【ソーセージ mari & mari】 〜#10 みずたまり vs 100万円
【みずたまり vs 100万円】
「うぇっつ、な、なにこれ!」
みずたまりの素直なリアクションが部屋に響いた。
なんと、リビングのテーブルに帯付きピン札の100万円束が
無造作に捨てられていたのだ。
ピン札の一万円札100枚はちょうと1センチの厚みだ。
間違いない、これはホンモノ。みずたは直感した。
「ああ、ワケあって借りてきたのヨ」
みずたはあえて理由は聞かなかった。
それより‥‥‥
「ダメでしょ、こんなところに放っておいたら。危ないでしょ」
「ヘーキヘーキ、あなたは盗らないワ」
当たり前でしょ!
みずたは心の中でいい話しつつもごみたの言い方になにか引っかかった。
それはーー
「あなたにはそんな度胸ない」
ゔぁっ! そんなつもりはなかったが、みずたはなぜかカチンと来た。
「な、なによ、バカにしないで。
あたしだって大胆なことだってできるんだから!」
「ほんと〜 例えば?」
みずたは、100万円束をあまりない胸の谷間に半ば無理くり挟み込み、
ほおらほら〜、とぎこちないストリッパーの真似しておどけてみせた。
ハイハイ、とあしらうごみたの勝ち誇った顔を見て
挑発に乗せられたことに気づいたみずたは後悔するのだった。