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世界異世界転移  作者: 多聞@21
文明間大戦
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首都攻略①

ワイマール帝国の首都シュツットハーフェンは城塞都市として発展を遂げてきたという歴史から街の中心部は城壁に囲まれ、中心の城郭は小高い丘の上に立ち皇帝の居城とされている。a


街の基礎的な作りは典型的な城郭都市であるが、時代の進化に合わせて区画整理やエネルギー供給網、水道網、車両が通行可能な幅の道路などが追加され新旧織り交ぜた景観をなしている。


省庁などは城を囲う様に並び、議会は城郭の中に設けられている。


残念な事にその優美な景観は開戦初日に撃ち込まれた弾道ミサイルによって破壊された海軍省と陸軍省だった瓦礫によって害されている。


発展を続けたシュツットハーフェンは城壁内に収まらなくなり、鉄道駅、飛行場と言った比較的新しい施設は城壁外に建設されて行ったのだ。


今では人口200万人を擁する巨大都市へと成長した。


そんな都市目前に達した人民解放軍の陸上戦力は、都市部への侵攻を行わずに停止していた。


第24集軍団隷下の第一機甲師団に属する王依然も同様であった。


彼女たちは補給中隊が設営した簡易的な補給ポイントでZTZ-96(96式戦車)の整備や休息を行っていた。


96式戦車はアメリカ軍のエイブラムスやドイツのレオパルド2の様にパワーパック丸ごとの交換が出来るため、代替のパワーパックさえ有れば整備可能なのである。


車体から抜き出したパワーパックは後送されて工場で徹底的に整備されるのだ。


今回は問題が起きたなどではないが、ハードな使い方を繰り返し行ったため念の為交換を実施する。


さらに砲弾の積み込みや、機銃弾の積み込み、起動輪に詰まった泥を取り除いたり等とやるべき事は多い。


さらに、大規模な市街地戦を前に戦術を平原のものから転換する必要がある。

そのためのブリーフィングも行われる。


最初に遭遇すると思われる防衛線は城外の市街地入り口だ。


敵が郊外に防衛線陣地を構えていない事を考えると、建造物から応戦してくるのだろう。 ここはどう足掻いても力技で捩じ伏せるしかない。


歩兵部隊の大量投入だ。


そして次が城壁上だ。

ここに対空兵装と常設の防衛設備が構築されている。

ここに関しては、目標がよく見えるという事で、徹底した砲撃により施設ごと破壊する。


自走砲と野砲、そしてMLRSの投入。


最後は城壁から城郭までの旧市街地、邸宅街、城郭である。


ここは通常の歩兵部隊と支援のための機甲部隊、そしてヘリボーン部隊の投入により片を付ける。


どれだけ兵器が発達しようがやはり最終的には歩兵部隊による制圧、確保は欠かせないのだ。


最終的に3個機械化歩兵旅団と1個砲兵旅団が追加投入される事が決定している。重装備の4個旅団を投入するにあたり、国内ではRO-RO船が徴用された。


すでにPLAが占領しているスターバークで揚陸され、順次ここ

シュツットハーフェンを目指しているが、もう数時間もすれば到着する。


王依然達がいる補給ポイントのさらに先、市街地の入り口付近では仮設の大音響スピーカーから、市街地戦の予告と市民への退去の勧告、退去できない場合には屋内から出ないように、武器を持った兵士と同じ建物に留まらないようにとの呼び掛けの放送が昼夜問わず行われている。



その日の夕方。重砲が展開を完了し、市街戦突入前の前準備である砲撃が05式155mm自走榴弾砲の1発の試射により火蓋を切られた。


05式155mm自走榴弾砲はアメリカ陸軍のM109や陸上自衛隊の99式と似通った外見、性能の兵器だ。


弾種や誘導方式にもよるが20km〜100kmの射程を有する。序盤は安価な無誘導の榴弾を城壁上の防衛設備に撃ち込む。


ワイマール帝国側の野砲の射程が10kmに満たないの対し、倍近い距離から一方的に撃ち込むのである。


事前にマークした地点に順番に砲撃を加える。

城壁上に設置された要塞砲で有れば、命中すればまずは付近の弾薬に誘爆しそのエネルギーを持って人員と砲をズタズタに引き裂く。運が悪ければ砲が爆発のエネルギーで浮き上がり、砲身や機関部、砲架が城壁の下に落下し建物や兵士、避難をしていない民間人を巻き込み押しつぶす。


