転生狩りに気をつけろ! もはや転生先は転生者で溢れている!!
「はっはっはっはっは! 弱そうな奴だなー。おい、お前、俺が誰だか分かってんのか? 異世界から来た、世界最強の勇者様だぞ!」
重厚な鎧(ただし装飾過多)を纏った男が、取り巻きの女たちを侍らせて吠える。
「ねぇなろう君、あんな奴早く片付けちゃってよ~♪」
「私も、なろう君の本当の力、早く見たーい♪」
「まあまあ、そう焦るなって。少しぐらい手加減してやってもいいが、俺様の力でじっくりいたぶってから――」
ギィッシャ!!
勇者「なろう君」の饒舌な口が、次の言葉を紡ぐことはなかった。
一瞬の閃光が彼の喉を断ち割り、鮮血が噴水のように舞う。
ブシューーーーーー!!
「きゃーーーーー! なろう君がーーーーーー!!」
「嘘よ、こんなの……あり得ないわ……っ!」
「さっさと失せろ」
冷徹な声に、女たちは悲鳴を上げて逃げ惑う。男は汚れを払うように手を振り、「ぱたぱた」と服を整えた。
「……場違いな薄着の女と、視界の悪い兜を過信する男。本当、どいつもこいつもお決まりだな」
男は転がった「なろう君」の死体に手をかざす。
「悪いが、魂は貰っとくぞ」
シューーー、グシャ!
魂すらも物理的に粉砕され、男は退屈そうに空を見上げた。
「まったく、なんでこうも同じ面ばかりなんだ。気味悪い。……ん? 近くの領域で派手にやってる連中がいるな。挨拶に行ってやるか」
(完)
2015に書いたにしては上出来でした。
続きがバラバラですがありました。
「ここか……。腐った『上位陣』の遊び場は」
教会の威光が届く街の入り口。俺が足を踏み入れると、怯えた様子の男が声をかけてきた。
「なあ、あんた! 今の空を見たか? 異界の悪魔の予兆だ……! 早く教会の方々に報告しにいかなければ。さあ、あんたも来い!」
男の必死な演技。だが、その瞳の奥にある狡猾さを俺は見逃さない。
「待ってくれ。俺の格好を見てくれ。こんな物乞いのような姿で教会に行ったら、追い返されるのが関の山だ」
「大丈夫だ! 『悪魔』の情報を報告すれば、彼らは慈悲深く受け入れてくれる。ほら、早くしろ! あの『魔女』に捕まったら終わりだぞ!」
必死に俺を「処刑場」である教会へ誘導しようとする男。俺は内心で冷笑しながら、その誘いに乗ることにした。
「そ、そうだな……案内してくれ」
「タッタッタッタ……」
男の背中を追いながら、俺はあえて問いかける。
「……なぜ、そんなにその『悪魔』を恐れるんだ?」
「知らないのか? つい最近も、聖女に化けていた異界の魔女がこの街を滅ぼそうとしたんだ。それを教会の方々が……(ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョ)」
男が口にする「教会の武勇伝」。それは全て、俺が知る「転生狩り」の隠蔽工作だった。
「なるほど……状況は分かった」
俺は足元で影を動かした。まずは、俺を誘い込もうとしているこの「デコイ(囮)」を消し、連中が張った罠の上から、さらに巨大な罠を被せてやる。
「厄介な連中だが……『元祖』のやり方を思い出させてやるよ」
(完)




