第75話 買い物
俺と三浦さんは学校から出た後すぐ近くのスーパーに来ていた。
「それじゃあ三浦さんはお菓子のコーナーで適当にいくつか見繕ってて。俺は飲み物を適当に選んでくる」
そう言って買い物かごを三浦さんに渡した後俺は1人で飲み物の売ってる場所へと向かう。
目的の場所は思ったよりすぐ見つかったが、どの飲み物が適しているか少し迷う。
二宮先生だったら普通に缶ビールとか飲みそうだ。
そう思いながらも俺は王道のお茶とオレンジジュースの2Lペットボトルを持って先ほど別れた三浦さんを探す。
と言っても三浦さんはお菓子コーナーでお菓子を物色しており、見つけるのにそう時間はかからなかった。
「なんかいいの見つかった?」
そう三浦さんに聞きながらカゴの中を見てみると、ポテトチップス類が沢山入ってた。
まぁ無難な選択ではあると思う。
「どう、かな?」
カゴの中を覗き見た俺に対して三浦さんは少し不安そうな顔を向ける。
俺はそれに対して三浦さんを不安にさせない為に言葉を発する。
「ポテチ嫌いな人間はいないだろうし、全然いいと思うぞ」
俺の言葉を聞いた三浦さんはパァとした笑顔に変わり安心したような顔でほっと一息ついた。
「よかった。こういうの初めてだからどういうのが正解かあまり分からなかったんだよね」
そんな事を言う三浦さんの顔は少し楽しそうだ。
俺は三浦さんの横顔に少し見惚れていたが、すぐに気を取り直して俺は菓子類の置いてある棚を見る。
そしてチョコ系統のお菓子をいくつか入れてから三浦さんから買い物かごを受け取りレジへと向かう事にした。
レジでは三浦さんもお金を払ってくれようとしたが、今回は俺から誘ったというのもあるのでここは俺が全額払う事にした。
三浦さんは少し申し訳なさそうな顔をしていたが俺が今度何か自販機で奢ってくれればそれでいい、と伝えるとようやく納得してくれた。
両手にお菓子やペットボトルの入ったレジ袋をぶら下げながら学校へと戻ってくる。
そして下駄箱で靴を履き替えて階段を登り始める。
その時に三浦さんが自分も袋1つ持とうか聞いてきたが、女子に重いものを持たせる事はできないのでそこは断固拒否した。
いつもより長く感じた階段を登り終えて映研の部室の扉を開ける。
そこには相変わらずの様子で1番早く来ていた聖先輩と二宮先生が椅子に座ってスマホを触っていた。
「やっほ、湊くん。隣の子は彼女、じゃないよね?」
俺の入室に気づいた聖先輩が突然変な事を言ってきたのでここは三浦さんのためにもはっきりと否定しておく事にする。
「違います。隣の席のただの友人です」
俺の否定の言葉に対して聖先輩は少しニマニマしながら見てから。
「やっぱ君も隅に置けないね」
俺は先輩のその言葉を無視して先輩と先生の机の上へと視線を移す。
先輩の机の上にはいくつかお菓子や飲み物が置いてあり、先生の机の上には缶ビールがいくつか置いてある。
学校だというのに飲む気満々なところを見るとやはりダメダメ教師である。
俺はこの人に対して呆れて物も言えない。
俺の隣にいる三浦さんは二宮先生のその様子に少し衝撃を受けてるようで口に手を当てて驚いている。
「とりあえず三浦さんは空いてる椅子に座って寛いでていいから」
俺はそれだけ三浦さんに伝えると近くの椅子に座りスマホを開き皆が来るまでEMで遊ぶ事にする。
流石に部室で放置されるのは不安だったのか三浦さんは俺の隣の席にチョコンと座りスマホを触り出す。
そしてそのまま20分が経ったあたりで残りのメンバーが全員手にお菓子やらジュースやらが入った袋を下げたまま、それぞれ挨拶をして部室に入ってきた。
彩葉、友里、陽毬、海斗、風間、荒井の映画研究部の部員たちに加えて今日は早乙女と神楽もいる。
ついこないだだったはずの4月が懐かしく思えてくるレベルでこの部室も賑やかになったと感じる。
聖先輩は人数が揃った事を確認すると、その場で立ち上がり皆に号令をかける。
「じゃあみんな早速いつもみたいに机を繋げよっか!」
その言葉に俺たちは反射的に返事をして行動し始めるのだった。