しかしそれはあくまでも局所的な被害で、ワイマール帝国が攻勢時に市街地掃討プランとして想定していた砲による面制圧より人道的と言えよう。


PLAの自走砲の放つ爆音は連続したものではなく一定のリズムを刻む。


しかしその1発1発は正確に目標を撃ち抜く。


逆に都市内からの砲撃は無い。

当然ながらワイマール帝国の保有する野砲で届く範囲に目標がいないのだから撃ちようがない。


そしてひたすら撃ち込み続け、日付が変わり午前3時を回った頃王依然達機甲部隊と機械化歩兵部隊が混成部隊編成を完了し出撃準備を終えていた。


すでに先行部隊が侵入を開始しているが未だに気づかれる雰囲気がない。


どの車両も灯火は点けず、兵士のヘルメットには筒状の装備、ナイトビジョンが装着されていた。


王依然もヘルメットにナイトビジョンを装着しキューポラか身を乗り出していた。


「運転開始!エンジン始動」

王依然がインターコムで操縦手に支持すると、ZTZ-96の排気管から黒い煙を吐き出し、車両全体が唸るように揺れ、エンジンが回転を始めた。


戦車1両あたり30名一個小隊の歩兵が付く。市街地入り口までは歩兵はトラックに乗り移動する。


『620号車移動開始!』


指揮者から移動開始命令が下る。


「620号車移動を開始します」

命令を復唱し、作戦行動を開始する。


「音を響かせないようにエンジンの回転数を上げるな!」


『了!』


王依然達の車両がゆっくりと動きだすのに合わせて、後ろのトラックも音を立てないようにそろそろと動きだす。


その時であった。


街中からけサイレンが鳴り始めた。

先行部隊が発見されたのだろう。これも想定内ではあったができることならもう少し気づかれたくはなかった。


さらに生き残りの迫撃砲らしき兵器から照明弾が打ち上げられる。


対砲兵レーダーによって直ぐに発射地点を特定され、自走榴による砲撃の嵐に見舞われるが、打ち上げられた照明弾が空中にある限り部隊は照らされ続ける。


さらに部隊めがけて迫撃砲が撃ち込まれる。

野砲に比べて隠蔽が容易な迫撃砲はどうしても撃ち漏らしが出てくる。


サイレンが鳴り始めた段階で対空レーダーを起動した04式自走対空機関砲によって迎撃が試みられる。


上空では無数の曳光弾がレーザービームのように連なり曲線を描いている。


時折空中で炸裂音がするが閃光は見えない。

それでもやはり撃ち漏らしが地上まで到達し炸裂する。


そんな状況でもどの部隊も足並みを揃えゆっくりと侵入経路に向かって移動を続ける。


王依然達が割り当てられたルートは駅を横目に新市街地を通過し正門から居城を制圧するもっとも反撃がはげしいと予想されるルートだ。


駅が見えてきた。

つまり入り口だ。


駅は欧州の近代に建築された様式に似ており、構内は大きなアーチ状の鉄骨のトラスに支えられた天井に覆われ、駅舎は煉瓦造りで線路に沿って縦長の5階建てである。

 5階建てと言っても普通のビルの5階建てなど比にならない程高い。



駅も線路やホームが所々破壊され、クレーターができている所が有れば瓦礫になっている所もある。


クレーターに中には血痕や肉片、遺体ががそのまま残されている。なんとも痛ましいが、一日中砲弾に晒されて回収されなかったのだろう。


こんな状況で無ければ是非とも観光目的で来てみたい美しかったであろう場所だ。


残念である。


王依然がハンドサインで後続のトラックに降車を命じる。

一斉に後部から飛び降り620号車の後ろに2列に並ぶ。


時速2km程度の微速でジリジリと前へ進む。


後方の歩兵は周りの建物内、屋上、路地に銃口を向けて全方位に対して警戒を怠らない。


通りの全周が5、6階建ての煉瓦造りの建物で囲まれいつ奇襲を受けても不思議ではない。


30数人が誰一人として声を出さず、暗闇と静寂に包まれ緊張は最高潮である。


王依然達は指定されたルートを通過するため、線路上を横切る。


首都の駅というだけあって、線路はポイントで分岐と合流を繰り返し複線3路線が12番線まで増え、駅に引き込まれる線のみならず、留置線、貨物ターミナル行きの線などに膨れる。


