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元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第2章

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第76話 打ち上げ会開幕

 俺たちはいつも以上に長く机をくっつけてからそれぞれ席に座った。


 俺の左隣には少し萎縮した状態の三浦さん、右隣には風間が座った。


 三浦さんの隣に聖先輩が座り、風間の隣には海斗、その向こうに荒井が座っている。


 そして向かい側は俺から見て左から二宮先生、友里、陽毬、彩葉、早乙女、神楽の順に座っている。


 机の上には既にそれぞれが買ったお菓子が散乱しており、先生が持ってきた紙コップにジュースが注がれている。


 ちなみに先生の前には封が切られた状態の缶ビールが置かれている。


 こんなところを生徒指導の先生に見つかったら相当怒られるだろうな、とは思いつつも今はこの場を楽しむ事にする。


 全員にジュースが行き渡るのを確認すると聖先輩は立ち上がって全員に聞こえるように声を発する。


「それじゃまず部員じゃない3人に自己紹介してもらおっか。えっと君からいい?」


 そう言って指名したのは1番近くにいた三浦さん。


「あ、はい。分かりました」


 三浦さんは先輩の方を見て返事をするとこういう事に慣れてないせいか少し緊張した面持ちで立ち上がる。


「わ、私は1年C組の三浦萌音って言います。今日は星宮くんに誘われて来ました。えっと趣味は本を読む事で色々なジャンルの本を読みます」


 そう言って三浦さんが着席すると聖先輩がパチパチと拍手をする。


 それに合わせるように他の皆も拍手をし始める。


 そしてしばらく続いていた拍手が鳴り止むと次は早乙女と神楽の自己紹介が始まる。


「えっと、あーしの名前は早乙女莉桜。んー趣味はネイルやショッピングで絶賛彼氏募集中!いい男とかいたら紹介して欲しいかも!」


 早乙女とは関わった事なかったが結構イケイケなギャルだった事が判明する。


 最後の方の言葉は主に我が部が誇るイケメンである海斗に向けて言ってるようなものだろう。


 海斗もそれを知ってか知らずかいつも通り微笑みながら早乙女の言葉を受け流している。


 そして最後の神楽の自己紹介の番となった。


 神楽は何故彩葉や早乙女と仲がいいのか分からないレベルで先ほどから綺麗な姿勢で椅子に座っており、立つ仕草も美しかった。


 ギャルとは程遠い人種のように思える。


「……私は神楽恵と言います。剣道部に所属している1年です。よろしくお願いします」


 それだけを言って綺麗にお辞儀をする。


 そのあまりの美しい所作に思わず見惚れてしまい拍手するのが皆ワンテンポ遅れてしまう。


「相変わらず恵は色々丁寧すぎるって」


「それな、もっと肩の力抜こうよ〜」


 彩葉や早乙女がそう揶揄うと神楽は「貴方たちはもう少し生活態度見直したらどうです?」と反論していた。


 どうやら普段から敬語を使うのが彼女の普通みたいだ。


 本当に何故彼女があの2人と仲良くなったのかが不思議である。


 ……今度彩葉に聞いてみるか。


 そう思う事にして俺は聖先輩の方に目をやると、先輩はそれに気づいてわざとらしくゴホンッと咳払いをしてから自信の目の前にある紙コップを手に持つ。


 どうやら音頭を取ってくれるみたいだ。


「えーでは僭越ながら今日は私が音頭を取らせていただきたいと思います」


 普段とは違う先輩の様子に映研の部員たちからは少し笑いが漏れる。


 それを先輩は気にしないようにして紙コップを上に掲げた。


「みんなテストお疲れ様!かんぱーい!!」


「「「「「「かんぱーい!!!!」」」」」」


 俺たちも先輩の声に合わせて紙コップを掲げてからそれに口をつける。


 俺はオレンジジュースにしたが今日は暑いのもあって体の中が少し涼まってきた気がする。


 それからしばらくの間は近くの人間同士で会話をしたりする時間を楽しんでいたが、乾杯の音頭から15分が経過した頃に先輩がパンパンと手を叩いて全員の注目を集める。


 皆その音に何事だ、と思い先輩の方に目を向けると先輩はニヤリと意味深な顔をしながら言葉を発した。


「それでは今より映画研究部第1回人狼ゲーム大会を始めたいと思います!」


 先輩のその宣言に今日初めて映研に来た3人は少し戸惑いを見せているが、それ以外のメンツは皆真剣な表情へと変わる。


 この部活においてやるゲームは真剣そのものなのだ。


 かくして俺たちの楽しい楽しい人狼ゲーム大会が幕を開けたのだった。

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