第94話 誕生日プレゼント
俺は海斗のその言葉に呆然としたままプレゼントを受け取り中を開く。
こ、これは……。
まさかの俺と風間がやってるEMというゲームの赤髪美少女キャラクター、そして俺の推しキャラでもあるアフロディーテのフィギュアが入っていたのだ。
俺は嬉しさを隠しきれずにパッと顔を上げると海斗は俺の様子を満足そうに見てから言葉を発した。
「湊、前このキャラクターのフィギュアを欲しいって言ってたからね。僕はあまりこういうの分からないけど秀に協力してもらって選んだんだ」
確かに前に欲しいと言った事は覚えているが、それはあくまで雑談の中で言った事でそんな覚えてもらうようなものではない。
海斗はただの雑談の中からも他人の情報を集めるなでこれはクラスで人気が出るのも納得できるというものだ。
実際俺が女子だったら惚れているかもしれない。
「サンキュー、海斗」
俺は嬉しさを隠しきれないままお礼を言うと今度は海斗に変わって荒井が袋を差し出してきた。
「俺からはこれだ」
そう言って渡してきたのはお菓子の詰め合わせだった。
なんていうか荒井らしいと言えば荒井らしいプレゼントであるので俺は有り難くそれを受け取る。
「サンキューな、荒井」
そう言って荒井にお礼を言うと荒井は少し照れくさそうにしながらも視線を逸らして下がっていた。
そして荒井と入れ替わるように聖先輩がプレゼントを持って立ち上がる。
「はい、これ私からのプレゼントだよ」
そう言って聖先輩が渡してくれたのはスニーカーだった。
「え、ありがとうございます」
俺は先輩にお礼をしてから袋の中に入っていた箱を開けて出してみると黒と白の色合いのシンプルなものが姿を現した。
「試しに履いてみますね」
俺はそう言葉に出してサイズの確認のためにも試しに履いてみる事にするとなんと足のサイズがピッタリで驚かされた。
「うんよかった、ピッタリだね」
聖先輩は俺の足にスニーカーのサイズが合っていることを確認すると安堵の息を漏らした。
この人は何か超能力でも持っているのだろうか?測られた記憶がないのに靴のサイズが分かるというのは何かそれらしい力があるようにしか思えない。
俺はまだ驚かされたままでいたがそれを聖先輩は気づいているか気づいていないか分からないがそのまま元いた席に座った。
そして今度プレゼントを持って出てきたのは友里と陽毬の2人だった。
「はい、これあげる」
「湊っち、お返し期待してるからね」
2人からそう言われて手渡されたの袋の中に入っていたのはウサギとネコのぬいぐるみだった。
俺はぬいぐるみを見た瞬間少し驚くと同時に安心する事になった。
と言うのもつい先日、舞に渡されたプレゼントもクマのぬいぐるみだったので動物の種類が被らなくて良かったというものだ。
現在クマのぬいぐるみは自室の本棚の上に置かれているのでその横にこの2匹の動物も置く事にしよう。
そう頭の中で決めると2人にも「ありがとな」とお礼を言って受け取った。
ていうか今日皆で俺の方を見てにやけていたのはプレゼントがあるからだったと知って少し安心した。
そうして最後は彩葉が前に出てきて手に持った小さな袋を前に差し出してくる。
「こ、これ、あげる!」
少しというか結構頬を染めて恥ずかしがりながらもそうプレゼントを手渡してくれた。
「あ、ありがとう」
俺も彩葉に釣られて顔が赤くなっていくのを自覚しながらも礼を言ってからその袋を受け取る。
「中、見ていいか?」
「……うん」
何故自分がこんなに緊張しているか分からないが、渡してくれた本人の許可が出たので少し緊張しながらも袋から小箱を取り出してそれを開ける。
「「「「「「「おぉ〜……」」」」」」」
いつの間にか俺の近くまで移動していた二宮先生を含めた映研部員全員が俺と彩葉の周りを囲みながら俺が取り出した箱の中身を見つめる。
そこには綺麗な星のネックレスが入っていた。
彩葉の後方では友里が陽毬の耳元で何かを囁きそれに対して陽毬が頷いてから彩葉に呆れた視線を向けて首を振ったりもしているが、今はあまりそれが気にならない。
映研の皆から貰ったプレゼントは全部嬉しかったが、このネックレスだけは特別的に嬉しく思えた。
俺がネックレスを見つめたまま動かなくなったからか彩葉が心配して顔を覗き込んでくる。
「え、えっと、どうだった?嬉しくなかった?湊に似合うもの選んだつもりだけど……」
俺はそこでハッとして彩葉に顔を向けて決してそんな事ではないことを説明する。
「違う。あまりの嬉しさに感激してただけだ」
「そう?それなら良かった」
俺の言葉に彩葉は微笑んで見せるとほっと胸を撫で下ろしていた。
「今試しに着けてみるな」
せっかくなので俺は箱からネックレスを取り出して着けてみる事にした。
しかし不器用な事にあまりアクセサリー類を着けるのに慣れておらずネックレスを後ろでくっつけるのに少し手こずってしまう。
「ふふっ、あたしがやってあげる」
俺の着けるのに手こずってる様子を見て我慢ならなかったのか彩葉が進んで着用するのを助力してくれた。
そして無事ネックレスを着け終わり俺の胸元から星が光っているように感じる。
俺はその星を握りしめて彩葉の方に振り返りこう言葉を発した。
「これ一生大事にする」
俺の言葉に彩葉はコクッと頷くと再度微笑んで見せたのだった。




