新婚夫婦?
おかって……台所の方言だと思います。
朝、私は目を覚まして屋根裏から茶の間へと向かいます。
なぜ向かうかと言うと、こたつで寝ている妖怪を起こすためです。
トトト。
おっとっと。その前にやることがありました。
私は茶の間からおかってに行き場所を変更します。
フライパンを用意して、油をひきます。
火をつけて油にぷつぷつと気泡が見えたらベーコンを二枚入れ、その上に卵をのせます。
水をいれて蓋をして少し時間をおきます。
ほどよいタイミングで火を止め、皿に移します。
ご飯は炊飯器で予約炊飯していたのがたけているので、それをよそう。テーブルに持っていきます。
「幸さん。 渋伊さん。 ごはんですよ」
「ん……。 んぅ」
幸は静かに起き上がります。
「はょうござぃまふ」
「おはようございます。顔を洗ってきてください」
「わらし殿。 私は米など必要ないですよ。 なんせ、柿なんで」
「そうなんですか。 妖怪だからなんでも食べると思ったんですけどね」
「はっはっはっ! 柿が物を食おうものなら早口言葉になるわ!『となりの柿はよく客食う柿だ』ってか! はっはっはっ!」
なにがおもしろいのでしょう。私にはわかりません。
「幸、連れてって~」
幸が手を伸ばしてきます。
仕方ありませんね。
「ほら、こっちですよ」
そうこうあって、いまは二人でテーブルに座っています。
渋伊さんはテレビで将棋を見ています。
「いただきます」
「いただきます」
私たちはごはんを食べ始めました。
「うん! おいしい! 幸のごはんチョーおいしー!」
「そんなにですか? ありがとうございます」
「いやぁ、これからもこんなにおいしいごはんが毎日食べられるなんて幸せだ! 幸のごはんは幸ってね!」
「なんですかそれ」
なんていいあって笑いあっていました。
ではなく!
「毎日っていいましたか!? 雨宿りのはずです! 雨はとっくにやんでいます! はやく帰ってください!」
「もう、素直じゃないんだから。 本当は嬉しいくせに。 料理褒められたり、言い合いしたり」
「ぐっ……」
言葉が出ません。
実際楽しかったのは事実ですし、少しだけおばあちゃんがいなくなった寂しさも紛れたりしました。
ですが、やはり私の心にはどんよりと雲が漂っており、おばあちゃんがいなくなったことを受け止めきれずにいるのです。
その実感を、まだ充分に把握していないのです。
私にはぽっかりと穴が空いているのです。
それを、この二人で満たしてしまうのは、なんとなく違う気がして、だからこそ二人を早く追い出したいのです。
「そんな風に思ってるなら、まだまだ雨宿りは続きそうですねぇ」
「そうですねぇ」
いつのまにかこちらにきていた渋伊さんと幸さんがうんうん、と合図ちをうっていました。
さて、この雨宿りはいつまで続くのでしょうか。
雨宿りするために二人は来ましたが、本当は雨が降っているところに自らやってきているんですね。
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。




