初恋(かな?ふふ)の彼
(前回の復習)って、おい。
優子にあこがれを抱いていた健二。
必死の思いで作ったラブレターも、渡しそこねたばかりか、BFらしい男まで目撃。ショックが隠しきれず・・・
でも、その男が彼女の兄で、優子はなんとフリーの身!
勢いに任せて、一気呵成に出るか!?
という続きを、優子目線で行かせていただきます。
「」がないから、読みにくいかもね~。(笑
一つのチャレンジと思ってください。
最初は全然タイプじゃなかった。
好きなんて、とんでもない。ただのクラブの仲間。
あの笑いも、変な声と真っ赤な顔に吹き出しそうになって、クスって笑っただけのこと。
でも、それで、健二君、勘違いしちゃったのかな。
急に、あたしの両手を握りしめて、
立候補します、お願いします。だもん。
つい、勢いに負けて、はい、って返事しちゃったけど。
ちょっとなあ・・・悪い人じゃなさそうだけど、頼りなさそうだし・・・どうしよう。
兄さんは、男は顔じゃないぞ、ハートだぞ!っていつも力説するけど、
やっぱり、顔も大事よねえ。
兄さんも確かに、もて顔じゃないから、わかるけど、その気持ち。
健二君も、もう少し、顔がよかったらなあ・・・ハートは・・・・・どうなんだろう?
でもね、そう思っていたけど、
やっぱり、男の人は顔じゃないのかもしれない。
今日ね、ちょっと遅れて部室に入った。
ちょっと薄暗くなった部屋の中で、健二君が黙々と作業していた。
聞いてみると、文化祭の出し物、作っているんだって。
みんなの興味を引きそうな、星座とか、星とか、
パネルにして、説明書付けて、見やすいかどうか、検討してる。
でも、健二君、そんなに星、興味なかったんじゃないの?
友達つきあいで入部って、言ってたよね?
そんな人が、どうしてそんな作業、してるの?
そうね、確かに誰かがやらなくちゃいけないよね。
他の部員は、星の写真の現像とか焼付とか、説明書書きとかに忙しいから、
健二君はそういうの、あまりできないから、この作業、してるのか。
でも、つまんなくない?
え・・・・・?
あたしがいるから、楽しい・・・・?
や、やだな、そんな・・・・・あ、あは、照れちゃう。
笑ってごまかしたけど、その言葉、聞いたとき、胸がキュンとした。
もっと、飾った言葉、いろいろ聞いたけど、そんな胸キュンなんてなかった。
でも、これは違った。
自分でびっくりするぐらい、ドキドキしていた。
何でだろう。
『あたしがいるから楽しい。』
そんな、単純な台詞が、どうしてこんなにドキドキになるんだろう。
何度も何度も、あたしはリフレイン。そのたびに、胸がキュン。
どうして、こんなんになるんだろう。
・・・単純だから。
計算とか打算とか、何にもなくて、
心の底から出てきている言葉だからだ。
だから、あたしの心に響いてきたんだ。
どうしよう。どうしよう。
あたしの方が、よっぽど計算してる。
顔だとか、かっこいいとか、打算で動いてる。
健二君の方が、よほど素直な心のまま。
恥ずかしい。
自分が思っていたことが、すごく恥ずかしかった。
ちょっと後ろめたかった気持ちもあったけど、
健二君は昨日と変わりなし。
よかった。
そうよね、ドキドキはあたしの中だけだもの。
でも、このドキドキ、伝わりそうな気がして怖い。
そんな気持ちを持ったまま、
あたしも健二君と一緒に作成にいそしんだ。
あたし?あたしはどうして天文部、入ったかって?
星ってロマンチックじゃない?
女の子はみんなそう言うって?あは。
いいじゃない、ロマンチック。
それとね、ほら、ちょっと前、日本の人工衛星、飛んだの覚えてる?
お父さんとね、夜空を見たの。その話を聞いて。
そしたら、星がね、なんか、凄く輝いていたっていうか、
近くで光っていたっていうのか、とにかく、身近に感じたの。
お父さんが言ったの。天の光はすべて星なんだよって。
それが凄く、嬉しくて、なんか、こういうの、いいなって、思って。
もっと星のこと、勉強したら、あたしも星の近くにいけるのかなあって、思ったの。
実はお父さんの科白、ある小説のタイトルだったんだけどね。
え?将来は天体物理学者?それともロケット工学?
やだあ、そんなことまで考えてないよぉ。
ん、でもそういうのもいいかな。
なれるかどうかはわかんなけど、そういう目標もありかもね。
・・・応援?応援してくれるの?
あたしが夢に向かって努力するなら、応援してくれる・・・・・・?
