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元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第2章

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第90話 コウハイ

 時間が10時を過ぎた事を確認し、俺は扉に掲げられていたcloseの文字を裏返してopenへと変える。


 先程までスタッフルームでゆっくりしていた皆も既に打刻を終えていて、いつお客様が来てもいいように準備万端である。


 接客の役割である俺と紗希先輩は少しズレていたテーブルを整頓しながら最初の客が来るのを待っていたら、店の入り口からチリンチリンと音が鳴り客が来た事を知らせる合図が鳴る。


「いらっしゃいませ」


 俺はもう音を聞いた瞬間に自然と発せられるようになったお馴染みの言葉を発してから入り口を見る。


 するとそこには毎週のようにこの店に訪れている後輩の姿があった。


 まぁ後輩と言っても直接的な後輩ではなく、単なる年下というだけだけどな。


「お、舞、今日は早いな」


 俺がそう声をかけると舞は少し照れ笑いしながら応えた。


「えへへ、実は星宮さんに誕生日プレゼントを渡そうと思いまして……」


 そう言って舞は鞄の中をゴソゴソとし始め、目的のものを手にするとそれを俺に渡してくる。


「……これ、どうぞ」


 俺はそれを受け取ると同時にお礼を言う。


「……貰っていいのか?ありがとな」


 そして改めて受け取ったものを見るとそれは小さい熊のぬいぐるみであった。


 中学生である舞はまだバイトをできないだろうし、おそらくお小遣いを貯めて買ってくれたものだろう。


 これはお返しをしないといけない相手が増えたな、と思いながら貰った熊のぬいぐるみを一旦スタッフルームにある自分の鞄の中に入れて接客へと戻る。


 ホールへと戻るとちょうど紗希先輩が席へと案内してくれていたのか舞は既に着席をしていた。


 俺が戻ったのを確認した紗希先輩はすぐにその場を離れて俺に耳打ちをしてくる。


「注文は湊くんが取ってあげてね」


 そう言って意味深な笑みを浮かべた紗希先輩は手をひらひらしながら元々やっていたテーブル整理へと戻っていった。


 俺は紗希先輩の後ろ姿を目で追ってから舞の元に行き、ハンディを手に注文を受け取る。


「それで注文はどうする?舞」


「んーそれじゃあいつも通りアイスカフェラテだけでお願いしますね!」


「了解」


 俺は慣れた手つきでササッとハンディに注文内容を入力してからポケットにしまう。


「それで舞の誕生日はいつだ?」


「……へ?と、突然ですね」


「別に突然じゃなくないか?さっきお前は俺に誕プレくれたんだし、俺もお前の誕生日に何かお返ししたいと思うのは普通じゃないか?」


「ふ、ふーん。誕生日、ですか。えっと、私の誕生日は1月18日です。でもちょっとその辺は受験で忙しいと思うんで2月下旬の受験終わったあたりで誕生日祝ってくれたら嬉しいです」


「分かった、ちゃんと覚えておく」


「ふふ、絶対忘れないでくださいね?」


 舞はどこか嬉しそうにそう微笑む。


 それからは11時を過ぎたあたりで人の数も増え始め、俺は舞に1人に構っていられるほど暇ではなくなり、接客の仕事に集中する。


 時折舞の様子も確認してみるが、どうやら舞は今日受験勉強する目的もあったようで教科書とノートを開いて一生懸命勉強している。


 そして13時を過ぎたあたりで一旦ピークは過ぎ去り従業員同士の間でも少し会話が生まれるくらいには余裕ができ、俺も紗希先輩に話しかけられた。


「あの子、凄い集中力だよね」


 そう言って視線を向けるのは開店時からずっといる舞の姿。


「確かに凄いですね。まぁやっぱり第一志望の高校に行きたいんじゃないですか?」


「第一志望、ねぇ」


 そこで紗希先輩は何やら意味深な目でこちらを見てくる。


「……何ですか?」


 俺が紗希先輩の意味深な目に対して少し抗議するように目を向けると先輩は面白いものを見つけたような顔をして言葉を発した。


「べっつにー」


 紗希先輩のその言葉に対して少し疑問を抱いたが、特段重要な事ではないのであまり気にしない事にしてその後も俺は接客を続けた。


 気づいた時にはもう帰ったのか舞の姿も無くなっており、俺は心の中で誕プレへの感謝と受験勉強に対しての応援をしておく。


 彼女の第一志望は俺の通っている青嵐高校だと聞いているので、ぜひ一緒に高校生活を謳歌してみたいと思う。


 まぁ彼女も陽キャよりの人間に見えるので高校が同じになっても関わる機会は少ないと思うが、それでも彼女と同じ高校に通う事自体は楽しそうだな、と俺は思った

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