鉄道敷地を囲む金属製の柵を軽々と踏に後続の歩兵達の道を啓開する。


突然射線が開けるこの地点も危険である。


その時であった。

駅の中から無数の閃光はと破裂音の嵐が王依然達620号車を襲った。


620号車のみに集中して攻撃が行われている。

つまり、後方の歩兵達はまだ発見されていないのだ。


「射撃開始!射撃開始!榴弾をぶち込んでやれ!」


「了!」


指示を受けた砲手が榴弾を選択すると、自動装填装置がすかさず砲弾ラックから榴弾を引き抜き砲閉鎖機を開け、砲弾を押し込み砲栓を閉める。


「装填完了!」


そしてすかさず待ってましたとばかりに引き金を引き撃ち込む。


車体が振動し、砲が衝撃を緩和するために後退する。


そして駅の中で閃光、轟音、爆風、砲弾片が次々とワイマール帝国兵を薙ぎ倒す。


されど、塹壕で対峙しておはようからこんばんはまで銃弾時々砲弾の狂気の環境下で戦う事を想定されて練兵されている軍隊の首都防衛部隊だ。


反撃を止めることなく、戦車の車体目掛けて小銃弾を間断なく撃ち込んでくる。


こうなっては王依然もキューポラから頭を出せない。


しかし彼らが対戦車砲や対戦車戦についての知識や経験を有していないのは幸いだ。


壊れはしないだろうが直接照準で野砲や高初速の対戦車砲をぶち込まれるのはたまったものではない。


出来ることなら砲兵部隊による砲撃支援で抑えたいところではあるが、建物の構造上砲撃による効果が望めない。


そのため突破するには歩兵戦力で直接潰すしかないのだ。


歩兵部隊も反撃のために展開する。


瓦礫や壁を伝って見えないように移動し、防御しやすい場所にそれぞれが密集しないように距離をとる。


幾ら暗くて見えないと言っても向こうも闇に目が慣れている筈だ。




王依然達620号車は榴弾を撃ち込み敵の戦力を潰す事も大事だが、それ以上に敵の注意を引きつけ、歩兵部隊が隠密にかつ迅速に敵を排除できるようにしなければならない。


そもそも駅構内の掃討を担当している621号車がいなから駅で待ち構えていた敵の戦力が自分に集中している訳だ。

「こちら620号車、現在線路横断直前に敵の妨害に遭いこれを排除中。621号車の到着予定時刻は?」


『こちら621号車、現在駅構内への進行中に新市街地駅より外縁側で敵の妨害を受け交戦中。小隊長車は現在突出している可能性が有ります』


いつまで経っても本来担当するべき小隊が来ない理由は分かった。


そして歩兵部隊が展開するまではもう少しかかりそうだ。

少なくとも今のところは大丈夫だが、もし敵が意図的に誘引するべく、これまでの道中を開けているのだとしたら問題でしかない。


今攻められたら部隊の規模が小さすぎて面で守る事ができない。


線なら維持でできる程度の戦力で囲まれたら、これは全滅待ったなしだ。


マズイ....。


正面の敵を押さえつつ周囲への警戒を怠らない。


幾ら暗視装置を付けていても暗いものは暗い。いつどこから敵が現れるか分からないという恐怖が王依然の思考を弱める。


「小隊、聞こえるか」

歩兵部隊を呼び出す。


『あぁ聞こえる。小隊長の王芳小校だ。どうした』


「どうやら我々だけが突出しているらしい。敵に誘引された可能性がある。敵が待ち構えていそうな目ぼしい建物を探していつでも砲撃支援を要請できる状態にしておいてくれ」


『了解した。こちらは展開が完了したが発砲を控えた方がいいか?』


確かに発砲で歩兵部隊の位置がバレるリスクはある。しかしこのまま620号車だけで反撃を行なっていては弾薬が底をついてしまう。


「いや、駅構内の敵を早急に制圧して欲しい。襲撃されるにしても弾薬に余裕がある方がいいからな」


『了解だ。攻撃を開始する』


















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