あ、ありがと。
うわあ、そんなこと言われたの、初めて。
あ、涙出て来ちゃった。やだな。恥ずかしいな。もう。
でも、ほんと、ありがとう。
もう、完全に意識の中に入って来ちゃった。健二君が。
彼を視線で追いかけている、あたしがいた。
文化祭の時、わからないなりにも一生懸命に説明してる彼を、
フォローしてた、あたしがいた。
あたしの説明をニコニコ聞いていてくれた彼がいた。
文化祭が終わって、打ち上げしたとき、あたしの隣には、彼が座っていた。
でもね、健二君、兄の壁、あるよ。忘れた訳じゃないよね。
え?・・・・このままでもいい?天文部で一緒にいられるから・・・・って、
そ、そんなの、やだ。
だって、それじゃあ学校の外へは、行けないじゃない。
あたしと、デートしたくないの?
外で遊びたくないの?あたしはしたい。二人で遊びたい。
ごめん、わがまま言って。でも、ホントのことなんだから。
なんとかして、兄に健二君のこと、認めさせて欲しい。
あたしの彼だって、認めさせて欲しい。
あたしのこと、応援してくれるって、言ってたよね。なら、健二君もがんばれるよね。
やだ、また涙でてきちゃった。でも、ほんとに頑張ってくれるよね?
・・・うん、健二君の手、暖かい。
ほら、あたしの手も、あったかいよね。
ね、こうやって、お互いの手を握っていたら、勇気、湧いてこない?
二人で、がんばろっ!!
ダメか~。いい手が思いつかないよねえ。
そりゃそうかあ。
兄は柔道で市の大会で優勝してるくらいだもん。
生半可にぶつかっていっても、返り討ち。
たとえ健二君が三人でかかっていっても、勝てるなんて思えない・・・無理だ。
どうしよう・・・・・え?
あたしがそんなに悩むんだったら、正面から行くって・・・?
そ、そんなの、自爆行為じゃない。
いままでそれで何人、逃げ出したか。
ちょ、ちょっと待ってよ!
うわ、襟首掴まえられて、持ち上げられてる。
身長差もパワーも桁違いって感じ。
はい・・・お兄さん、この人がつきあっている、鈴木健二君です。
見た目じゃないんです。この人、ハートが暖かいんです。
だから、あたし、この人とつきあうことにしたんです。
そ、そんな、兄さんと柔道で対戦する?兄さん、無茶言わないでよ。
え、健二君、やるの!?
柔道なんて、やったことあるの?・・・・・ないの!?
そんなの絶対に無茶だよ。死んじゃうよ・・・・
ああ、もう、兄さんは言い出したら、聞かないし・・・・
どうしよう、どうしよう。死んじゃう、健二君が死んじゃう。
試合の当日が来ても、二人が目の前で対戦始めても、あたし、そればっかり。
もう、だぶだぶで、全然柔道着が似合わない!
どうしてこんなことに、なってるのよ!
あたし、どうしたらいいの!!
涙がポロポロこぼれてきてた。
もう、我慢できなかった。
あたしは試合に飛び込むと、兄さんにしがみついた。
必死でしがみついた。
スカートがめくれようと、髪の毛が乱れようと、どうでもよかった。
とにかく、止めさせたい。止めさせなきゃいけない。それしか考えてなかった。
あたしはワンワン泣きながらしがみついていた。
しばらくするとあたしの肩をポンポン叩いてきた。
涙をこらえて振り向くと、健二君が笑って立っていた。
兄さんも笑ってた。
え?・・・・試合はどうなったの?
全部八百長?・・・・なに、それ?
試されていたのは・・・・あたし?
あたしがどれくらい本気か、試してたってこと?
今まであたしとつきあおうという人、逃げ出していった人、
そんな人には、あたしも本気じゃなかった。
だから、残念とも何とも思ってなかった。
でも、健二君には違ってた。がんばって欲しかった。乗り越えて欲しかった。
彼に対して、あたしがどれくらい真剣か、それを見たかったって、こと?
それがわかったから、もう試合の意味はないって!?
そ、そんなの、ずるい!
あたし一人が、バカみたいじゃん!
悩んでいたのが、まったく無意味じゃん!!
健二も、だましてたってことよね!ひどい!
健二も、兄さんもだいっ嫌い!
それこそ、本気で泣いた。
恥ずかしくて泣いた。
あたしが泣きやむまで、二人は見守っていてくれた。
そして、健二君が、照れたように手紙を差し出してきた。
くしゃくしゃになって、薄汚れた手紙。
あたしが、その手紙を開くと、その中には汚い字。
!!!
やだ、もう。
健二のばか!
あたしは泣きながら健二にしがみついていた。
でも、この涙はうれし泣き。
「あたしも・・・・・好き!大好き!」
あまりにベタベタで申し訳ありません。
こんなの、してみたかったな~という、作者の願望だけで書いてます。
実話半分の残り、フィクションの方ですね。こっちは(笑
でも、昔のTVドラマとかって、けっこうこれくらい、ベタでなかったですか?
それに一生懸命に見てましたねえ。今見ると、なかなか恥ずかしいのですけど。
こっ恥ずかしさを味わっていただけたのなら、
作者のねらいが達成と思ってください。
お読みいただき、ありがとうございました。