座敷わらし外に出る
どうも。 座敷わらしです。
今は雨が降っています。 梅雨です。
私は縁側に座って庭を見てます。
なぜかって?
「あっめあっめふっれふっれ!きーちゃんがぁ!」
「天の恵みじゃ~!!」
「これは皿が潤うなぁ」
そんな雨のなかでも、元気一杯のあの子達を監視するためです。
決して一緒に遊びたいとかじゃないんですよ? 本当ですよ?
「幸ー! こっちきて一緒に遊ぼー!」
「無理です。 みなさんが中に入ってくださいよぉ」
「だって雨だよ!」
「雨って、あなた雪女なのに大丈夫なんですか?」
「あーもう! めんどくささんめ!」
そういうと幸さんは近づいてきます。 少し嫌な予感が……。
「千河手伝って!」
「あいやまかせれ!」
二人は私の手を片方ずつ持ちます。
え?
「いっせーのーせ!」
「でぃやぁああ!」
「うぇぇぇぇえ!!?」
投げ飛ばされました。
ああ、なぜかは知りませんが走馬灯が見えます。
大好きなおばあちゃん、ごめんなさい。
私は二度も家を出てしまいました。
私は、本当に悪い子のようです。
ぶぇちぃっ!
と、なにかが潰れる音が聞こえると同時に地面に叩きつけられました。
「いったた……。 もう!なにするんですか!?」
「柿! ちゃんととらにゃだめじゃん」
お尻のほうを見ると、オレンジ色のなにかがべちゃってなってたます。
もしかして……。 と思うと顔から血の気が引いていきます。
「渋井さん! 大丈夫ですか!?」
オレンジ色のべちゃってなってるのは返事をしません。
私は泣きそうになります。
だって、また私は不幸にしてしまいました。
「渋……井さん……」
「どうした?」
「!?」
その声は確かに渋井さんの声でした。
ですが、オレンジ色のべちゃってなってるやつからは声はしません。
「驚いたか。 これが身代わりの術である」
その声は私の肩から聞こえます。
「わっはっはっは!」
「渋井さん……。 もう! 心配しましたよ!」
「幸!」
そこで、幸さんの声が届きます。
「幸は今が一番不幸なんだから、これ以上不幸になんてならないよ。 だから、一緒に遊ぼうよ」
「幸さん……。 はい!」
そして、私の二度目の家出は、幸せでした。
目が覚めると、屋根裏で寝ていました。
いったいどれくらい寝ていたでしょうか。
茶の間にいきます。
誰もいませんでした。
「みなさん?」
「幸さーん?」
「渋井さーん?」
「千河さーん?」
「誰か、いませんか?」
本当に、誰もいないんですか?
どうして。
やっぱり、私が外に出たから。
みんなが不幸になってしまったのでしょうか。
だから、この家を出ていってしまったのでしょうか。
私はその場に泣き崩れます。
「誰か、いないんですか……」
そのときでした。
「ただいまー!」
幸さんの声です。
私は玄関に急いで向かいます。
そこには、みんないました。
「幸さん! みなさん! どこにいっていたんですか!?」
「近くの川で釣りを」
「なんで私も連れていってくれないんですか!」
私はポカポカと幸さんを殴ります。
「あいたた。 わかった、じゃ、今からまたいこうか」
そう言って幸さんはまた玄関からでていきます。
私も後を追うように靴を履き、そして少しだけ緊張しながら玄関からでます。
「待ってください! みなさーん!」
ついに外にでた座敷わらしさん!
これからのお話が気になりますね!……え?
このお話、次話で完結!?
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。