈強な腕で抱え猛ダッシュする。その姿はまるで重戦車のようだ。


散兵線を想定した訓練を受けたワイナル帝国兵は市街地戦でも体を大きく晒ししっかり狙いを定めて射撃をするよう訓練されているせいで被害がどんどん増大している。


駅舎の陥落もすぐだろう。


タコツボに残された隊員以外は駅舎にたどり着くことができた。


駅舎の窓と周囲に半円状に銃口を向け、駅舎の壁に張り付き突入準備をする。


駅舎の壁は赤茶色のレンガだったのだろうが、事前の砲爆撃で焦げて色を失っている。


王は自分の前の隊員の肩を叩き突入開始を伝える。


一番先頭にいる隊員までこれが伝わると突入開始だ。


先頭で肩を叩かれた隊員の後ろの隊員がフラッシュバンを入り口に放り込んだ。


炸裂音と凄まじい閃光が夜の駅舎の中をほんの一瞬カメラのフラッシュでも焚いたかのように明るくした。


これと同時に一人が素早く飛び込みもう一人、二人とどんどん突入していく。


一階には敵兵が居なかったが、階段で上階から撃ち下ろされ階段前で釘付けにされている。


「王小校!駅舎内に突入したが2階からの攻撃が激しい!視認可能なら掃射してほしい!」

たまらず王の車両へ援護を求める。


『確認できるが、砲塔をそちらへ向けると今交戦中の敵を抑えられないぞ!』


「構わん、どのみちこのままじゃジリ貧だ!」


『了解した』


インターコムで操縦手と砲手に指示を出す。


「よーし、やるぞ!」


『了!』


定位置で固定砲のごとく、仁王立ちしていたZTZ-96が唸りをあげ急発進する。


その勢いのまま、構内を疾走し破壊されたホームをまさしく文字通り飛び越え迫り来る敵兵を一気に引き離す。


プラットホームに挟まれた線路上で停車し車体を隠し砲身を駅舎2階に指向する。


王小校も身を出し重機を握る。

 

静かに狙いを定め引き金を引く。


突如駅舎2階では重機関銃弾から撃ち込まれる曳航弾が弾け明るくなる。


これに呼応し砲手が同軸機銃を撃ち込み敵兵を蜂の巣にしてゆく。


10秒程撃ち込み引き金から手を離し、インターコムで砲手に同軸機銃の射撃を止めるよう指示を下す。


先ほどまでの、駅舎2階からの激しい応戦が嘘だったかのように無くなり静まり返った。


王芳小校が叫ぶ。

「突入!」


兵たちが99式歩槍を構え階段をかけ上がる。


「2階クリア!」


駆け上がった2階は外で見ていたときより大分風通しが良くなり、ワイナール帝国兵たちは風通しが良くなったというより上半身と下半身が泣き別れになっているものが多かった。


当然生きているものはいない。


「王小校、駅舎は制圧した!車両ごと中に入って来てくれ!」

『了解した』

王依然小校はそう答えると一気にZTZ-96の車体を加速させ突入させた。


駅舎の壁を突き破り、一階にすっぽりと入ってしまった。


これで立て篭もることもできるし砲撃支援を呼ぶこともできる。


2階では負傷兵の治療や水分補給、弾倉の入れ替えなどが行われている。


「司令部司令部!こちら620号車随伴小隊、砲撃支援を要請する。地点は新市街地駅構内。現在は620号車と駅舎に立てこもっている。誤射に注意されたし」


『砲撃支援要請了解、砲兵隊へ砲撃指令を出す。即時試射を開始する。着弾観測をされたし』


交信が終わると、遠くで砲撃をする音が聞こえた。


数秒後、音もなくプラットホームが炸裂しホーム基礎が爆散した。ついでに迫って来たワイマール兵も吹っ飛んでいる。


恐ろしいほど正確な砲撃である。

これはコンピュータによる弾道計算の賜物である。


友軍の砲撃に興奮した兵たちが完成を上げて喜んでいる。


「目標付近に弾着!散布界を広めに効力射を求む!」


『了解した。全力で榴弾を叩き込む!』



再び交信が終わると、先ほどとは異なり連続で射撃音が聞こえる。


数秒後....


駅構内至る所で閃光、爆破が連続しプラットホームを四散させ地面を掘り返し時折ワイナール帝国兵が空中へ投げ飛ばされたりミンチになったりする。


生身の兵士たちは壁で身を守り耳を塞ぐ。


砲弾片も飛んで来れば爆圧も襲い掛かるからだ。


5分は爆発が続いただろうか。

砲撃が停止した。


あたりは穴だらけになり、プラットホームや駅周辺の建物はズタボロになり瓦礫になってるものもある。




『要請がなければ支援砲撃を停止する』


「砲撃効果良好!敵歩兵部隊は沈黙。以降の砲撃は不要と判断!支援感謝する!以上」


『了解。貴隊の健闘を祈る!』


敵に誘引され、数的不利な状況で襲撃され挟撃されるまでに至ったが最終的にはMBTを巧く利用した立ち回りと、砲兵隊との綿密な連携・精密な支援砲撃により敵を全滅せしめ、王たちは勝ち残ったのだ。


同じ銃と野砲を持った戦いであってもテクノロジーの差で、こうも変わって来るのだ。























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