絶望に灯す一筋の光
体全体が熱い、痛い、足が思うように動かない、手にも力が入らない。なんで俺には力がないんだよ。あーあ、俺にも力があったらな。ん?そういえば俺。固有能力”?”があったよな。・・・ラノベだったらこういう展開で、覚醒するんだろうな。でもさ、この世界じゃそんなご都合展開なんて起こるわけないよな。あーあ、クソッタレが。俺が何をしたって言うんだよ。クソクソクソクソクソクソクソ。ほんといい加減にしろや。
「・・にをしている。」
「あ、なんだって?」
「だから、何をしているお主。勝手に諦めるでない。」
「はあ、お前さ、現実見ろよ、あんなのにかなうわけないじゃん。俺はここで終わるんだよ。そう、死んじまうんだよ。」
「なら、せめて最後まで抗え。醜い悪あがきをしろ、最後の最後まで諦めるな。」
「はあ、だから無理だって言ってるんだよ。足だって動かないしさ、能力も無いしさ、あがこうとしてもあがけないんだよ。」
「・・・。」
「というかさ、お前俺のそばに居るのが世界一安全とか言ってたけどさ、結局どいつもこいつも来ないじゃん。」
「・まん。」
「なんだって。」
「すまないと言っておるのだ。妾が妥協してさえいれば、こんな姿になっていなければ・・・。」
「妥協?」
「そうだ”傲慢”のすることに妾が妥協さえしていれば、こんな姿にならなかったのだ。」
「というかその”傲慢”は俺のどこに興味を示したんだよさほんと。」
もうつぎの攻撃は避けれない、本当にどうする?
「いや、もういいや。」
煉はカオルの方へおぼつかない足取りで向かっていった。
「お主何をするつもりだ?」
「簡単なことさ。」
「ぶん殴るだけだ。」
「お主、それは無駄だ、殴ったらお主の腕が吹っ飛ぶぞ。」
「関係ねえよ。」
カオルは、また、氷の槍を生成して、攻撃をしようとした。
「お前さ、手加減してるだろ。」
「ああン、そりゃそうだろぉ。」
「なら、俺が一発殴るぐらい手ぇ抜いてくれよな。」
我ながら何を言っているのかよくわかっていない。めちゃくちゃなことを言っている自覚しかない。
次の瞬間氷の槍が煉に向かって発射されていた。
「この、クソ氷があああああああああ。」
どうせ無駄なことなど百も承知だ。でも、何もしないよりかは、ましだ。
そうして氷をぶん殴った。ぶん殴った・・・。
「ん?」
眼の前から忌々しき氷の槍が消えていた。まるで氷の槍自体そもそもなかったような感じだった。
「っへ、なんとかなっちまったな。」
「ッチ」
カオルは何が起きているのかはわかっていないが、この状況を打開できるものではないと判断した。そのため、また氷の槍を生成していた。
「二発目なんてもう無理だって。」
煉は諦めた。
氷の槍がこちらに飛んできている。終わったな。煉はただ呆然と立ち尽くしていた。
「なるほど。」
氷の槍が漆黒の男に当たって砕け散った。
「なんで、お前が居るんだ?」
「なんでって、言ったではないか。次現れるのは能力を発動させたときだと。」
ゼロは静かにそう言った。
「後は任せておけ、なんとかしてやる。」
その言葉は、絶望に沈む俺の胸に、少しだけ、穏やかな安心を灯した。




