第77話 人狼ゲーム(前編)
という事で始まりました人狼ゲーム大会。
ルールは普通の人狼ゲームと一緒でそれぞれ市民陣営と人狼陣営に分かれて1日に一度5分の話し合いの時間を設けられ誰が人狼かを予想し怪しい人間を処刑するというものだ。
それぞれの陣営の勝利条件は、市民陣営は人狼全員を処刑できたら勝利、人狼陣営は市民の数と人狼の数が等しくなれば勝利となっている。
今回のゲームマスターは二宮先生が引き受けてくれたので有り難くやってもらう事にする。
それでゲームの概要を詳しく説明すると、まずプレイヤーの人数は11人。
役職は普通の市民が4人、占い師が1人、霊媒師が1人、狩人が1人、狂人が1人、狂信者が1人、人狼が2人となっている。
それぞれの役職の説明はこんな感じだ。
市民……何の能力も持たない一般人。
占い師……毎夜1人占う事ができ、その人が人狼か否かを判別する事ができる。
霊媒師……毎夜処刑された人間が人狼か否かを判別する事ができる。
狩人……毎夜1人を人狼の襲撃から守る事ができる。
狂人……人狼陣営の市民。人狼が誰かは分かっていないが、人狼が勝てるように村を掻き回す。
狂信者……人狼陣営の市民。人狼には認知されていないが誰が人狼か分かっており、人狼が勝てるようにサポートする。
人狼……毎夜1人を襲撃する事ができ、着実に市民側の人数を減らすように動く。
俺たちが聖先輩から受けた人狼ゲームについての説明はこんなものだ。
そして聖先輩はどこから取り出したのか人狼ゲームという文字が書かれた箱を開けて今回必要なカードだけを取り出す。
それを二宮先生に「あとはお願いします」と渡すと、二宮先生がコクリと頷いてから軽くシャッフルして全員に手渡ししていく。
俺も受け取ったカードを見てみると、そこには市民と書かれた文字と可愛い女の子の絵が描かれていた。
どうやら俺は何の能力も持たない一般市民になったようだ。
俺はカードを裏返しにしてもう見る必要もないな、と思い机の上のお菓子があまり散乱していない汚れなさそうな位置に置く。
他の皆も自分の役職について把握したのか机の上にそれぞれカードを置いていく。
二宮先生は最後に三浦さんがカードを裏返しにして机に置くのを見届けてから人狼ゲームの箱に一緒に入っていたゲームマスター用のシナリオを見ながら口を開いた。
「それじゃあ全員準備はできたな?これより人狼ゲームを始めていく。とりあえず全員目を瞑ってくれ」
その言葉に俺たちは全員目を瞑る。
おそらくゲームマスターが役職を把握する為の時間なのだろう。
「ではまずそれぞれ役職を確認していく。最初に人狼の2人は目を開けてくれ……分かった、もう目を瞑ってくれて大丈夫だ。次に狂信者の人間は目を開けてくれ……分かった、ちなみに人狼はそいつとそいつだ。もう目を瞑ってくれて大丈夫だ。そんで狂人も目を開けてくれ……分かった、もう目を瞑ってくれて大丈夫だ」
これでひとまず人狼陣営の確認は終わり、次は市民陣営の確認だ。
「……それじゃあ次は占い師が目を開けてくれ……分かった、占いたい人間を指差してくれ……分かった、ちなみにそいつはこれだ。もう目を瞑ってくれて大丈夫だ」
おそらく占い師の問いに対して人狼か否かを手で表現しているのだろう。
それにしてもさっきからシナリオをそのまま読み上げてるだけだろうが、二宮先生が「分かった、もう目を瞑ってくれて大丈夫だ」とばかり言葉にするbotになっていて少し笑いが込み上げてきそうだ。
「次は霊媒師は目を開けてくれ……分かった、もう目を瞑ってくれて大丈夫だ。最後に狩人は目を開けてくれ……分かった、もう目を瞑ってくれて大丈夫だ。これにより全員の役職の把握が完了したので早速人狼ゲームを始めていきたいと思う。もう全員目を開いて大丈夫だ」
少し長く感じだ役職確認も終わり俺たちは全員揃って目を開く。
試しに周りの表情を確認してみるが皆ポーカーフェイスが上手いのか誰一人として今の表情からは役職が想定できない。
俺はとりあえず今の時点で表情からは何も読み取れないと判断し、諦めて二宮先生の進行を大人しく聞く事にする。
「まず1日目、この村にてお爺さんが人狼に襲撃されました。犯人は絶対この村に潜んでいます。皆で協力し合ってこの村にいる人狼を処刑しましょう。それでは制限時間は5分、話し合いを始めてください」
そう言って二宮先生は自身のスマホのタイマーを5分に設定し、開始のボタンを押す。
そうして俺たちは場面を話し合いへと移していくのだった。




