現実と非現実
通りを歩いているとき煉はふと思った。
いきなり異世界転移し、建物や風景などばかりに目を奪われていてあまりここにいる人のことをよく見ていないなと気がついた。普段は"人"の行動などは気にしないがここは異世界そうラノベでよく書かれる獣人とか亜人とかが歩いているかもしれない、と煉は周囲をさり気なく見渡してみた。人々は行き交い、賑やかな通りには店などがある。一見すると、地球のどこかの都市とあまり変わらないようにも見えた。
「あれ、亜人とか獣人らしきものがないな。というか人間しかいないだと。」
またもやラノベのテンプレートとは違っていたのだった。
「俺の来た異世界ってテンプレートってやつがねぇのかよ。あまりにもリアルすぎるやろ。」
とぐちを言いながら煉の目にふと制服姿の人々が映った。学生服やブレザー、ローブのようなものまで多種多様だが、確かに学生の格好だ。
「制服の人多いな。あっそういや人口の半分ぐらいは学生とか観光本に書いてあったな。そういえば、俺の格好も制服だからもしかしたら町に馴染んじゃったりしてる?」
異世界転生の主人公は服装がジャージとかで目立ってたりする事が多いが煉はたまたま馴染んでしまう格好だったのである。そのため周囲の人からもただのボッチの一般学生としか見られていなかったのだ。
「まあ浮いているよりかはマシかもな。いやここでは浮いていたほうが良かったのだろうか?」
と少々意味のわからないことをつぶやきながら歩いていた。
歩いて数分がたったとき信じられないものが見えた。[異世界転生しちゃった人専用事務所]といういかにもという感じの看板が目に入ったのであった。
「何だあれ、いかにも詐欺臭い感じするな。でもなぁこのままでもまずいんだよな。どうしよう。」
煉には今頼れるものは何一つない現状しかも観光本には学園都市は第一区以外の場所は意外と治安が悪かったりするなどのことが書かれていた。そりゃ、いろいろな人がこの学園都市にやってくるため悪いことをするやつも当然かのようにいるはずだ。そんな奴らに絡まれるのは困るわけだ。ただでさえ異世界のテンプレートが無いこの世界だからもしかしたら異世界転生の定例のチート能力もないかもしれない。
「背に腹は代えられないな。行くしかねえか」




